軍艦好き書店員が「これしかない」と断言する文庫“軍艦写真集”

写真拡大 (全2枚)

 オンラインゲーム「艦隊これくしょん〜艦これ〜」の大ヒットによって注目を集める「日本軍艦」。軍艦の写真や解説を掲載した本が数ある中、“軍艦マニア”も思わず感嘆の声をあげてしまうのがKKベストセラーズより刊行されている『写真・太平洋戦争の日本軍艦』2巻本だ。

 1000点近い画像を2冊の文庫に収めた本シリーズ。6月に出版された『写真・太平洋戦争の日本軍艦 [大型艦・篇]』に続いて、9月には駆逐艦や潜水艦をはじめ、海防艦、敷設艦、艦隊支援艦といった艦艇、さらには人間魚雷・回天などの特攻兵器に至る500枚の写真を収録した『写真・太平洋戦争の日本軍艦[ 軽艦艇・篇]』(阿部安雄、中川務/編著)が出版された。
 JR上野駅構内にある「ブックエキスプレス エキュート上野店」では、店頭に本書収録の写真を使った大型パネルを設置。駅構内コンコースに面する棚をはじめとして、店内の複数個所で本書の展開をするなど、気合いの入り具合が半端ではない。


 実は、「ブックエキスプレス エキュート上野店」のマネージャーである西田哲也さんは根っからの“軍艦好き”で、出版社の編集者から軍艦写真集作りについてアドバイスを乞われることもあるとか。もちろん店頭の大型パネルも西田さんとKKベストセラーズの編集部が仕掛けたもの。
 そんな西田さんが大絶賛しているのが『写真・太平洋戦争の日本軍艦[ 軽艦艇・篇]』なのだ。

「軽艦艇は数がすごく多いんです。駆逐艦、潜水艦だけでもものすごい数になる中で、よくここまで収録したな、と。(発売前に)見本をいただいたときは、会議室の中にこもって目を通したのですが、感動しましたね。これだけのボリュームが文庫サイズに収められている本は他にはないと思います」(西田さん)

 西田さんは子どもの頃に戦記を読んでいたことから軍艦に興味を持ち、模型にのめり込んでいったという。模型を作るためには、軍艦の写真集は資料として必要不可欠。同じKKベストセラーズから出版された『写真 日本海軍全艦艇史』決定版、俗に言われる「68K本」、つまり本体価格68000円の大型軍艦写真集も予約・購入したそうだ。筋金入りの軍艦マニアである。

「あの大型本のデータ量は随一です。でも、この本も文庫サイズでこれだけの軍艦のデータを盛り込むのは驚異的ですよ。(文庫判の)写真も非常にきれいですし、解説文もタダモノではない。模型好きでなくても見ごたえがあります」(西田さん)

 本書のポイントをもう一つあげるとすると、写真のキャプション部分だろう。例えば、それぞれの艦影の撮影時期が示されているが、これは軍艦好きからすると非常に重要な情報だという。軍艦は建造されてからずっと同じ形態を保つわけではなく、改造を重ねていく。その変化を捉える上でもこうした情報は必要不可欠なのだ。
 さらに、西田さんはその文章から見える著者たちの「こだわり」にも目をつける。

「この写真のキャプション部分に『留意されたい』という言葉が出てくるんですね。ここがポイントだと思います。船は一隻ごとに特徴があるし、同型艦でも微妙に違うんです。その説明がしっかりと書かれていることは、やはり“こだわり”だと思います」(西田さん)

 西田さんは「日本軍艦の写真集で、ここまで膨大な情報を網羅している文庫本はないと思います。今、流通している本であれば、これしかないです。[大型艦・篇]と合わせてすこぶる貴重な2冊だと思います」と力強く訴える。
 「ブックエキスプレス エキュート上野店」では、40代以上の男性を中心に手にとられているという本書だが、「艦隊これくしょん〜艦これ〜」を通して軍艦が好きになった人や、ミリタリー・戦記・歴史ファンにも手にとってもらいたいそうだ。

 根っからの軍艦好きに「僕が生きている間は、これ以上の(情報を盛り込んだ)文庫本は出ないように思う」とまで言わしめる『写真・太平洋戦争の日本軍艦[ 軽艦艇・篇]』。
 大型艦・主力部隊の手足となり、「縁の下の力持ち」として欠くことのできないサポーター役を果たした艦艇たちの勇姿をじっくり見てほしい。
(新刊JP編集部)