6人に1人が「子どもの貧困」…自分には何ができる?
日本の子供の6人に1人は「貧困」状態にある――。この衝撃的な事実をあなたはご存じでしょうか。
7月に厚生労働省が発表した、「平成25年 国民生活基礎調査」によれば、日本の「子どもの貧困率(17歳以下)」は16.3%。過去最悪の水準です。政府は8月に「子どもの貧困対策大綱」をまとめ、教育費負担の軽減や親の就労支援を行っていく方針を掲げています。
……こうしたニュースはご覧になったかもしれませんが、この問題、あなたはどれだけ身近に感じられるでしょうか? 何か私たちにできることはあるのでしょうか?
「まずは知ることからと思い、友人を集めて勉強会をしたのが第一歩でした」
そう語るのは投資プロフェッショナルでNPO法人Living in Peace代表の慎泰俊さん(英治出版『働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む』著者)。外資系金融機関でバリバリ働いていた彼が、貧困問題に興味を持ち、友人を集めて勉強会を始めたのは2007年。日本での「子どもの貧困」の深刻化を知り、特に支援を必要とする子どもたちが暮らす児童養護施設を見学したとき、衝撃を受けたと言います。
「一見ごく普通の子供たちです。でも一緒に楽しく遊んで、帰り際に何気なく『また来るよ』と言ったら、急に冷めたような表情で『もう来ないんでしょ』と言われました」
大人の言葉を信じない、あきらめたような表情が忘れられないと慎さんは語ります。
児童養護施設の子どもたちが施設に入る理由はさまざまですが、大きな要因は貧困。低所得の家庭で、満足な食事も与えられず、親から虐待を受けてきた子もいます。施設に入ってから触れ合う大人は、その日限りのボランティアであることも。そのためか、大人の言葉をなかなか信じられない子どもも多いようです。
「だから、自分は今後も来て、何かしようと思いました」
何度か施設を訪問した慎さんは、思い切って休暇を利用して施設に1週間滞在。昼夜問わず子供たちと接するなかで、「自分にできること」を探しましたが、福祉のプロではない身、できそうなことはなかなか見つかりません。が、やがて「老朽化した施設を改築したいが、お金が足りない」という問題を知り、金融のプロとしてのスキルが活かせることに気づきました。
こうして生まれた慎さん率いるNPO法人Living in Peaceの寄付プログラム「チャンスメーカー」は、これまでに累計1,300万円以上を調達。2013年には慎さんが住み込みをした施設の改築を実現し、さらなる支援を行うため継続されているそうです。
「はじめは数人の勉強会でした。いつの間にか多くの人が集まり、『できること』も広がっていきました」
慎さんの著書『働きながら、社会を変える。』には、この「小さな一歩」から始まった活動の広がりが生き生きと描かれています。自分のスキルを活かして支援するスタイルが自然体で、「自分にも何かできそう」と思えてきます。
ますます深刻化する「子どもの貧困」や児童虐待、児童養護施設の問題についてもわかりやすく説明されている本書。冒頭の話題に関心を持った方、何か自分にできることはないかと思った方にとって、きっと大きな意味を持つ一冊となるでしょう。
(新刊JP編集部)
7月に厚生労働省が発表した、「平成25年 国民生活基礎調査」によれば、日本の「子どもの貧困率(17歳以下)」は16.3%。過去最悪の水準です。政府は8月に「子どもの貧困対策大綱」をまとめ、教育費負担の軽減や親の就労支援を行っていく方針を掲げています。
……こうしたニュースはご覧になったかもしれませんが、この問題、あなたはどれだけ身近に感じられるでしょうか? 何か私たちにできることはあるのでしょうか?
そう語るのは投資プロフェッショナルでNPO法人Living in Peace代表の慎泰俊さん(英治出版『働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む』著者)。外資系金融機関でバリバリ働いていた彼が、貧困問題に興味を持ち、友人を集めて勉強会を始めたのは2007年。日本での「子どもの貧困」の深刻化を知り、特に支援を必要とする子どもたちが暮らす児童養護施設を見学したとき、衝撃を受けたと言います。
「一見ごく普通の子供たちです。でも一緒に楽しく遊んで、帰り際に何気なく『また来るよ』と言ったら、急に冷めたような表情で『もう来ないんでしょ』と言われました」
大人の言葉を信じない、あきらめたような表情が忘れられないと慎さんは語ります。
児童養護施設の子どもたちが施設に入る理由はさまざまですが、大きな要因は貧困。低所得の家庭で、満足な食事も与えられず、親から虐待を受けてきた子もいます。施設に入ってから触れ合う大人は、その日限りのボランティアであることも。そのためか、大人の言葉をなかなか信じられない子どもも多いようです。
「だから、自分は今後も来て、何かしようと思いました」
何度か施設を訪問した慎さんは、思い切って休暇を利用して施設に1週間滞在。昼夜問わず子供たちと接するなかで、「自分にできること」を探しましたが、福祉のプロではない身、できそうなことはなかなか見つかりません。が、やがて「老朽化した施設を改築したいが、お金が足りない」という問題を知り、金融のプロとしてのスキルが活かせることに気づきました。
こうして生まれた慎さん率いるNPO法人Living in Peaceの寄付プログラム「チャンスメーカー」は、これまでに累計1,300万円以上を調達。2013年には慎さんが住み込みをした施設の改築を実現し、さらなる支援を行うため継続されているそうです。
「はじめは数人の勉強会でした。いつの間にか多くの人が集まり、『できること』も広がっていきました」
慎さんの著書『働きながら、社会を変える。』には、この「小さな一歩」から始まった活動の広がりが生き生きと描かれています。自分のスキルを活かして支援するスタイルが自然体で、「自分にも何かできそう」と思えてきます。
ますます深刻化する「子どもの貧困」や児童虐待、児童養護施設の問題についてもわかりやすく説明されている本書。冒頭の話題に関心を持った方、何か自分にできることはないかと思った方にとって、きっと大きな意味を持つ一冊となるでしょう。
(新刊JP編集部)