チームビルディング「多様性を尊重する姿勢」/斉藤 秀樹
チームビルディングというと実際のところ何に役立つのか分かりにくいと言う声を聞きます。「組織構築法」「組織力強化法」「チーム力を引き出すためのリーダーシップ理論」「部下のモチベーションを引き出す方法」などなど、チームに関わることを網羅的に包含していることが、益々チームビルディングを分かりにくくしているのだろうか。本記事がチームビルディングを身近に感じ取っていただける手助けになれば幸いです。
「チームビルディング」というとちょっと特別なものという印象を持たれる方が多いではないでしょうか。
チームビルディングは組織に属するすべての方に関係するテーマなのですが、中々理解が浸透していないと感じています。
私達が日常の中で直面する問題や課題は、そのほとんどが組織に関連したものばかりです。
組織といっても職場の組織だけではなく、学校も家族もまた組織の一つと言えます。
・上司や部下、他部門や顧客などとのコミュニケーションが上手くいかない
・組織でのリーダーシップ、フォロワーシップをどのように発揮したら良いのか
・部下のモチベーションが上がらない、人材が育たない、一体感がない・・・・
そんな問題に囲まれながら、実務の処理に追われているリーダーの皆さん。いつまでこのままの状況に耐えられますか。
このような状況が永遠に続くのは仕方のないこと、そもそも根本的な解決策など無いと考えていませんか。
確かに魔法のように杖を振るだけで簡単に解決できる方法があるわけではありません。
しかし、この現実を創っている最も根本的な原因のひとつは組織論が実務で活かされていないことにあります。
組織に居ながら、組織を運営しているのに、「組織とは何か」「より良い組織はどのような方法で創って行くのか」と言った方法を知られていない。そして、この理解の促進を最も妨げているのは、組織創りや組織のコミュニケーションはマニュアルが同じでも実行者と実行者の姿勢によって結果が大きく変わると言うことです。
特に客観的に自分の姿勢を省みることなしに、やり方やノウハウだけを実践しても成果は得られません。築かれるのは使えないノウハウ本の山だけです。
組織論(チームビルディング論)は単なる道具です。その道具を上手く使いこなし、組織が生み出す様々な問題を解決するには、道具を使う私たち自身の経験則やスキルだけでは
ない「姿勢」が結果を左右するのです。この姿勢のことを私達はあり方、Beと呼んでいます。
「姿勢」という言葉だけではとても抽象的ですので、少し言葉を足して「多様性を尊重する姿勢」と「内的に徹する姿勢」という2つの観点についてお話をしたいと思います。
まず、「多様性を尊重する姿勢」についてお話します。本来私達が様々な個性を持った人材を集め組織を作る目的のひとつは、個性の違いが生み出す力を利用し、固定化された悪し
き習慣や老朽化(時代に合わなくなった)した仕組みを打破し、新しい斬新な発想や仕組みを生み出すことにあります。
ところが一般に組織作りでイメージされる「チームワーク」は「協調的な行動」を意味することが多く、結果として輪を乱さない表面的な一体感を作ることが意識されます。さら
に、現在の組織創りを難しくしている要因には、行き過ぎた個人偏重の成果主義がもたら
す協働意識の軽視です。
結果として組織は個人商店化が進み、本来の組織創りの目的からどんどん遠ざかっています。
組織という同じ器の中にいる仲間のはずが、個々バラバラに自己の利害を優先して行動する集団に必然的になるのです。この状態では個々の個性や強みが分からず、得手不得手に
関係なく仕事が割り振られ、画一的な価値観に従って目標が決められます。
この画一的な価値観の上で幸運にも力を発揮できる人材は高い結果を出し、不幸にもこの価値観では力を発揮できない人材は評価されないという現実を作り出します。
私は「このような実情をどう思われますか?」とリーダーの皆さんに問うことがあります。
その回答は決まって「個々の個性を把握し、個性に合った仕事の割り振りと評価をすることは不可能だ」
というものでした。
もっともな回答だと思います。個々の個性を何らかの形で定量的に把握し、それに合った仕事を与えること、それは正に神業です。
部下のみなさんにとっても「あなたの強みや個性は何ですか」と聞かれても明確に答えられる方は少ないと思います。
しかし、組織変革のコンサルティングの過程で、現場の様々な階層の皆さんにインタビューをしていて強く感じることがあります。それは、「誰もが、自分の意見を持っている」
ということです。
メンバーの方に「自分の意見を上司や組織内で話すことはないのですか?」と質問すると「まったくないです。日常話すのは仕事のやり方や結果についてばかりですから」
と返ってきます。
「仮に聞かれたらどうしますか?」と質問すると
「仮に機会があっても言わないと思います。上司が真剣に自分の意見を取り入れてくれるとは思えないですから」と返ってきました。
上司は自分の考えや計画通りに部下や組織をコントロールすることに全力で取組み、部下は自分の本音ではなく、上司が受け入れてくれそうな意見を選んで発言している。
これによって表面的な協調が保たれ、必要以上にストレスを作らない。皆、これが常套手段だと考えている。
しかし、このような状況で高い業績を出せている組織はないのです。
さて、ここまでお話してきた上で再度「多様性を尊重する姿勢」とはどのような姿勢を意味しているのか見えてきたでしょうか。
個性とは単なる特性ではなく、個々の持っている価値観や考え方、そしてそこから生まれる本音の意見や行動のすべてを指しています。
多様性を尊重するとは「ひとりひとりの個性を大切に扱い、意見を吸い上げ、それを組織運営や業務に活かしていく」と言うことになります。
下記はある組織の会議風景の特徴を書いたものです。
【ある組織の会議風景】
・リーダーが一方的にミーティングを進行している。
・時々、意見を求めるがほとんど意見が出ない。
・出たとしても発言者はだいたい決まっている。
・議題の結論はほとんどの場合、リーダーや一部のメンバーの意見で決定される。
・メンバーの中には発言しようと考えているものもいるようなのだが、結局発言できずに
ミーティングは終了する。
・そもそも、ほとんどのメンバーは、発言する気すらない。
以前、私が属していた組織の会議風景もこんな状況でしたが、これまでセミナーでお会いしたリーダーの皆さんの職場の会議風景も多かれ少なかれ同じような状況であるようです。
この風景から「多様性を尊重する姿勢」を感じ取れるでしょうか。そして、この状況のままで高い組織力から生まれる高い成果を期待できるでしょうか。
組織創りの基本は人間の尊重です。と言うと何か説教じみた話のように聞こえますが、組織メンバーを将棋の駒のように「使える、使えない」といった価値観で扱うのではなく、大切な一人の人間として尊重し、その一人ひとりが大きな目標に向かって力を合わせて挑んでいく、これがチームの姿ではないかと思うのです。その中で個々が120%の力を発揮し大きく成長するためには、人間として尊重されること、そして大きな支えと期待が必要なのです。
このような話をしていると「それは単なる綺麗事だよ」と思われる方も居ると思います。
そう考える方がいても仕方のないことだと思います。私も以前はそう考えていた一人だからです。
しかし、その考えの延長線上には、この状況を変える解決策は見つかりませんでした。
そんな私が気付きを与えられた出来事がありました。
あるチームでチームビルディングのアクティビティ(体を使って取り組むゲーム)に取り組んでいた時のことです。
全チームメンバー15名の中に1名、体の不自由なメンバーが居ました。アクティビティはチームの成長状態を促進させるように設計されていて、段階的に難易度が高くなっていきます。最初はボールを渡したり、フラフープの輪をくぐったりと簡単なものから始まります。
体の不自由な彼は遠慮がちで、時には皆の輪から外れて見ていることを選択することもありました。
アクティビティの取り組みが進み、最後のアクティビティになりました。スパイダーウェブ(蜘蛛の巣)というアクティビティです。蜘蛛の巣のように網目状に張られたロープの間をロープに触れることなく通って、こちら側からあちら側に抜けるアクティビティです。
全員が通り向けられれば終了です。ただし、ひとりでもロープに触れれば最初からやり直しになります。
さて、スタートです。チームはここまでの取り組みで充分にチーム成長を遂げていましたから、手際よく話し合いが始まりました。ところが体の不自由な彼は、話し合いの輪には加わらずひとりポツンと話し合う仲間の背中を寂しそうに見ていました。
話し合いは短時間で個々の役割が決まり、メンバー全員の網目を通る順番を決める段階に入りました。
この時まで彼は傍観者でいようと考えていたに違いありませんでした。
しかし、チームメンバー全員が彼を振り返り、その輪に向かい入れ、彼の順番とチームが一丸となって彼を支えることを宣言したのです。
その瞬間、それまで以上にチームの一体感と全員の決意が一気に高まったことは、誰の目から見ても明らかでした。
結果、彼らの動きはチームという一つの生き物をみるようでした。一つ一つの行動に全員が集中し、全員が様々な役割を発見しては瞬時に動く。まったく言葉を介さずに。
そして、彼の順番がきました。驚くことに彼らが選択した場所は最も難しい場所でした。最も高い場所にある小さな網目です。
全員で彼を支え頭の上まで持ち上げます。チームの集中力が一気に高まります。そして、ゆっくりと着実に網目を通していきます。
支えられた彼は笑顔でしたが、目からは涙が溢れていました。
そして、無事に通し終わり、彼が安全に着地すると同時に大歓声が沸き起こりました。
その後もその勢いのまま、あっという間に全員が網目を通って行きました。
結果、達成時間はこれまでのどのチームよりも早い最速タイムを叩き出しました。
この時の衝撃を忘れることはありません。この結果は何を物語っているでしょうか。
体の不自由な彼だけを見ればチームにとっては重荷だったかもしれません。しかし、それを責めても、無理矢理に他の人と同じように強制をしても、この成果は生まれなかったと思うのです。
個々の違いをチームとして受け入れ、それを皆が支え合い、全員が本気で取り組む。その姿勢が個を超えてチームとしての高い力を生み出したのです。
この出来事は、彼らチームを大きく、大きく変えました。それからの彼らは常に笑顔を絶やさず、互を認め合いながら何に対しても全員が発言し、チームとして全員参加のもとに組織運営が行われていました。
この姿の中に本来のチームのあり方を感じました。
【セミナー情報】
5月にチームビルディングセミナーを開催します。ご興味ある方は下記を参照ください。
https://www.insightnow.jp/communities/application/247
https://www.insightnow.jp/communities/application/248
チームビルディングは組織に属するすべての方に関係するテーマなのですが、中々理解が浸透していないと感じています。
私達が日常の中で直面する問題や課題は、そのほとんどが組織に関連したものばかりです。
組織といっても職場の組織だけではなく、学校も家族もまた組織の一つと言えます。
・上司や部下、他部門や顧客などとのコミュニケーションが上手くいかない
・組織でのリーダーシップ、フォロワーシップをどのように発揮したら良いのか
・部下のモチベーションが上がらない、人材が育たない、一体感がない・・・・
そんな問題に囲まれながら、実務の処理に追われているリーダーの皆さん。いつまでこのままの状況に耐えられますか。
このような状況が永遠に続くのは仕方のないこと、そもそも根本的な解決策など無いと考えていませんか。
確かに魔法のように杖を振るだけで簡単に解決できる方法があるわけではありません。
しかし、この現実を創っている最も根本的な原因のひとつは組織論が実務で活かされていないことにあります。
組織に居ながら、組織を運営しているのに、「組織とは何か」「より良い組織はどのような方法で創って行くのか」と言った方法を知られていない。そして、この理解の促進を最も妨げているのは、組織創りや組織のコミュニケーションはマニュアルが同じでも実行者と実行者の姿勢によって結果が大きく変わると言うことです。
特に客観的に自分の姿勢を省みることなしに、やり方やノウハウだけを実践しても成果は得られません。築かれるのは使えないノウハウ本の山だけです。
組織論(チームビルディング論)は単なる道具です。その道具を上手く使いこなし、組織が生み出す様々な問題を解決するには、道具を使う私たち自身の経験則やスキルだけでは
ない「姿勢」が結果を左右するのです。この姿勢のことを私達はあり方、Beと呼んでいます。
「姿勢」という言葉だけではとても抽象的ですので、少し言葉を足して「多様性を尊重する姿勢」と「内的に徹する姿勢」という2つの観点についてお話をしたいと思います。
まず、「多様性を尊重する姿勢」についてお話します。本来私達が様々な個性を持った人材を集め組織を作る目的のひとつは、個性の違いが生み出す力を利用し、固定化された悪し
き習慣や老朽化(時代に合わなくなった)した仕組みを打破し、新しい斬新な発想や仕組みを生み出すことにあります。
ところが一般に組織作りでイメージされる「チームワーク」は「協調的な行動」を意味することが多く、結果として輪を乱さない表面的な一体感を作ることが意識されます。さら
に、現在の組織創りを難しくしている要因には、行き過ぎた個人偏重の成果主義がもたら
す協働意識の軽視です。
結果として組織は個人商店化が進み、本来の組織創りの目的からどんどん遠ざかっています。
組織という同じ器の中にいる仲間のはずが、個々バラバラに自己の利害を優先して行動する集団に必然的になるのです。この状態では個々の個性や強みが分からず、得手不得手に
関係なく仕事が割り振られ、画一的な価値観に従って目標が決められます。
この画一的な価値観の上で幸運にも力を発揮できる人材は高い結果を出し、不幸にもこの価値観では力を発揮できない人材は評価されないという現実を作り出します。
私は「このような実情をどう思われますか?」とリーダーの皆さんに問うことがあります。
その回答は決まって「個々の個性を把握し、個性に合った仕事の割り振りと評価をすることは不可能だ」
というものでした。
もっともな回答だと思います。個々の個性を何らかの形で定量的に把握し、それに合った仕事を与えること、それは正に神業です。
部下のみなさんにとっても「あなたの強みや個性は何ですか」と聞かれても明確に答えられる方は少ないと思います。
しかし、組織変革のコンサルティングの過程で、現場の様々な階層の皆さんにインタビューをしていて強く感じることがあります。それは、「誰もが、自分の意見を持っている」
ということです。
メンバーの方に「自分の意見を上司や組織内で話すことはないのですか?」と質問すると「まったくないです。日常話すのは仕事のやり方や結果についてばかりですから」
と返ってきます。
「仮に聞かれたらどうしますか?」と質問すると
「仮に機会があっても言わないと思います。上司が真剣に自分の意見を取り入れてくれるとは思えないですから」と返ってきました。
上司は自分の考えや計画通りに部下や組織をコントロールすることに全力で取組み、部下は自分の本音ではなく、上司が受け入れてくれそうな意見を選んで発言している。
これによって表面的な協調が保たれ、必要以上にストレスを作らない。皆、これが常套手段だと考えている。
しかし、このような状況で高い業績を出せている組織はないのです。
さて、ここまでお話してきた上で再度「多様性を尊重する姿勢」とはどのような姿勢を意味しているのか見えてきたでしょうか。
個性とは単なる特性ではなく、個々の持っている価値観や考え方、そしてそこから生まれる本音の意見や行動のすべてを指しています。
多様性を尊重するとは「ひとりひとりの個性を大切に扱い、意見を吸い上げ、それを組織運営や業務に活かしていく」と言うことになります。
下記はある組織の会議風景の特徴を書いたものです。
【ある組織の会議風景】
・リーダーが一方的にミーティングを進行している。
・時々、意見を求めるがほとんど意見が出ない。
・出たとしても発言者はだいたい決まっている。
・議題の結論はほとんどの場合、リーダーや一部のメンバーの意見で決定される。
・メンバーの中には発言しようと考えているものもいるようなのだが、結局発言できずに
ミーティングは終了する。
・そもそも、ほとんどのメンバーは、発言する気すらない。
以前、私が属していた組織の会議風景もこんな状況でしたが、これまでセミナーでお会いしたリーダーの皆さんの職場の会議風景も多かれ少なかれ同じような状況であるようです。
この風景から「多様性を尊重する姿勢」を感じ取れるでしょうか。そして、この状況のままで高い組織力から生まれる高い成果を期待できるでしょうか。
組織創りの基本は人間の尊重です。と言うと何か説教じみた話のように聞こえますが、組織メンバーを将棋の駒のように「使える、使えない」といった価値観で扱うのではなく、大切な一人の人間として尊重し、その一人ひとりが大きな目標に向かって力を合わせて挑んでいく、これがチームの姿ではないかと思うのです。その中で個々が120%の力を発揮し大きく成長するためには、人間として尊重されること、そして大きな支えと期待が必要なのです。
このような話をしていると「それは単なる綺麗事だよ」と思われる方も居ると思います。
そう考える方がいても仕方のないことだと思います。私も以前はそう考えていた一人だからです。
しかし、その考えの延長線上には、この状況を変える解決策は見つかりませんでした。
そんな私が気付きを与えられた出来事がありました。
あるチームでチームビルディングのアクティビティ(体を使って取り組むゲーム)に取り組んでいた時のことです。
全チームメンバー15名の中に1名、体の不自由なメンバーが居ました。アクティビティはチームの成長状態を促進させるように設計されていて、段階的に難易度が高くなっていきます。最初はボールを渡したり、フラフープの輪をくぐったりと簡単なものから始まります。
体の不自由な彼は遠慮がちで、時には皆の輪から外れて見ていることを選択することもありました。
アクティビティの取り組みが進み、最後のアクティビティになりました。スパイダーウェブ(蜘蛛の巣)というアクティビティです。蜘蛛の巣のように網目状に張られたロープの間をロープに触れることなく通って、こちら側からあちら側に抜けるアクティビティです。
全員が通り向けられれば終了です。ただし、ひとりでもロープに触れれば最初からやり直しになります。
さて、スタートです。チームはここまでの取り組みで充分にチーム成長を遂げていましたから、手際よく話し合いが始まりました。ところが体の不自由な彼は、話し合いの輪には加わらずひとりポツンと話し合う仲間の背中を寂しそうに見ていました。
話し合いは短時間で個々の役割が決まり、メンバー全員の網目を通る順番を決める段階に入りました。
この時まで彼は傍観者でいようと考えていたに違いありませんでした。
しかし、チームメンバー全員が彼を振り返り、その輪に向かい入れ、彼の順番とチームが一丸となって彼を支えることを宣言したのです。
その瞬間、それまで以上にチームの一体感と全員の決意が一気に高まったことは、誰の目から見ても明らかでした。
結果、彼らの動きはチームという一つの生き物をみるようでした。一つ一つの行動に全員が集中し、全員が様々な役割を発見しては瞬時に動く。まったく言葉を介さずに。
そして、彼の順番がきました。驚くことに彼らが選択した場所は最も難しい場所でした。最も高い場所にある小さな網目です。
全員で彼を支え頭の上まで持ち上げます。チームの集中力が一気に高まります。そして、ゆっくりと着実に網目を通していきます。
支えられた彼は笑顔でしたが、目からは涙が溢れていました。
そして、無事に通し終わり、彼が安全に着地すると同時に大歓声が沸き起こりました。
その後もその勢いのまま、あっという間に全員が網目を通って行きました。
結果、達成時間はこれまでのどのチームよりも早い最速タイムを叩き出しました。
この時の衝撃を忘れることはありません。この結果は何を物語っているでしょうか。
体の不自由な彼だけを見ればチームにとっては重荷だったかもしれません。しかし、それを責めても、無理矢理に他の人と同じように強制をしても、この成果は生まれなかったと思うのです。
個々の違いをチームとして受け入れ、それを皆が支え合い、全員が本気で取り組む。その姿勢が個を超えてチームとしての高い力を生み出したのです。
この出来事は、彼らチームを大きく、大きく変えました。それからの彼らは常に笑顔を絶やさず、互を認め合いながら何に対しても全員が発言し、チームとして全員参加のもとに組織運営が行われていました。
この姿の中に本来のチームのあり方を感じました。
【セミナー情報】
5月にチームビルディングセミナーを開催します。ご興味ある方は下記を参照ください。
https://www.insightnow.jp/communities/application/247
https://www.insightnow.jp/communities/application/248