シリーズ「営業フォーメーション変革」? 設計の基本的考え/渡部 弘毅
今回から3回の投稿では、営業生産性を飛躍的に向上させるための新しい営業フォーメーションの設計の仕方を解説します。一連の投稿記事の中でも最も重要な理論解説になりますので、極力分かりやすく記載したつもりではありますが、理解できない場合でも流さず、何回も熟読することをお勧めいたします。
■ 営業生産性向上につながる2つの施策
営業生産性向上に繋がる施策はズバリ、「営業プロセスの分業化」と「センター型セールスの活用」です。
(1)営業プロセスの分業化
従来の法人営業では、一人の営業マンがセールスプランの立案から商談の発掘、醸成、提案、契約まで全ての営業プロセスを実施しています。かつそれが営業マンの醍醐味でもありました。本モデルでは、いかに優秀な営業マンを育てて、継続雇用をしていくかが営業力強化の成功要因でした。つまり優秀な営業マンが何人存在するかということです。
しかし、雇用の流動性にともない、終身雇用制も崩壊している昨今では、優秀な営業マンを育てるまでに転職したり、スキルの着いた営業マンは他社に引き抜かれたり、といった状況になってきています。そのために高いインセンティブを用意した報償制度、即戦力になる営業マンの採用力が勝敗の分かれ目になったりしています。また、顧客のニーズが細分化され、取扱商品も多くなるにつれ、一人の営業マンが自社の全ての商品知識をもって商談を進めることが非常に厳しくなってきました。
そうはいっても、どこの企業にもスーパー営業マンは存在します。多くの企業はそういう数少ないスーパー営業マンに頼っているというのが実態でないでしょうか。
こうした従来モデルと違い、新しいフォーメーションモデルでは、セールスプロセスを分業化して分業化された範囲でのスペシャリストを育成します。
分業化することにより、スペシャリストの育成も容易になります。分業単位でのスキル育成になるため、全てのプロセスの教育より早期にスキル向上が可能となります。また、要員の特性に合わせた分業単位での配置も可能となります。
従来型のスーパー営業マンは、お客様とじっくりと仲良くなって商談を発掘するのも得意であり、場合によっては飛び込みセールスを何日も続けてもめげない体力と精神力も兼ね備えています。また、どんな商品の商談が生まれようが、最適な提案書を作成できます。お客さまからの技術的な質問にも迷わず回答ができます。あるいは商品の提案になった際には、得意の社内人脈を使い適切な人材を同行させるコーディネート能力や社内政治力も兼ね備えています。
しかしながら、スーパー営業マンは現実にはそんなにいないのです。普通は同じ営業マンでも、顧客と仲良くなるのは上手だが、提案書を書いて説明するのは苦手な人情で商談をとってくるタイプの営業がいたり、逆に何もない新規の顧客に人間関係を構築するのは苦手だが、課題が明確になっている顧客に最適な提案書を書くのは得意な営業マンもいたりします。
こうした得意、不得意等の特性も考慮した要員配置も新しいモデルでは可能となります。
新しいモデルでは、セールスプロセスが複数に分業化されます。そして、各々のプロセスの引継ぎ条件や情報共有化もしっかりと行います。もちろん従来型のように社内政治力がある営業マンが他の社内リソースを使えるのではなく、標準化されたルールに基づいてひとつの商談を組織レベルで進めていきます。
つまり、従来のモデルでは一人の営業マンの営業力×営業マンの数がトータルの営業力という構図でしたが、新モデルでは分業化されたプロセスの営業力の総和がトータル営業力となり、属人化された営業力から組織力としての営業力に変更することになります。
分業化された営業プロセスモデルを採用し組織力としての営業力にすることにより、営業活動の量の拡大と質の向上を実現させます。
(2)センター型セールスの活用
営業生産性を向上させるもうひとつの重要な施策が、センター型セールスの活用です。
従来型営業では営業は外出し顧客への訪問がもっとも重要な仕事と位置づけられていました。昼間に社内にいるなんて、もってのほか、日が沈むまでやることがなくても外出していなければ、営業ではない、といった状況です。
新しいモデルでは分業化されているため、センターで集中できる業務は極力センター集中型の業務に移行します。したがって、顧客とのコミュニケーションは電話、FAX、電子メール、WEBといった非対面ツールになります。この効果は営業活動の量の拡大にも質の向上にも大きく寄与します。
一人の営業マンが訪問営業活動を続けるのに比べて、電話や電子メールで顧客とのコミュニケーションをとった方が圧倒的にコミュニケーションの量が多くなります。同じ要員コストで多くのコミュニケーションができる、つまり営業生産性がアップします。
また、センターで集中管理することにより、要員のスキルアップ向上が容易になります。野放し営業マンのスキルを把握して指導するより、目の前にいて電話でどういう会話をしているかを聞ける管理体系の方が指導しやすい、という理由です。
もちろん、全ての営業活動をセンター型にするという訳ではありません。営業活動の生産性だけを追うあまり、受注率を下げたり、顧客の満足度を下げたりしては集中化する意味がありません。自社にとっても顧客にとっても都合のよい集中化をするということになります。
■ 営業生産性向上につながる2つの施策
営業生産性向上に繋がる施策はズバリ、「営業プロセスの分業化」と「センター型セールスの活用」です。
従来の法人営業では、一人の営業マンがセールスプランの立案から商談の発掘、醸成、提案、契約まで全ての営業プロセスを実施しています。かつそれが営業マンの醍醐味でもありました。本モデルでは、いかに優秀な営業マンを育てて、継続雇用をしていくかが営業力強化の成功要因でした。つまり優秀な営業マンが何人存在するかということです。
しかし、雇用の流動性にともない、終身雇用制も崩壊している昨今では、優秀な営業マンを育てるまでに転職したり、スキルの着いた営業マンは他社に引き抜かれたり、といった状況になってきています。そのために高いインセンティブを用意した報償制度、即戦力になる営業マンの採用力が勝敗の分かれ目になったりしています。また、顧客のニーズが細分化され、取扱商品も多くなるにつれ、一人の営業マンが自社の全ての商品知識をもって商談を進めることが非常に厳しくなってきました。
そうはいっても、どこの企業にもスーパー営業マンは存在します。多くの企業はそういう数少ないスーパー営業マンに頼っているというのが実態でないでしょうか。
こうした従来モデルと違い、新しいフォーメーションモデルでは、セールスプロセスを分業化して分業化された範囲でのスペシャリストを育成します。
分業化することにより、スペシャリストの育成も容易になります。分業単位でのスキル育成になるため、全てのプロセスの教育より早期にスキル向上が可能となります。また、要員の特性に合わせた分業単位での配置も可能となります。
従来型のスーパー営業マンは、お客様とじっくりと仲良くなって商談を発掘するのも得意であり、場合によっては飛び込みセールスを何日も続けてもめげない体力と精神力も兼ね備えています。また、どんな商品の商談が生まれようが、最適な提案書を作成できます。お客さまからの技術的な質問にも迷わず回答ができます。あるいは商品の提案になった際には、得意の社内人脈を使い適切な人材を同行させるコーディネート能力や社内政治力も兼ね備えています。
しかしながら、スーパー営業マンは現実にはそんなにいないのです。普通は同じ営業マンでも、顧客と仲良くなるのは上手だが、提案書を書いて説明するのは苦手な人情で商談をとってくるタイプの営業がいたり、逆に何もない新規の顧客に人間関係を構築するのは苦手だが、課題が明確になっている顧客に最適な提案書を書くのは得意な営業マンもいたりします。
こうした得意、不得意等の特性も考慮した要員配置も新しいモデルでは可能となります。
新しいモデルでは、セールスプロセスが複数に分業化されます。そして、各々のプロセスの引継ぎ条件や情報共有化もしっかりと行います。もちろん従来型のように社内政治力がある営業マンが他の社内リソースを使えるのではなく、標準化されたルールに基づいてひとつの商談を組織レベルで進めていきます。
つまり、従来のモデルでは一人の営業マンの営業力×営業マンの数がトータルの営業力という構図でしたが、新モデルでは分業化されたプロセスの営業力の総和がトータル営業力となり、属人化された営業力から組織力としての営業力に変更することになります。
分業化された営業プロセスモデルを採用し組織力としての営業力にすることにより、営業活動の量の拡大と質の向上を実現させます。
(2)センター型セールスの活用
営業生産性を向上させるもうひとつの重要な施策が、センター型セールスの活用です。
従来型営業では営業は外出し顧客への訪問がもっとも重要な仕事と位置づけられていました。昼間に社内にいるなんて、もってのほか、日が沈むまでやることがなくても外出していなければ、営業ではない、といった状況です。
新しいモデルでは分業化されているため、センターで集中できる業務は極力センター集中型の業務に移行します。したがって、顧客とのコミュニケーションは電話、FAX、電子メール、WEBといった非対面ツールになります。この効果は営業活動の量の拡大にも質の向上にも大きく寄与します。
一人の営業マンが訪問営業活動を続けるのに比べて、電話や電子メールで顧客とのコミュニケーションをとった方が圧倒的にコミュニケーションの量が多くなります。同じ要員コストで多くのコミュニケーションができる、つまり営業生産性がアップします。
また、センターで集中管理することにより、要員のスキルアップ向上が容易になります。野放し営業マンのスキルを把握して指導するより、目の前にいて電話でどういう会話をしているかを聞ける管理体系の方が指導しやすい、という理由です。
もちろん、全ての営業活動をセンター型にするという訳ではありません。営業活動の生産性だけを追うあまり、受注率を下げたり、顧客の満足度を下げたりしては集中化する意味がありません。自社にとっても顧客にとっても都合のよい集中化をするということになります。