これから益々勤労生活は長くなる傾向にある中で、
自分は、一体何が得意なのか、問いかけてみることが
大事です。

かのドラッカーが、とあるロサンゼルスでのカンファレンスでの講演で発言しておりますが、人類を取り巻く環境で起こることで、誰も経験したことがない変化が起こりつつあると。

それは、インターネットでもなければ、電子商取引でもない、歴史上初めての変化であるとのことです。

さまざまな選択肢を持っている人の数が膨大になり、しかも 爆発的な勢いで増加していると彼は指摘しています。

確かに100年程前なら、父親が農民なら、子供も農民。公務員なら公務員。職人なら職人になった時代でした。

今は、色々な選択肢があって、自由に選ぶことが出来る時代です。親が職人であっても、サラリーマンになれますし、逆にサラリーマンであっても、子供が職人の道を選ぶことだってあり得ます。

また、ドラッカーは、我々の労働年数は急速に伸びているとも指摘 しています。

1900年当時の労働年数は20年だったのが、今は60年に近づいて きていると。

確かに、昔は60才で定年を迎えると、会社から離れて、自分の趣味などを活かして悠々自適の余生を過ごす中高年が多かったように 思います。

今、自分の周りを見回してみても、企業を離れても70才でも現役でバリバリ仕事をしている方も多く見られます。

中には御年88才にして、現役の流通コンサルタントとして活躍されている大先輩もおられ、色々な企業の顧問として頑張っておられます。

また、今の職場で自分のキャリアを終わらせるのではなく、時代のニーズに合わせて、いつでも転職しようと考えているビジネスマン・ビジネスウーマンも多いのではないでしょうか?

そういう人は、別に雇用主や上司とうまくいっていないからではなく、優秀な人ほど、その会社に長くいても、その会社に市場が求めるニーズと自分のキャリアが合わなくなることを予測しているのだと思います。

そうなってきますと、何が大事かというと、「自分は一体、何者であるのか?」を知る必要があります。

つまり、「自分は何が得意なんだろうか?」ということを自覚することが大事となります。

得意なことを自覚して、それが活かせる道を常に歩むということが大事なこととなってきます。

「自分は何が得意なのか?」と問いかけたこと、ありますか?  

自分の好きなことはわかっていても、得意なことというのは案外わかっていなかったりしませんか?

意外に自分より、友達や取引先、仕事仲間、先輩、後輩、 家内などの身内や親せきが知っていたりするものです。

先日も、いとこに 「XXちゃんからみて、自分ってどういう点が得意なところだと思う?」と問いかけてみたところ、幼い時から一緒によく遊んできたからでしょうか。

 「なる程」と思える客観的な答えが返ってきました。

なぜ自分で得意なことや長所に気づかないかというと、得意なことは簡単に出来るので、普段あまり自分では意識しないからではないかと思います。

また、得意なことを知るには、つねに日記や手帳に自分自身は何者で、その居場所はどこにあるのか?を書き留め、それを後から読み直すことが大事です。

かの有名なモーツァルトは、偉大のピアノ演奏家でありましたが、同時に見事なバイオリン奏者でもあったそうです。

ただ、どちらかの道を断念しないと一流になれないと悟り、バイオリンを捨てて、ピアノに絞りました。

モーツァルトは、そのことを日記にせっせと書き残して、たびたび振り返って、その決断が正しかったのかどうか検証を続けていたということでした。

そのような天才ですら、自分の得意とすることを見出すために努力している訳ですから、我々のような凡人はもっと意識して努力をする必要がある、と思います。

「どの選択肢が自分にとって向いているのか?」

 「それはなぜそうなんだろう?」

 「自分の居場所は一体どこなんだろう?」

こう問いかけて、日記や手帳にたびたび書き留めて、読み返してみる。

そうして、自分の価値を認識する習慣をつけるかつけないかで今後の長いビジネス人生、楽しく過ごせるかどうかが決定するのではないかと思います。

(参考文献:「ドラッカーの講義(1991-2003) アチーブメント出版刊」