ユーキリス、呉昇桓にも不安あり!? 本当に活躍する新外国人は?
いよいよ3月28日に開幕するプロ野球のペナントレースで、注目されるのが新外国人選手たちの働きだ。今季は日本の球団間で移籍した8選手、さらに3人の育成選手を含め、36人が新天地でプレイする。メジャーリーグでオールスターに3度出場した経験を持つケビン・ユーキリス(楽天)、韓国でシーズン最多セーブ記録を誇る呉昇桓(オ・スンファン/阪神)という超大物から、未知なる実力を秘めた新戦力まで、活躍しそうな新外国人選手は誰か。7人の評論家に診断してもらった。
◎薮田安彦(元ロッテ)
「メジャーで実績を残したケビン・ユーキリスは、日本の野球にどこまで対応し、結果を残せるかに注目しています。僕がロイヤルズにいた頃、一度だけフェンウェイ・パークで対戦したことがありました。結果は確かサードゴロ。バッターボックスに立った時、強烈な雰囲気だったことをよく覚えています。いい打者というのは打席に立つと大きく見えるものですが、ユーキリスも雰囲気がありました。バットコントロールもうまく、ピッチャーからすれば嫌なバッターです。一方、ピッチャーで注目しているのは呉昇桓。韓国で投げていた時の映像を見ると、強烈な真っすぐを投げていました。持っている実力は確かなので、周りのピッチャーやキャッチャーとコミュニケーションを取り、ストライクゾーンや配球の違いなど日本の野球に慣れれば、間違いなく活躍できると思います」
◎飯田哲也(元ヤクルトコーチ)
「ケビン・ユーキリスはメジャーで2007年にゴールドグラブ賞、2008年にハンク・アーロン賞(※)を獲るなど、素晴らしい実績を持つ選手です。その彼が、日本でどこまでやれるのか、非常に期待しています。選球眼に優れ、フォアボールの多いことが特徴の打者ですが、楽天で任される打順は5番。期待されるのは、ランナーを還す役割です。もちろん四球を選んでくれるのもありがたいですが、打点をどれくらい稼ぐことができるかが重要です。楽天がどこまで順位を上げられるかは、ユーキリスの働きが大きく影響してくると思います。セ・リーグでは、阪神の呉昇桓に注目しています。とにかく真っすぐに力があり、三振を取れるピッチャー。バッターからすれば、前に飛ばすのも簡単ではないと思います。去年の阪神は、試合後半で逆転されるパターンが目につきましたが、今季のポイントは勝ちゲームでリリーフ陣がしっかり仕事をできるか。呉昇桓の加入により、勝利の方程式を構築できるかが、チームの浮沈に影響してくるはずです」
※ハンク・アーロンがベーブ・ルースの本塁打記録を塗り替えてから25周年を記念して1999年に創設された賞で、その年、最も活躍した打者に贈られる。
◎山崎武司(元中日、オリックス、楽天)
「新外国人で注目しているのは、阪神の抑えの呉昇桓です。スタンリッジを放出してまで獲得したことを考えると、呉昇桓が活躍しないと大変なことになります(笑)。力強い真っすぐを投げるし、気持ちも強そうなので、阪神の絶対的守護神になるでしょう。日本で活躍する外国人投手の特徴として、インコースに強いボールを投げられることが挙げられます。日本人バッターはどうしても力で劣るから、いまひとつインコースの真っすぐをさばききれない。右バッターなら外国人右腕投手に対し、インコースの真っすぐに力負けしちゃうんです。そういう意味でも呉昇桓がどこまでインコースに投げ切ることができるのか、非常に楽しみにしています」
◎吉井理人(元日本ハム投手コーチ)
「僕が期待しているのがルイス・メンドーサ(日本ハム)です。メジャーでは通算16勝ですが、マイナーでノーヒット・ノーランを二度も達成している実力派右腕。札幌ドームでのオープン戦を見ましたが、めちゃくちゃよかったです。ボールを動かしながら、ストライクゾーンに強い球を投げられるし、球質も重そうなので打者は相当苦労するでしょう。さすが、ノーヒット・ノーランを二度やったことのある投手だなと思いました。セ・リーグでは阪神の呉昇桓。あのピッチャーは本物です。甲子園のマウンドは土質が柔らかく、掘れやすいから心配していたのですが、オープン戦を見た限りでは何の心配もなさそうですね。絶対的クローザーがいれば、逆算して戦えますから、チームにとっては本当にありがたい。彼がいることで他の投手にもいい影響を与える気がします」
◎金村義明(元近鉄、中日、西武)
「知名度でいえば楽天のケビン・ユーキリスですが、オープン戦を見た感じでは、日本の投手に慣れるまでにまだ時間がかかるのかなという印象を受けました。年齢的なこともありますし、飛躍的な活躍はどうかな......と。ユーキリスをはじめ、打者で印象に残った選手は、正直いません。一方の投手陣は、期待できる新戦力が多くいました。なかでも、阪神の呉昇桓は楽しみですね。キャンプでも見ましたが、とにかくストレートが素晴らしい。スピード、キレともに抜群です。阪神の守護神として活躍することは間違いないと思います。ただ心配なのは、どこまで勝ちゲームを作って、呉昇桓まで回せるかということ。得点力不足を解消しようとマウロ・ゴメスを獲得しましたが、本当に開幕に間に合うのかという状態。主軸が決まらないと打線が組めません。オープン戦は12球団最低のチーム打率(.232)でしたが、ゴメスの影響がもろに出ましたね。とにかく呉昇桓は勝ちゲームで投げさせるわけですから、点を取らないことにはどうしようもない。宝の持ち腐れにならなければいいのですが......」
◎槙原寛己(元巨人)
「ピッチャーで面白いと思っているのが、ギジェルモ・モスコーソ(DeNA)です。コントロールが良く、ボールを低めに集めることができるので、そう連打は許さないと思います。球威も140キロ台後半を投げますし、日本で活躍できるのではないかと期待しています。コントロールで崩れるタイプではないので、試合を作ってくれるはず。ものすごい球を投げるわけではありませんが、こういうピッチャーがひとりいると、首脳陣は先発ローテーションをうまく回していくことができます。モスコーソがうまく機能すれば、DeNAの投手陣は劇的に変わるかもしれません。バッターで楽しみにしているのが、レスリー・アンダーソン(巨人)。長打力はそんなにないかもしれませんが、広角に打てるのが魅力です。一発を打てる打者が揃う巨人打線の中に彼のようなバッターが入ると、相手投手は本当に疲れると思います。オープン戦でも結果を残しましたが、シーズンでも3割を期待できるバッターだと思います」
◎与田剛(第2、3回WBC投手コーチ)
「ルーク・ファンミル(楽天)が面白そうですね。育成選手から支配下登録された選手ですが、身長が2m16cmあり、これは日本プロ野球史上最長身投手になります。バッターからすれば、これまで見たことがない高さからボールが出てくるわけですから、慣れるまでに相当時間がかかると思います。一方、バッターで注目しているのはアレクシス・ゴメス(中日)。中日はホームランを打てる選手が少ないので、パンチ力のあるゴメスがその役割を担ってくれれば、打線としても面白くなると思います。4番を打つタイプには見えませんが、ゴメスが7番くらいに入ってホームランを量産すれば、中日はいい打線になると思います」
昨季は外国人選手が強力なインパクトを残した1年だった。ヤクルトのウラディミール・バレンティンがプロ野球記録の60本塁打を打てば、鳴り物入りで来日したアンドリュー・ジョーンズ、ケーシー・マギーは楽天の中軸に座り、球団創設9年目の初優勝に大きく貢献した。今季、日本球界を沸かせてくれる外国人は誰なのか。彼らのプレイから目が離せない。
中島大輔●構成 text by Nakajima Daisuke

