値引きということについて考えてみましょう。
皆さん、普段のビジネスや買い物などで簡単に値引いたり、
値引きを要求したりしてますが・・・。
果たして、それでいいのでしょうか?

松下幸之助は、「商売心得帳」の中でこう言っています。

 「最初から十分勉強した適正な値段をある商品に付けて、
  それは値切られてもまけない。
  逆にお客さんを説得し、納得して頂くというような ことでなければ
  いけない」

 「あの店には駆け引きがない。 しかし、値段を引いた 以上に価値ある
  サービスを長年に渡ってしてくれるし、 親切である。

  というような評判をお客さんから頂くような商売を していくことが大事」

こうした考えの背景にあるのは、商人は、商人としての社会的責任をしっかり果たしていく、そのことが 社会共通の繁栄に結び付く望ましい姿であるといった 奥深い考えがあることです。

単に目先の利益が削られるからいやだとか、そんな レベルの話ではありません。

また、値引きを要求する方も、受ける方も、色々な 駆け引きに相当の労力を費やし、果たしてそれが お互いにとって、あるいは世の中にとって、生産的といえるかどうかです。

無駄をはぶいて能率を高めつつ、適正な利潤を頂くことは商人、
というか国民の義務であり、また責任でもあるとも考えられます。

また、自分の商品の価格には魂が入っているといえるかどうかです。

つまり、魂とは、そのお店の色々なサービスや配慮、 便宜、スピリットといったものが全て加わった、 総合的な価値判断での価格を提示しているといえるかどうかで、値引きをうけるかどうかの問題の扱いが決まります。

昨日、高校の先輩で、独立・起業して、都内の一等地の ビルにオフィスを構えている、あるレアアースの輸入 マーケティング企画会社の社長と話していましたら、 同じようなことを言ってました。

 「自分は、価格を提示する時は十分考えた価格を 提示するので、
  値引きは一切しない。 

  もし、どうしてもと食い下がられたら、取引をお断りする」と。

その背景にあるのは、取引というものは、瞬間的に終わるものではなく、
お客も、お店も、対等に末永く 安定した取引を行うことが双方にとって
重要という思い です。

目先の価格が何円上がるか、下がるかなんかはどうでも いいことだとその先輩はいいます。

そういう関係を作るためには、売り手と買い手という 関係ではなく、同じレベルのパートナー同士と考えて、 とにかく末永く安定したお付き合いを続けようという ハートといいますか、スピリットを相手としっかり共有するそうです。

そのスピリットが共有されていると、値引きというものが両社の取引には存在しなくなるといいます。

しかし、スピリットが共有されていないと、ある購買担当者が、

 「上が納得しないので、値引いてくれませんか?」 となる。

そんなときは絶対に値引かないそうです。

しかし、ある担当者が、

「今年は業績が悪くて、 リストラも決行し、大変な状況にあるので、今回だけ値引きをお願い出来ないでしょうか?」

ということに なると、値引きを受けるそうです。

なぜなら、お互い永いお付き合いをするという前提のスピリットが共有できていると思えるからだそうです。

その会社は、とても繁盛しています。

商売の原点を教えられた一日でした。