自社の魅力を体験することの重要性/荻野 永策
今回のコラムは、自社商品・自社サービスの魅力を体験することの重要性について考えてみたいと思います。

この記事の内容

1.参考記事紹介「採用・就職支援事業の(株)グッドニュース(大阪市北区)」

2.社員が働く上で重要視すること

3.「家族感謝祭」のメリット

4.グッドニュース社の強みと魅力

5.自社のサービスの魅力を社員に”体験させる”ことの重要性

6.まとめ

参考記事紹介「採用・就職支援事業の(株)グッドニュース(大阪市北区)」

まずは参考記事をご覧いただきたい。

参考記事:社員と家族をつなぐ感謝祭 「いつもご飯を作ってくれてありがとう」

URL:

http://www.sankeibiz.jp/business/news/140307/bsg1403071726000-n1.htm

年に1回、社員の両親や妻たちを会社に招いて「家族感謝祭」を開くのは、採用・就職支援事業を手掛けるグッドニュース(大阪市北区)。感謝祭は半日をかけ、社員一人一人が家族に感謝の言葉を伝え、会社が業績を報告する。家族を交えたコミュニケーションで社員が互いを深く理解し合う一方、家族は普段見えないお父さんや息子たちの職場での姿を知る。会社が育む社員と家族の理解と愛は、業績を支えている。

昨年秋に開催した感謝祭は会社近くのレストランで全員が会食。社員の親が子供の頃の話をしたり、妻や彼女がプライベートでの出来事を語ったり…。家族同士、社員同士では、なかなか話題に上りにくい話ができるため、相互理解には格好の機会だ。

杉岡社長は思いついたことは何でもやってみようと一昨年に感謝祭を導入し、昨年10月に2回目を開催した。杉岡社長は「私たちが作りたい5年後、10年後の会社の未来を、社員の家族とも共有したい」と語る。自社がどれだけ成長しても、社員が何人になっても、感謝祭は続けていくつもりだという。

社員が働く上で重要視すること

記事からもわかるように、グッドニュース社は何とも働きやすそうな会社である。人事に関わる事業をされておられるだけのことはあって、さすがとしか言いようがない。

実際に、この「家族感謝祭」がどの程度、会社の働き方に影響しているのか、ちょっと分析してみよう。まず、一般的に社員が働く上で重要視することを調べてみた。

参考URL

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/dl/decentwork.pdf

上記は平成23年に厚生労働省の委託事業として、みずほ情報総研株式会社が調査した調査結果である。PDFの36ページ、37ページに「働くうえで重要視すること」というアンケートの調査結果がまとめられている。

詳細は見ていただくとして、概要だけ言えば、「人間関係が一番重要視される」ようだ。加えて、同資料の38ページに「重要視しているにもかかわらず、満足できていない」という、現実とのギャップを数値化したグラフが掲載されているが、そこでも、人間関係は、正社員で3番目に高くなっている。

つまり、収入やプライベートとの両立というような問題もありながらも、人間関係を重要視しつつ、それでも、なかなかうまくいっていないという現状がうかがえる。

「家族感謝祭」のメリット

このような社員の不満があるなかで、グッドニュース社は家族感謝祭を導入し、それの解決を実現している。参考記事にもあるように、家族感謝祭を導入することで「社員間のコミュニケーションと相互理解」が深まるため、職場の人間関係がより一層親密になると思われる。

たとえば、女性社員が子育てで早退したり、仕事を休んだとしても、

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1281522477

このような発言は社内からは出てこないのではないだろうか?私の想像でしかないが。このような発言ではなく、「●●さんのお子さん、もう●歳だよね!大変だろうから、帰っていいよ。あとやっとくし」みたいな感じで、事情が分かりあえるからこそ、フォローもできるというような環境が作りやすいように思う。

つまり、働く上で重要な人間関係で悩むことの少ない職場が作れているということだ。

グッドニュース社の強みと魅力

このような職場環境が作れていると、グッドニュース社の強み・魅力として打ち出していける。

グッドニュース社の事業内容は、企業の人事の支援で、人事の課題を解決していくことである。そのような事業を提供しながら、「職場の人間関係の問題」を解決する仕組みを自社で実践し、それを社員に体験させている。

つまり、職場で一番重要視されている人間関係の課題を解決する具体策を社内で実行しているわけだ。自社サービスの良さ(魅力)を社員に体験・体感させているということは、大きな強みになる。理由は、営業社員が見込客に対する営業の際に、自社のサービスを自信を持って進めることができるからだ。

営業社員にとって、自分自身の会社が「働きにくい会社」であれば、顧客にそのサービスを伝えることなど不可能に近い。「ウチの会社もそうなんですよ〜」で終わりである。伝えられたとしても机上の空論にすぎないであろう。

それが、社員自身が「家族感謝祭」を通して、働きやすい職場を体験・体感しているため、机上の空論ではなく、具体性のある提案を顧客にすることができるのであろう。つまり、自社サービスの良さ・魅力を社員に「伝える」だけでなく、「体験させる」ことで、より多くの情報が社員に伝わり、その結果、社員の営業力を、クロージング力を強化することができるのである。

参考記事にはここまでの記載はないが、私はこの記事を読んでこのように感じた。

自社のサービスの魅力を社員に”体験させる”ことの重要性

自社のサービスの魅力を社員に”体験させる”ことの重要性は、逆の場合を考えてみるとわかり易い。

WEBを使った見込開拓がヘタなWEB戦略会社の営業社員からの提案など信用できないだろう。机上の空論ばかりで、小手先テクニックで話は終わりである。自社でできていない物が、なぜ顧客に対して出来ようか。自社サービスの広告が下手な広告代理店も同様である。

あなたの会社も、社員に「自社の魅力」を体験させていますか?魅力を伝えるのは社員です。それがよく伝わっていなかったら、クロージング力の低下につながっているかもしれません。

まとめ

1.グッドニュース社は「家族感謝祭」を通して社員間の絆を深めている

2.自社サービスの魅力を体験を通して社員に伝え、営業現場で活かしている(活かそうとしている?→私の予想)

3.自社サービスの魅力は社員に体験させることが重要。それができていない場合は、見込開拓ができないWEB戦略会社と同じ。広告が下手な広告代理店と同じ。

商品・サービスのスペックを社員に伝えるだけでなく、顧客に伝えるべきは「魅力」であるはず。それをより伝わりやすくするために、魅力を体験させるような仕掛けを考えてみてはいかがだろうか?