「女子会川柳2『片付かない デスクの上も 人生も』」(シティリビング編集部/編 ポプラ社編集部/編 1000円)

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昨年、女子会川柳の記事(「『入社時は 腰かけ今は 命がけ』女子会川柳の女の本音が面白い」)を書いたが、今年も17回目となる「シティOL川柳大賞2014」が発表された。

応募総数3,895句の中から受賞13句が決定! 栄えある大賞は、全国シティリビングの各編集長から「企業で働く女性のリアルな気持ちがストレートに表現されている」と圧倒的に支持されたというこの一句。

「『付き合って』 残業以外で 言われたい」

作者は「男の人から『付き合って』なんて言われたのは、ここ数年仕事のみ。プライベートでも言われたい〜」とコメント。草食系男子が多すぎるのか、それとも肉食系女子が増えたのか。それを表す力強い句がこちら。「プロポーズ 待つのに飽きて 自分から」。その気持ちは痛いほどよく分かる。しっかりしてよ、男性諸君!

同社の編集長である山内綾子さんは、今年の傾向について「オフィスネタが多いなどの作品の傾向は変わりませんが、『婚活から終活へ』『めいっ子にお墓の話』など “お一人さまとしての悟り”をテーマにした作品に、働く女性の次の境地を感じます」と話す。そんな悟りの一句がこちら「四十路越え 婚活改め 終活へ」。本当に他人事とは思えない……。

さて、俳優の向井理さんがセレクトした特別審査員賞は「新卒が メールで謝罪 絵文字入り」。「今回、皆さんの作品を拝見して、オフィスというところは本当にいろんなことが巻き起こっているんだなぁと思いました。今後の作品の参考にさせていただきます(笑)」という向井さん。

はっきりしない彼との恋愛や、もはや理解できない新入社員の実態、お一人さまのリアルな実情、親との関係など、ときに切なく、ときに切実な乙女心がぎゅっと川柳に込められている。

そして、同賞の入選作品と優秀作から合計77句を収録した「女子会川柳2『片付かない デスクの上も 人生も』」が発売中だ。誰かに面と向かって言われると傷つくであろうことも、女子会川柳だと「そうそう」と笑って開き直り、共感できるから不思議。私の気持ちを代弁してくれたの? と言わんばかりの川柳がこちら。

「うしろ指 指されぬ程度の 若作り」。美魔女ブームに乗せられて……。つい可愛らしい色の服を選び、目元にはキラキラパウダーをのせてしまうが、「これは若作りではなく、身だしなみ」と自分に言い聞かせる。

「後輩の 『まだイケますよ』に 傷ついて」。まだイケるって何やねん! と突っ込みたくなるこのフレーズ。男性の皆さん、いい加減な慰めならいりません。悪気なく放たれた言葉は記憶の片隅ではなく、ど真ん中にしっかりとインプットされ、どんなフォローがあっても忘れることは二度とない。

「お礼言う 神社ばかりが 増えていく」。ちなみに、私も神社でお礼を言う。「幸せがやって来ますように」と手を合わせて住所まできっちりと言う。そんな自分が愛おしい。

最後に、「鳥の名が 元気をくれた シジュウカラ」。女は40から! とは、何とも心地よいフレーズ。シジュウカラの画像を検索すると、小さくて可愛いらしいのが何よりの救いである。

「『女子会川柳2』は笑えて気分がスッキリ、元気が出る本なので、人間関係でいらっとすることが多い働く女性はぜひ。また、女心が分からない、女性の気持ちを知りたいという男性陣にもオススメです」(山内さん)

若さと張り合わず自らの年齢を受け入れる潔い句もあれば、もがく気持ちを正直に表現する意地らしい句もあり面白い。複雑な乙女心をすべて表現した……それが女子会川柳なのだ。女性が読めば、「自分だけじゃないんだ」と元気がわいて共感すること間違いなし。そして、男性は同本を読んで女心を研究し、これ以上、地雷を踏むのはやめて〜。

(山下敦子)