モノが安いことの道理/野町 直弘
モノが安いことには何らかの道理が必ずあります。
相見積を2-3社のサプライヤから取得した時に、あまりにも見積金額が違うことが
ありませんか?10%前後の違いであればともかく3割違う、場合によっては半額近いということはごくごく普通に起こり得ることです。
この場合皆さんはどうしているでしょうか?
単純に安いサプライヤに決めますか?多くのバイヤーは違うでしょう。
何故こんなに差が出てしまったのか調べることでしょう。結果的に2-3社のサプライヤが見積っている内容や仕様が全く異なっていた、なんていうことも良くあります。
またそうではなく内容や仕様自体も間違っていないのにも係わらずこういう事態が起きることもまれにあります。私もこのような状況を経験したことがありますが、通常こういうケースはサプライヤがバイヤー企業に対してふっかけていることが多いです。
つまりある企業は膨張した見積りを提出しある企業はそれなりの見積りを提出しているようなケースです。
内容や仕様の前提が異なれば見積価格に差が出てくるのは当り前です。
本来は見積内容や仕様の前提が明確であればそういう差はでてきませんが、
例えばコンサルティングやシステム構築などの仕様が確定できない買いモノも
ありますし、全ての要件を固めて伝達することには無理があります。
ここで言いたいことは、「モノが安い(もしくは高い)」ことには何らかの理由が必ず
あるということです。例えば海外調達品が安いのは人件費が安いことが大きな理由です。鉄や化学品などの素材なども場合によっては人件費が安い国が原産国であれば安価になるかもしれませんが、主要なコストは組立て費や処理費用などの人が作業を行う部分になります。つまり原価構造を明らかにすることで、ある程度「モノが安いことの道理」を見極めることができます。
「それでは何故人件費が安いのか。」
経済学的には一物一価の法則と言って完全な自由市場ではモノの価格は一定だと言われています。にも係わらず例えば中国やASEAN諸国の人件費は今でも日本の3分の1と言われています。何故なのでしょうか。
これはある方から伺った話なのですが、生活コストの安さが人件費の安さにつな
がっているという話を伺ったときには、なるほど、と感心してしまいました。
例えばタイという国、ここは農耕可能は国土が広く、気候も温暖なため主食である米が非常に安価だそうです。また衣食住で考えても温暖であれば衣のコストも低くすみますし、住も同様です。食は米だけでなく米を飼料とする肉類に関しても同様です。このように生活コストが安いから人件費を安く抑えることができるのです。
ちょっと話が逸れましたが、いずれにしても「モノが安いことの道理」は必ずあるのです。その道理がないままに引き出した安価は実はとても危険です。
安かろう、悪かろうにつながったり、将来的な値上げにつながるだけでなく、サプライヤの信用リスクにつながる可能性もあります。
実際に(ここでは具体的な事例は上げませんが)ある時期に競って大手企業の
大口取引をとるために価格競争が激化し、一時期大幅なコスト削減につながった
ものの数年経ってサプライヤの負担が高く、価格見直しを図る方向にあるような
買い物は様々存在します。「道理がない」安価は長続きしないのです。
バイヤーは買うことを商売としている人達です。「人より安く買う」ことも必要ですが、何故安いか、つまり「モノが安いことの道理」を見極められる能力を持つことも求められます。だから重要な仕事なのです。
「安けりゃいいじゃん」ではなく「何故安いのか」が重要ですし、それが見極められる能力を持つことが本当の安価購買につながっていくからなのです。
相見積を2-3社のサプライヤから取得した時に、あまりにも見積金額が違うことが
ありませんか?10%前後の違いであればともかく3割違う、場合によっては半額近いということはごくごく普通に起こり得ることです。
この場合皆さんはどうしているでしょうか?
単純に安いサプライヤに決めますか?多くのバイヤーは違うでしょう。
何故こんなに差が出てしまったのか調べることでしょう。結果的に2-3社のサプライヤが見積っている内容や仕様が全く異なっていた、なんていうことも良くあります。
つまりある企業は膨張した見積りを提出しある企業はそれなりの見積りを提出しているようなケースです。
内容や仕様の前提が異なれば見積価格に差が出てくるのは当り前です。
本来は見積内容や仕様の前提が明確であればそういう差はでてきませんが、
例えばコンサルティングやシステム構築などの仕様が確定できない買いモノも
ありますし、全ての要件を固めて伝達することには無理があります。
ここで言いたいことは、「モノが安い(もしくは高い)」ことには何らかの理由が必ず
あるということです。例えば海外調達品が安いのは人件費が安いことが大きな理由です。鉄や化学品などの素材なども場合によっては人件費が安い国が原産国であれば安価になるかもしれませんが、主要なコストは組立て費や処理費用などの人が作業を行う部分になります。つまり原価構造を明らかにすることで、ある程度「モノが安いことの道理」を見極めることができます。
「それでは何故人件費が安いのか。」
経済学的には一物一価の法則と言って完全な自由市場ではモノの価格は一定だと言われています。にも係わらず例えば中国やASEAN諸国の人件費は今でも日本の3分の1と言われています。何故なのでしょうか。
これはある方から伺った話なのですが、生活コストの安さが人件費の安さにつな
がっているという話を伺ったときには、なるほど、と感心してしまいました。
例えばタイという国、ここは農耕可能は国土が広く、気候も温暖なため主食である米が非常に安価だそうです。また衣食住で考えても温暖であれば衣のコストも低くすみますし、住も同様です。食は米だけでなく米を飼料とする肉類に関しても同様です。このように生活コストが安いから人件費を安く抑えることができるのです。
ちょっと話が逸れましたが、いずれにしても「モノが安いことの道理」は必ずあるのです。その道理がないままに引き出した安価は実はとても危険です。
安かろう、悪かろうにつながったり、将来的な値上げにつながるだけでなく、サプライヤの信用リスクにつながる可能性もあります。
実際に(ここでは具体的な事例は上げませんが)ある時期に競って大手企業の
大口取引をとるために価格競争が激化し、一時期大幅なコスト削減につながった
ものの数年経ってサプライヤの負担が高く、価格見直しを図る方向にあるような
買い物は様々存在します。「道理がない」安価は長続きしないのです。
バイヤーは買うことを商売としている人達です。「人より安く買う」ことも必要ですが、何故安いか、つまり「モノが安いことの道理」を見極められる能力を持つことも求められます。だから重要な仕事なのです。
「安けりゃいいじゃん」ではなく「何故安いのか」が重要ですし、それが見極められる能力を持つことが本当の安価購買につながっていくからなのです。