竹中平蔵がおくる「迷わず行けよ 行けばわかるさ」

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本田圭佑の小学校卒業文集って、ご存じですか? 「セリエAで活躍している僕は日本に帰り、10番をもらってチームの看板です」「1年間で40億円はほしいです」といった夢が書き連ねられているんです。……凄い。完全に“未来予想図”だ! そしてこの途方もない夢を、成し遂げてしまっている。
そこで早速、己を顧みました。明確な目標を見据え、生きてきただろうか? 小学校の卒業文集を引っ張り出し、20年以上前の幼き私を見返してみたんです。……だめだ。将来の夢の欄には、「国王」と書いてある。もう、完全にふざけてるよ。マジじゃない。

話は変わって1月13日(月)。国立オリンピック記念青少年総合センターにて、「竹中平蔵 世界塾 特別講演&開講説明会」が開催されました。
「世界塾」は竹中平蔵氏が担当する、「早稲田塾」の特別カリキュラム(高校生対象)。講義は基本的に英語で進められ、世界人としての心構えやモノの見方などを鍛える内容だそうです。

……と、これらは一先ず置いといて。当日は、竹中氏らによる非常に有意義なメッセージが送られているので、そちらをご紹介します。

【フラット化する世界】
当日の話から一つ。丸の内の「ブラジル銀行」東京支店に電話をかけると、受け取る交換手はサンパウロにいるらしい。要するに、サンパウロを経由して丸の内へ繋がるのです。

竹中 なぜ、そんな事が起こるのか? それは技術が変わったから。電話交換手が会社の中にいる必要がない。すると、日本の電話交換手の給与が、インドやブラジルと同じ額になっていきます。逆に、向こうの国の人たちの給与は上がっていく。これが、皆さんがこれから生きていく「フラット化する世界」です。一方で、クリエイティブな人たちが世界で活躍しやすくなる。これからは、フラット化して“沈んでいく人”と“飛び上がっていく人”の両方が出てくる時代。苦しいかもしれないけれど、挑戦するのが人生じゃないですか? そういう人材を輩出するた
めに世界塾を開講したんです。

【「恐いからやらない」は怠慢】
この日は特別ゲストとして経済学博士のロバート・フェルドマン氏も登壇。「『自分の人生を使って何をしたいか』、人生の目的を考えないといけない」とし、そのためには「留学」が大切だと言っている。

……でも一人で海外に行くのって、単純に恐さがあるよねぇ。そんな我々の思いに応えるように、フェルドマン氏はこう言いました。

フェルドマン 平安時代に空海が中国へ渡った時は、戻ってこられる確率は50%でした。でも、行った。中国で学んだことを持ち込んで、日本を発展させている。『恐いからやらない』は、『自分が操縦される人間になる』ということだとも考えられます。

【竹中平蔵の教え子は“ミス日本”】
この日のイベントの司会を務めたのは、早稲田塾出身で日経CNBCキャスターの谷中麻里衣さん。中2で英検1級を取得し、TOEFLで118点(120満点)、TOEICで990点(990満点)を獲得した才女です。一方で2011年度ミス日本グランプリにも輝いている。なんですか、この才色兼備は!
そんなこの方、「世界塾」の前身である「スーパーエコノミクスプログラム」の受講生でもあるそうです。彼女に当時を振り返っていただきましょう。

――竹中教授の授業を受け、どういったところが変わりましたか?

谷中 私が授業を受けたのは、郵政民営化が注目された直後でした。ニュースになっている事を、その世界で活躍されている方から直接聞けて、経済にも政治にも興味をもつことができました。

――今日のイベントで印象的だったのは、「人生の目的を見つけよう」ということでした。谷中さんは、どんな人生の目的を見つけましたか?

谷中 私は、常に「今までの自分を超えていたい」と考えています。それを心がけることで、社会の役に立ちたいです。

谷中さんは、早稲田塾のTOEFL Test対策講座の講師を、4月から務めることになっているそう。彼女の指導が受けられる、高校生がうらやましいぞ。

【人生は、思っているより遥かに短い】
最後に。竹中教授とフェルドマン博士によるトークセッションではこんな話が出ました。

竹中 人生ってね、予想よりかなり短いんですよ。子どもの頃は「人生の時間は無限だ」「大人になれば、世の中のことは何でもわかるようになる」と思うけれど、そんなことない。でも人生の目的を見つけるのって、本当に難しいよねえ。

フェルドマン この前、イチローのインタビュー記事を読みました。彼は今40歳で、野球選手として約20年間活躍しています。4000本安打を達成したイチローに対し、インタビュアーは「もう、引退してもいいんじゃないですか?」と問いかける。その時の彼の答えは素晴らしかった。「4000本は打ったけれど、8000本は打ってない」「野球選手になった時は楽しくて仕方がなかったが、今は楽しくない。苦しい。でも、続けたいからやる。苦しめられるうちに頑張るんだ」。苦しめるなら頑張ろうという気持ちが、大切だと思います。

竹中 成功するにこしたことはないんだけれど、成功なんて滅多にないんですよ。でも見果てぬ夢を求めてあえぐ姿が、人生そのものじゃないか。とりあえず、やってみたらいいですよ。夢破れたらまた別の夢を見たらいい。

正直言っていいですか? 最初は、鼻についてました。成功者が「稼ぎが良いエリートになろう」と言いたいだけじゃないのか、と。
でも、次第に誤解が氷解していきます。竹中氏は、「人生は短い。やりたい事を見つけ、そこにチャレンジしていけ」と、この国の将来を担う高校生たちに、真剣にエールをおくっていたのでした。

これ、要するにですよ。
「踏み出せばそのひと足が道となり、そのひと足が道となる。迷わずいけよ、いけばわかるさ」
アントニオ猪木氏の大名言と、相通ずるところだらけじゃないですか。挑戦したら、スゴイことが待っていそう。まさに、“迷っている”場合ではない。そんな生き方の土壌づくりとして、この「世界塾」はあるそうです。

竹中平蔵 世界塾