クラウドファンディングがクリアすべき8つの課題

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起業家が指摘する、クラウドファンディングのあまり華やかではない側面

企業の創設者たちは、新しいプロジェクトにおけるクラウドファンディングの利点(コミュニティの交流や、草の根レベルでプロジェクトの継続性に関する意見を求めたりするのにまたとない機会である等)を良く指摘するが、それに伴う課題について触れることはあまりない。実のところ課題は少なからず存在するのである。

この点について、支援団体 Young Entrepreneur Council に所属する8名の起業家から課題とアドバイスを伺った。

1.出資者からの助言

出資者の価値は金額だけで決まるわけではない。出資者の経験が不足しており、しかも資金源がオープンな市場からのみであるということはリスクを伴う。

事業の立ち上げ時、出資者はプロジェクトの成否に非常に大きな役割を持つ。彼らのアドバイスや経験、ネットワークは何にも代えがたいものであるが、出資者が「クラウド」である場合、これらは期待できない。クラウドファンディングは資金調達の手段としては優れているが、利用する際には慎重にならなければならない。

- Panos Panay(Sonicbids)

2.プロジェクトの実行

これまで漫画関連のプロジェクトに3億5000ドルの投資を行ってきたが、そこで分かったことがある。投資コミュニティが投資後も、思っていたより深くプロジェクトの活動に関わりたがるということだ。我々は彼らをプロジェクトの活動に参加させつつ、同時にチームのメンバーがプロジェクトを遂行する上で正しいポジションに居られるよう、戦略の練り直しをしなければならなかった。

実際、正しいところに落ち着くまで何度か間違いも犯した。設立者である自分の得意分野は脚本であったにもかかわらず、プロジェクトに用いたのはフィクション作家だったのだ。我々はプロジェクトの質を保証するため、チームとして再構築を迫られることになった。これは我々が直面した中でも最も困難でやりがいのある軌道修正だった。

- Corey Blake(Round Table Companies)

3.顧客サービスの提供

クラウドファンディングにおいて難しいことの一つが、いかに顧客の多様な思惑に気付けるかという点である。商品を一か月以内に欲しがる顧客がいるかと思えば、別の顧客はその商品がもう生産されていないと思っていたりするといった具合だ。

この様な問題を解決するには顧客と過度に連絡を取るのではなく、予想される質問と答えを用意して毎週アップデートを行うようにすると良い。

- Aaron Schwartz(Modify Watches)

4.クラウドファンディングの後のプラン

クラウドファンディングはプロジェクトの資金を集める有力な手段となり得るが、成功させるには注意深い配慮が必要となる。ありがちな問題として、クラウドファンディングのキャンペーンが終了すると同時に企業が成長を止めてしまうことがある。

そうならないためにも、企業はクラウドファンディング・キャンペーン終了後のプランを(何ならクラウドファンディングが始まる前に)考えておくべきである。そのためには効率的なビジネスプランを持ち、事業の関連分野に強みのある職員を雇い、常に堅固なマーケット戦略を有することが必須となる。

- Jay Wu(A Forever Recovery)

5.勢いを保ち続ける

資金そのもの以外に挙げられるクラウドファンディングの大きな利点に、その過程に付随するプロジェクトの露出やコミュニティ活動がある。私は過去にKickstarterを通じて投資を行い、キャンペーンは大変な勢いを伴うものとなった。

しかしながら投資家たちの興味が別のプロジェクトに向くと、その勢いは急速に衰え、事業立ち上げの仕事はやがてキャンペーン終了後の活動にも興味を集めるための仕事にシフトしてしまった。ただ単にプロジェクトのアップデートを公表するだけでなく、投資家の興味をあらゆる角度から引き続ける必要がある。その方法はプロダクトによって様々だろう。

大事なのは最初に得た勢いを保ち続けることである。一度失われた勢いを再び取り戻すのは容易なことではない。

- James Simpson(GoldFire Studios)

6.投資家を理解すること

我々はこれまで幾つものクラウドファンディングキャンペーンに関わり多くの顧客と接してきたが、一度の例外もなく、彼らは自分たちがプロジェクトにどの程度寄与しなければならないかを甘く考えている。キャンペーンに際して出会う人々がどういった人なのかを把握しておくことは非常に重要である。

- Thursday Bram(Hyper Modern Consulting)

7.取引の履行

ほとんどの企業は製造・輸送にどれくらいコストがかかるのか、また報酬や特典のマネジメントをどうするのかについてプランを練るが、まだ出来上がってもない商品を突然大量に出荷しなければならないようなケースは算段に入れていない。そういう時のために我々はあらゆる取引の履行を担保するという事を始めた。よってクラウドファンディングによる企業ではこういったリスクは避けられる。

- Benish Shah(Before the Label)

8.さらなる露出を

BottleKeeperプロジェクトでクラウドファンディングを募る際にFundableを利用したとき、我々はまず大変な量の露出を行った。これにしっかりとしたマーケティングと起業戦略が組み合わさった場合、多くのクラウド投資家たちの資金が殺到することになる。

しかしながら、そうして成功したキャンペーンが終わり、実際にビジネスを回すことに注力し始めると、それ以上の露出を行うのは実に難しくなる。最も大事なことは、はじめに露出の機会をくれたメディア関係と直接的な繋がりを持つことである。例えば出来上がった商品のレビューを頼んでみるのはどうだろうか。プロジェクトの勢いと露出を保ち続けるのには効果的だろう。

- Adam Callinan(BottleKeeper)

Scott Gerber
[原文]