ソーシャル・ネットワークの過剰供給

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世の中にはあらゆる用途のSNSが溢れ返っているが、我々はそれほどたくさんのサービスを本当に必要としているのだろうか?

インターネット上では新しいソーシャルネットワークが次から次へと誕生している。

「Jelly」はツイッターの創設者であるビズ・ストーンが立ち上げたことで話題の最新プロジェクトで、今週火曜日に満を持して発表された。ストーンは「検索の新しい形」だと主張しているが、蓋を開けてみれば単なるソーシャル・アプリケーションの一種であった。Jellyでは、既存のSNSで繋がっている友達に写真を送り、「これは何ですか?」という質問を投げかけることができる。

つまるところJellyとは、友達に頼って信頼に足る答えを得るためだけに、我々のモバイル端末にもう一つソーシャル・アプリのアイコンを追加するという代物なのだ。機能的にはQuoraとPinterestを融合させたもの、といった感じである。

最近ではビジネス雑誌のForbesまでもが「Stream」と称する小規模なソーシャルネットワークを開始した。Streamは、読者が記事を保存し、ForbesのiOSアプリ内で他の読者とそれをシェアできるというものだ。共有設定では公開と非公開を選ぶことができ、シェアされた記事は読者のタイムライン上に表示される。もちろん記事をFacebookやTwitterやTumblr等、他のSNSにシェアすることも可能だ。

モバイルが生む新世代のアプリ

デスクトップ・コンピューティングが主流だった頃には、ソーシャルネットワークの競合関係も分かりやすかった。Facebookは大学のキャンパスを制圧してライバルのMySpaceを追い落とし、あっという間に世界で一番巨大で中毒性のあるプラトフォームに成長した。

しかしスマートフォンが普及した今ではアプリが主流となったため、ユーザーは複数のサービスを使うことが以前より容易になった。この流れを受けて開発者たちは次々と新しいソーシャルアプリを生み出している。

後発のソーシャルアプリの大半は、FacebookやTwitterで既に築かれたユーザー間の繋がりを利用しようとする。新たにソーシャルアプリをダウンロードした場合、まず聞かれるのはどのSNSアカウントでログインするかという点だろう。そして、どれか一つを選んでログインすると、ユーザーがそのアプリを使い始めたという投稿がユーザーの友達に公開されるのだ。

これまでに数多くのアプリが現れては消えていった。新しいアプリは一時的にユーザーの興味を惹き、ユーザー数が急増してアプリストアのトップに上り詰めることもある。しかし投稿内容のクオリティーが低かったり他のサービスに時間を取られたりするとユーザーの興味は失われてゆき、「次世代のソーシャル・プラットフォーム」ともてはやされたサービスでさえもあっという間に時代遅れになってしまいかねない。

例えばPath。Pathは排他的なソーシャルネットワークで、特定の友達間でしか情報を共有することができない。友達の検索はFacebookのsocial graphとTwitterのアカウントを利用して行われていた。しかしこれをPathによるスパム行為と受け取ったFacebookは、Pathの友達検索機能をブロックしてしまったのだ。Pathのバリュエーションは一時期10億ドルを超えていたのだが、これを機に急速に人気とユーザーを失い、結局は新興ソーシャルアプリの典型的な下降曲線を辿ることとなった。

アドレス帳こそ元祖SNS

昔は友達と連絡を取るためにアドレス帳を使っていたことを覚えているだろうか?この古き良きアドレス帳が今では新しいソーシャルネットワークの原動力として生まれ変わり、Facebookさえもを脅かす可能性を秘めている。

あなたの電話帳に登録されている名前と電話番号は、おそらく実在する友達のものだろう。この点に目をつけ、電話帳へのアクセスを求めるアプリが最近急増している。

Snapchatものそんなアプリの一つだ。

2013年に大ブレイクしたSnapchatは、友達と仲間内だけで画像をやり取りできるソーシャルネットワークだ。シンプルでプライベートなこのメッセージ・アプリはスマートフォンにうってつけのサービスであり、中高生から圧倒的な指示を集めている。インターネットのトレンドをすべて満たしているこのサービスもまた、我々のアドレス帳に登録されたデータを利用している。

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最近Snapchatが400万人のユーザーの電話番号を流出させたことが議論の的となっているが、今後も友人の検索には引き続き電話番号が使われていくことになるだろう。個人を識別するのにこれほど便利なものは他にないからだ。

合併はあり得るか?

本来継続的な技術革新はサービスの独占を妨げるはずであるが、ソーシャルネットワークに関しては2社による独占状態が動かぬものとなっているようだ。周囲の友人はみなFacebookかTwitterで見つけることができるし、たとえ見つけられなくてもメールで連絡を取ることができる。

ソーシャルネットワークの目的は人と人を繋げることだ。このごく当たり前の欲求を満たす最適な方法を、今後も我々は探し続けるだろう。

起業家も開発者も人々のコミュニケーションを向上させたいと考えるなら、大量のユーザーを獲得しなければ生き残るのは難しい。

複数のソーシャルネットワークを合併させたり、あるいはプラットフォームの数を減らした方がいいとする理由があるとすれば、それは「時間」だ。ユーザーからすれば、貴重な時間を費やすにはそれに見合ったサービスがなくてはならない。十分な時間対効果が得られなければ、そのソーシャルネットワークは誰もいない不毛の地と化し、誰にも見られることのないアップデートを虚しく続けることになるだろう。

画像提供
トップ画像:Jelly
その他の画像:SeanMcEntee(Flickrより)

Selena Larson
[原文]