イタリア代表を世界王者に導いたマルチェッロ・リッピ監督は、ミランのマッシミリアーノ・アッレグリ監督について、次のように賛辞を送っている。

「毎年チームを変えられながらも、彼は常にリスタートさせることができた。アッレグリは素晴らしい。君らメディアはそれを分かっていない」

だが、今季のアッレグリ監督率いるミランは、チャンピオンズリーグ（CL）出場権を獲得してきた過去３シーズンと比べてうまくいっていない。勝ち点19、得失点差はマイナス（過去20年で最低のスタート）、ここ９試合で１勝、シーズン全体でも７勝という数字だ。

何があったのだろうか？　よく挙げられるのは、負傷者の多さだ（だが、２年前にもミランは同じ問題を抱えつつ、最後までスクデットを争った）。そして、ハイレベルなDFがいないことである。それらは事実だ。

だが、奇跡的な逆転劇でCL出場権を獲得した昨季と比べ、今季は完全なる再構築がなされたとは思えない。マッシモ・アンブロジーニ、マテュー・フラミニ、ケヴィン＝プリンス・ボアテング、マリオ・ジェペスといった選手たちが去り、加わったのは、カカー、アレッサンドロ・マトリ、アンドレア・ポーリ、ヴァルテル・ビルサ、マティアス・シルベストレ。あとはウルビー・エマヌエルソンの復帰だ。

だからこそ、再び疑問が湧き上がる。何が起きたのだろうか？　アッレグリ監督の契約状況がその答えかもしれない。彼の契約は今季で満了する。昨年と違い、すでにシーズン後に去ることが分かっている。「期限つき」が助けにならないことは、ミランの最近の歴史が示しているのだ。

1990-91シーズン、アッリーゴ・サッキ監督はサンプドリアに勝ち点５差の２位だったが、直接対決やアタランタ戦に敗れたことで、３月の時点で実質的にタイトルを逃していた。チャンピオンズカップでもベスト８で敗退している。

2009年、カルロ・アンチェロッティ監督のサイクルも、リーグ３位で終わった。後半戦、最後の４試合は勝ち点４という状況だった。翌年、シーズン中にシルヴィオ・ベルルスコーニ名誉会長と揉めたレオナルド監督も、最後のアウェー戦３試合で３敗、５試合で４敗している。CL出場権は獲得したが、当時のミランと今のミランではチーム力が違った。例外は、1996年にイタリア王者となったファビオ・カペッロ監督だ。

カリアリ時代のアッレグリ監督も同じである。2010年、すでにミラン行きを了承していた指揮官の下で、カリアリは９試合で勝ち点２と突然調子を崩し、マッシモ・チェッリーノ会長はアッレグリ監督を解任した。

ベルルスコーニ名誉会長との穏やかでない関係が続き、監督の契約が満了を迎える中で、それがラストイヤーになると分かっていれば、チームを従わせるのはより難しいものである。目標が遠くなってしまっていれば、なおのことだ。守備での注意不足や、攻撃における（シュートやラストパスなどの）選択ミスも、それが理由かもしれない。

絶対というわけではない（ユップ・ハインケス監督はバイエルン・ミュンヘンで逆のことを示した）。だが、過去にすでに現実化している危険でもあるのだ。今年もそうなるのかもしれない。