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その他アップルのiWatch、HTML5時代の到来、Andriodの64ビット化など、来年のトレンドを一挙に予想。

2014年、モバイル・ウェブは過去の遺物となるだろう。モバイル用のウェブ、すなわち通常のサイトをモバイル用という名目で劣化させただけの代物は葬り去られ、我々の心にもようやく平安が訪れることだろう。「mobile.yourawfulwebsite.com」などという見苦しいURLはもう見たくない。装飾過剰なゴテゴテしたサイトも、スマートフォンやタブレットで見ると重要な機能が使えないサイトもこれ以上はご免である。

さて、世間はどんな風にモバイル・ウェブに引導を渡すのだろうか。手厳しいやり方になることは間違いなさそうだ。モバイル・ウェブの終焉は無慈悲に手際よく、発展的解消を遂げる形で行われるのが望ましい。おそらくグーグル、マイクロソフト、アップルが先陣を切ってくれるだろう。

今年はモバイル端末上のブラウザにおいて、実に多くの技術的進捗が見られた。

・アップルはiOS7に合わせてSafariを高速かつ機敏なブラウザーに進歩させた

・グーグルは5月に開催された自社の開発者イベントGoogle I/Oで、最新のChromeブラウザを披露した。PC、タブレット、スマートフォンの各種デバイス上で、同一のウェブサイトがスムーズに実行されるデモンストレーションが行われた。

・マイクロソフトのWindows 8.1RT、Windows Phone 8に搭載された最新のInternet Expolorerは、同社がこれまで開発したものの中で一番多様性に優れ、最も高速であった。

・MozillaはFirefox OSを世界各国で販売した。Firefox OSはHTML5の原理で作られたブラウザ・ベースのモバイルOSだ。

モバイル・ウェブに終止符が打たれる大きな要因は、これまでモバイル・ウェブを表示させてきたモバイル用ブラウザの消滅である。モバイル用のエンジンを開発している各企業はこれを廃止し、代わりにどんなデバイス上でも動作するより完全なブラウザを提供しようとしている。2014年、これらのブラウザが最新版にアップデートされると共に、モバイル専用のブラウザはその役目を終えて永遠の眠りにつくことになるだろう。

この流れに合わせて、開発者達もあらゆるスクリーン・サイズに対応可能なウェブ・サイトを作成するようになってきている。旧式のサイトではモバイル・ユーザーのアクセスを失ってしまうという認識が広まるにつれて、このレスポンシブ・デザインは今後ますます普及していくだろう。

以上が私のモバイル・ウェブに関する予測である。2014年になれば私の読みが正しかったかどうか分かるはずだ。

2013年を振り返る

昨年も私は2013年のモバイルについて勝手な予想をたてていた。その結果は例のごとく当たり外れの混じったものとなっている。

私はBlackBerry(当時の社名はまだReseach In Motionだった)の新しいOS、BlackBerry10 が大当たりするだろうと予言した。結果、同社は今四半期に44億ドルの損失を計上している。

そう、残念だがこれは外れだ。だが次の予測は正しかった。マイクロソフトによるWindows Phoneの拡大である。Windows Phoneの人気は未だにiOSやAndroidには及ばないが、確実に足場を固めて拡大している。よってこの予測は当たりとさせていただきたい。マイクロソフトは今年Nokiaを取り込んだことでもあるし、来年はWindows Phoneにとって正念場となるだろう。

私はまた、アップルは今年まずiPhoneを、次にiPadをリリースするだろうとも言っていた。これも大当たりだ。iPhoneが9月、iPadは10月後半にリリースされた。ここで2014年に向けてささやかな予言をしておく。来年もアップルはまた同じことをするだろう。

グーグルのAndroid リリースには少々惑わされてしまった。私の予測では、今年はAndroid 5.0(Key Lime Pie)を含む3回のアップデートが行われるはずであった。結果、アップデートは2回、7月のJelly Bean 4.3と10月末のKitKat 4.4に留まった。Androidのメジャー・アップデートの時代は終わり、今後は小さな更新が繰り返されることになりそうだ。これは予測ではなく、単なる事実である。2014年には恐らく年の半ばに1度、終わり頃に1度、計2回のアップデートが行われるだろう。

今年、モトローラはNexus端末を作らなかった。代わりに作られたのはMotoXで、これもまあ悪くはなかった。モトローラはおそらく2014年も、NexusブランドではなくMotoブランドの端末を作り続けるだろう。

ロケーション・ベースの(位置情報を利用する)消費者アプリは私の予測通り、今年は停滞したままだった。Foursquareは最近増資を行ったものの、Foursquareとその仲間達はもはや時代遅れとなった感がある。

一方で、モバイル決済は地道に進歩しているようだ。個人的な話だが、私は毎日地元のコーヒー・ショップでSquare Walletを使っている。モバイル決済は2011年に想像されたような夢の技術とまではまだいかないようだが、確実に産業としての形を取り始めている。2014年には、Google WalletやSquareのようなアプリの利用率は確実に上がるだろう。大きな一歩ではないが、小さい一歩の積み重ねによって確実に前進している。

2014年を予測する

1. アップルはもうテレビを作らない

これ以上言う事は何もない。この噂には皆さんもうんざりしていることだろう。ティム・クックが実際のApple TVセットを壇上で披露するまで一旦忘れるとしよう。

2. iWatchは発売される

テレビのように複雑でコストがかかり、なおかつ競合がひしめいているマーケットに割り込んでいくよりはよほど現実的な目標だ。iWatchは革命的な商品という訳ではないだろうが、おそらくiPhoneの便利なアクセサリーとして人気を集めることだろう。私の予言はこうだ。iWatchは春に発表される。iPhoneと同じM7モーション・コプロセッサーを搭載しており、ユーザのフィットネス生活を支えるツールとして普及する。

3. サムスンのスマートフォンにおけるシェアは下がる

これはすでに進行中の可能性もある。同社の主力商品であるGalaxy S4は昨年のS3と同程度しか売れていないようだが、S4の性能がいまひとつであることを思えば別に驚くことではないのかもしれない。また、サムスンの過剰なマーケティングや独自過ぎるギミックの多用などもあまり評判が良くないようだ。

2011年や2012年に比べると、サムスンのスマートフォンはアピール力を失っている。同社は今後も間違いなく相当な台数を出荷するだろうが、これまで培ってきたグローバルなモバイル・リーダーとしてのステータスは失ってしまうかもしれない。モトローラやHTCがどれだけ突破口を開けるかが注目ポイントだろう。

4. HMLT5がモバイル・ウェブを席巻する

HTML5に否定的な意見を持つ人も多いが、実際のところ2013年にこの新しいウェブの標準技術は大きな飛躍を遂げた。Mozillaによって作られたWebAPIのおかげで、スマートフォンやタブレットにおけるHTML5ウェブアプリの動作はより高速でパワフルになった。CSSとJavaScriptを組み合わせることで、HTML5は未来のウェブを体現した姿となる。モバイルやPCといったプラットフォームに左右されない、真のウェブである。

5. Google Glassが一般向けに発売される

さまざまな意味合いにおいて、2013年はGoogle Glassにとってベータテストの年となった。Glassの「Explorers」プログラムは一部のテクノロジー愛好家達にも公開され、グーグルは未来のアプリ開発者達を確保した。そろそろグーグルは、世界中の興味を惹き付け、時には論争の的にもなっているこのサイボーグ的なヘッドセットを解放する時が来ているのではないだろうか。私の予言はこうだ。グーグルは次のGoogle I/OでGlassの一般向け販売を発表し、その価格は299ドルになる。

6. Androidの64ビット化

これは決して大胆すぎる予言ではない。ARMは数年前に64ビット・アーキテクチャを発表しており、2014年までには一般普及させたいと考えている。アップルはすでにARMの64ビット動作をiPhone5SとiPad Airで実現済みだ。グーグルのお墨付きを得て、サムスンが最初の64ビットAndroid端末を出すのは時間の問題だろう。

7. 「モバイル」という考え方が無くなる

2007年にアップルがPCの処理能力を携帯電話に詰め込んで以来、IT業界は同様のシステム、機能、プロセスをこの新しいジャンルの端末に取り込もうと努力してきた。今では消費者、企業、広告、産業、農業…コンピュータに関わるすべてのものが、モバイルの時代に追いつこうとしている。

モバイルの時代に追いついた暁には、人々はそれを「モバイル」という特殊なものだとはもはや考えず、ただ単にどこでも使えるコンピュータだと認識するようになるだろう。いわゆるユビキタス・コンピューティングの時代は既に到来しているのである。

画像提供
トップ画像およびHTML5画像:Madeleine Weiss
iWatch画像:2010 iWatch concept video by ADR Studio
Google Glass画像:tedeytan(Flickrより), CC 2.0

Dan Rowinski
[原文]