AndroidタブレットはiOSを超えられるか? 答えは開発者達のインカムにあった

Androidの出荷台数や普及率を追う事は難しい。そこで開発者達への支払いデータから実態を読み解いてみよう。

Androidがタブレットで成功を収めている事は間違いない。しかしその実態を知る者はどこにもいない。アップルは嬉々として自社のタブレット出荷台数を発表してきたが、サムスンや他のAndroid端末メーカーは台数を全く公表しようとしないのだ。つまり、実際どの位の数のAndroidタブレットが出荷されて使われているのかという点は、闇に包まれたままなのである。

しかし、開発者達の動向を伺うことで、Androidの本当の普及率を知る事は可能なのだ。

Androidにおけるブラックボックス

2014年のタブレット市場におけるAndroidのシェアは65%を超えると見込まれている。IDCの予測だとそれより少し低い数字だが、いずれにせよAndroidが急成長している事は間違いないだろう。

Androidタブレットの成功の秘訣はスマートフォンと同様、後進国の市場においてアップルの高額な商品群よりも安価な商品を提供している、という点にあるようだ。Canalysのシニア•アナリストであるティム•カウリングは「このビジネスモデルを考慮すると、アップルのマーケットシェアが下がり続けることは避けられない」としている。

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まずはAndroidの数を正確にカウントすべきなのだが、Asymcoのアナリストであるホレース・デディウは、ベネディクト・エヴァンスのAndroid普及率に関する分析を元に、その実態を正確に把握する事の難しさを以下のように指摘している。

「Anroidの出荷台数を発表している企業はない」

「米国と欧州では小売業を介さずに販売されている(欧米において小売業は調査会社のデータサンプリングの対象となっている)」

「Androidはブラウジングやネット広告のトランザクションデータに表示されない」

「AndroidはGoogle公認のAndroid製品として売られていないものが多い為、Google Playも殆どのアクティベーションを認識していない」

本来Androidの普及率などはWebトラフィックから簡単に読み取れるはずである。しかし、これは1年程前にも私が指摘したことなのだが、どうやらAndroidユーザーはiOSユーザーに比べ、ウェブ利用に関してかなり遅れを取ってしまっているようだ。デディウによれば、Androidタブレットの多くはおそらくただのビデオコンソール、つまり動画専用端末と化してしまっているのだという。きっとそれはその通りだろう。
ただ、彼の指摘の中にはそれよりもっと興味深いものがあった。それは、開発者達への支払い額のデータを通じてAndroid普及率を知ることができるとした点だ。

開発者が潤う時、そのマーケットは拡大する

デディウは、以前に存在したvideoCD等のいくつかの技術がすぐに消えてしまった理由として、それらの技術の存続を支えていたのは開発者の興味だけであったいう点を挙げ、最終的に彼らの興味は現金に帰結する、とした。

「動画専用端末とまでこき下ろされ、ブラックボックス化したAndroid端末が、iPadのマーケットシェアを覆すほどの存在となるかどうかは、特定の地域への出荷数だけを見ていても決して読み取れません。それを取り巻くエコシステム、要はバリューチェーンの存在に大きく依存するのです。以前videoCDの置かれたエコシステムではコンテンツが全く重視されず、利益を生み出すバリューチェーンの構築に失敗しました。そして、より優れた技術の登場と共に衰退していったのです。一方、コンテンツを重視しているエコシステムの中ではバリューチェーンが構築され、開発者達の収益を保証してくれます。そして、その収益は測定できるのです。

これ以上分かりやすいデータはありません。アップルもよく言うでしょう。「これが開発者への総支払額だ」と。

少し前にアップルは、開発者達がiOSアプリの販売で130億ドルを稼いだと発表した。グーグルはそういったデータを公表していない。それはAndroidのエコシステムが細分化してしまっているせいでもあるようだ。しかしBusiness Insiderは自社で独自にデータを分析した結果、AndroidはまだiOSには及ばないものの、大分その差を縮めてきている、と結論付けた。


グーグルは開発者達のマネタイズを強く後押ししており、Android開発者の収入はさらに増えそうだ。今年のはじめに行われたGoogle I/Oで、Androidプロダクト管理を担当しているヒューゴ•バッラ副社長は出席者達に、この4ヶ月間で開発者達に支払われた金額が、それ以前の12ヶ月の累計を超えたと話していた。

開発者への支払い額の差は縮まってきている?

正確な数字を把握できないとはいえ、Androidタブレットの出荷数と利用者が増えていることは否定できないだろう。グーグルが開発者のマネタイズを後押ししていることも考え合わせると、いずれアップルのように開発者への支払額を公表する時が来るのかもしれない。しかしながら現時点では、AndroidタブレットはiPadと違って非常に限られた使い方しかされていないという点を考慮すれば、アップルと比べて開発者への支払い額が相当低いとみなされても仕方がない。

もし今のこの限定的な使われ方、つまり動画専用としての使われ方でも開発者がアップルと同等、又はそれ以上の支払いを受けていたのだとしたら、我々のAndroidに対する見解を改める必要があるだろう。いずれにせよ、今のところその答えは開発者だけが知っているようだ。

Matt Asay
[原文]