スーパーアグリ・フォーミュラEのイメージ画像。初年度はルノーが監修したマシンでのワンメイクで、シャシーはダラーラが担当(

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11月1日、来年9月から始まるEV(電気自動車)レース「フォーミュラE選手権」に、元F1ドライバー・鈴木亜久里氏のレーシングチーム「スーパーアグリ」が参戦することが発表された。

2006年から2008年のシーズン途中までF1に参戦していた「スーパーアグリ」。日本のモータースポーツファンが待ち望んでいた今回の電撃復活だが、この「フォーミュラE選手権」とは、いったいどんなレースなのか?

FIA(国際自動車連盟)公認の、本格的なEVフォーミュラカーによる初めての選手権である「フォーミュラE選手権」。EVのエコなイメージと、音が静かという特徴を生かし、2014年9月から2015年6月まで、香港、ロサンゼルス、モンテカルロ、ベルリンといった市街地コースを舞台に、全10レースが開催される予定になっている。

気になるマシンだが、1年目はルノー監修の「スパーク・ルノーSRT 01 E」による事実上のワンメイクレースとなるもよう。車重は800kgだ(ドライバー込み)。

そして、モーターはマクラーレンが開発。その出力は予選で約270馬力、決勝ではセーブモードで約180馬力に抑えられる。だが、追い抜き時のみボタン操作でフルパワーを使用可能となる。

また、バッテリー容量の問題で、約1時間のレース中、2度のピットインが義務づけられており、ドライバーは2台のマシンを乗り換えながらレースを戦う。タイヤは市販車に近いミシュランの全天候型だ。

初年度となる2014−2015シーズンは10チーム、20台の参加が見込まれており、すでにそのうちの5チームが発表されている。そこには「スーパーアグリ」だけでなく、アラン・プロストやマイケル・アンドレッティといった、F1やインディカーの元大物ドライバーが各チームの代表として名を連ねている。

鈴木氏率いるチームの正式名称は「スーパーアグリ・フォーミュラEチーム」。エグゼクティブ・チェアマン(会長)は鈴木氏が務め、チーム代表のマーク・プレストン以下、主要スタッフはスーパーアグリF1のメンバーが中心だ。

鈴木氏に、スーパーアグリ復活に至った経緯と、なぜEVフォーミュラなのかを聞いた。

「スーパーアグリF1のときのスタッフからフォーミュラE参戦の話を持ちかけられ、スーパーアグリの名前を使えないかと相談を受けました。参戦枠10チームに入ることができそうだったのと、電気自動車に興味があったのでエントリーしました。僕としてはあくまでも元チームスタッフの熱意に協力したいというスタンスです。

近い将来、自動車業界も電気自動車に変わっていくと感じていたところでの今回の話でした。タイミングが合ったということもありますが、環境にも優しく、新しい技術開発の場としても興味深いプロジェクトだと感じています」(鈴木氏)

つまり、今回のプロジェクトは鈴木氏自身のモノというよりも、彼がスーパーアグリという「ブランド名」を貸し出したと考えるほうがよさそうだ。

この「フォーミュラE選手権」。開幕戦は2014年9月20日・北京(中国)。その後、2015年6月27日の最終戦・ロンドン(イギリス)まで、アジア、南米、北米、そして欧州の10都市を転戦する。

■週刊プレイボーイ48号「スーパーアグリ“電撃復活”の舞台裏」より