8月21日、日米通算4000安打を達成したニューヨーク・ヤンキースイチロー。日本プロ野球で1278安打、そしてメジャーリーグで2722安打(4000安打時点)。プロ入りして22シーズンで築き上げた金字塔だ。

今後、ピート・ローズ超えの日米4257安打、さらにはメジャー3000本安打などの記録達成に期待がかかるイチローだが、どうやらこのふたつの記録はあくまで通過点になりそう。

「トレーニング、試合に臨む姿勢に一切の妥協がなく、それゆえ故障もほとんどありません。今後、2番ないし6番以降の下位打順でも年間100試合以上に先発出場すれば今季もあと50安打、来季も150安打が期待でき、2年後の2015年夏には日米4257安打が達成されるはずです」(データ分析などで知られるスポーツ・アクセスの小野俊哉氏)

この先、イチローは何をモチベーションにし、どこに向かうのだろうか。メジャーリーグ評論家の福島良一氏が言う。

「昨年7月に移籍したとき、あのイチローが“打順は不動の1番でなく、守備はレフト、ベンチスタートもある”という条件を受け入れてヤンキースに入った。この時点で彼のモチベーションはチームの勝利、そしてワールドチャンピオンに切り替わっていると思います。

そしてワールドチャンピオンになれば、その後は再び個人記録に向かうように思います。ピート・ローズが45歳まで現役を続けたのは、タイ・カッブの通算安打記録を更新し、歴代1位のヒットキングになるためでした。イチローもまた、最終的には個人の記録に挑むと思います」

となれば目指すは前人未到の5000本安打か。スポーツジャーナリスト・二宮清純氏が予測する。

イチローのコンディションからいえば、最低でもあと5年はメジャーでやれると思います。そうなれば当然、5000本も視野に入ってくるでしょう。彼は会見でも『諦められない自分がいることを諦めた』と言ってましたよね。彼は妥協しない男ですから、ワールドチャンピオンと5000本安打のふたつをモチベーションに今後はプレーしていくと思いますね」

4000本安打達成後の会見で早くも5000本安打の可能性について質問され、これに平然と、「ゼロではない」と答えたイチロー。会見後は「気の早い質問だけど、自分にしかこない究極の質問だよね(笑)」とまんざらでもなかったという。

ちなみにイチローが仮に来年以降も毎年、年間150本ペースで安打を打ち続けると2020年には5000本安打に到達し、さらに3年後の2023年、イチロー50歳のシーズンにはメジャー記録だけでピート・ローズに並ぶ計算になるが、果たして?

■週刊プレイボーイ37号「201X年 イチロー、日本球界電撃復帰の条件と可能性」より