先日、2年ぶり4度目の交流戦優勝を果たした福岡ソフトバンクホークスだが、その裏で、松中信彦優勝セレモニーの出席を拒否したとして、2軍降格を言い渡されたことが話題になっている。

 15日、福岡市の西戸崎合宿所で練習を行った松中は、「監督、チームメート、ファンに迷惑をかけたのは事実。しっかり反省して、今日から新たな気持ちで頑張りたい。意識を高めて若手の見本になれるように頑張ります」と話した。

 ここ最近、頻繁に耳にする懲罰の話題。やれ女性問題が明るみに出ただの、やれプレーが怠慢だっただの、やれ集合時間に遅刻しただのと、理由はいろいろだが、監督はエースだろうと、主砲だろうと、期待の若手だろうと関係なく大鉈を振るう。

 米国でも、主にマイナーリーグで、このような懲罰が見られる。例えば、三振を喫した打者が思わずヘルメットやバットをグラウンドに叩きつけたとする。それが自身への悔しさから、ついやってしまった行為でも、監督はマナーに反するとし、選手に交代を命じることがある。

 このような懲罰はもちろん、その選手を教育するためだ。監督は、道を誤った選手にあえて厳しい措置を与え、そこから人間的に成長することを期待している。

 いわゆる、愛の鞭というわけだが、その鞭のおかげでチームに負けが込んだり、優勝を逃そうものなら、大変だ。
 それまで懲罰を支持していた周囲の反応は一変。なぜあの選手を外していたのか、懲罰の中身が重すぎたのではないかと、非難の矛先はいっせいに監督に向かう。

 そうでなくとも、監督の寿命はかつてに比べ、短くなっている。わずか2、3年間、チームが低迷しただけで、簡単に首を切られる。

 メジャーリーグには、「疑わしいときは、監督を解雇しろ」との格言がある。選手の首を切るのは難しいが、監督はそうでもないという意味だ。

 このような厳しい条件の中で監督は、チームを指揮しながら、選手を教育しなくてはいけない。愛の鞭を振るうのも、一苦労なのだ。