今回の研究結果から広がる「味覚を介したNa+/糖ホメオスタシス維持機構」の分子基盤の解明は、「Na+過剰摂取」や「糖過剰摂取」の原因解明に、そして新規塩味抑制・増強物質の探索は食を介した「生活習慣病に対する新たな予防・治療法の開発」につながることが期待されるという。また味覚器における今回の研究結果は、塩味受容体ENaCが機能する腎臓、唾液腺など全身のNa+代謝組織に反映され、さらに甘味受容体T1rが機能する膵臓、消化管、視床下部など糖代謝組織にも反映される可能性があるとした。

研究チームは今後、AS塩味感受性の抑制効果の分子メカニズムはどうなのか、アンジオテンシンII-アルドステロン関連分子であるレニン、アンジオテンシノゲンやアンジオテンシン変換酵素の関与はどうなのか、そしてヒトでこのアンジオテンシンIIによる味覚感受性調節システムが存在しているのか、存在しているならレニン-アンジオテンシンII-アルドステロン関連分子の遺伝子多型性(SNP)と味覚感受性が相関しているのか、高血圧/肥満/糖尿病発症と塩味/甘味感受性が相関しているのか、など多くの疑問を1つずつ解明していく予定だという。その過程で前述のように健康維持につながる新たなターゲットが生まれるものとしている。



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