テクノロジーの進化が私たちの生活を困難にしている? 映画「サバイビング・プログレス」にLUNA SEA・SUGIZOからのメッセージも到着
「進歩」とは「文明が望ましい方向へと進んでいくこと」。身の回りの生活が便利になり、人類は進歩していると言う人も多いと思いますが、果たしてそうなのでしょうか。
■映画「サバイビング・プログレス −進歩の罠」
東日本大震災、そして福島で起こった原発事故をきっかけに、エネルギーの使い方をはじめとした私たちの生活に疑問が生まれました。生活が豊かになっていくと思っていたことが、思いもよらない困難を作り出してしまったのです。目先の利益のために将来を犠牲にする「進歩の罠」とは? 映画「サバイビング・プログレス −進歩の罠」はこれまでも歴史の中で繰り返されてきた文明の破壊を指摘し、現在の文明に警鐘を鳴らしています。
映画に出演している「地球にやさしい生活」のコリン・ビーバン監督は、未来を変えようとする努力の可能性について話します。人の本質は他者と同じように生活することだ、としながらも「本当に必要なもの」を選び生活することが必要だと言います。節電することや、省エネ家電を選ぶこと……これならできそうです。
「サバイビング・プログレス −進歩の罠」は製作総指揮にアカデミー賞受賞監督のマーティン・スコセッシ、「ザ・コーポレーション」監督のマーク・アクバーを迎えた圧倒的なドキュメンタリーです。ベストセラー作家のロナルド・ライトをナビゲーターに出演者もコリン・ビーバンほか、理論物理学者のスティーブン・ホーキンスや前IMFチーフエコノミストのサイモン・ジョンソンなど出演者も豪華。日本でも多くの著名人が映画にコメントを寄せており、ロックバンドLUNA SEAのギタリストSUGIZOさんもその一人です。SUGIZOさんは音楽活動の傍ら、平和活動や環境活動にも力を入れていることで知られています。
■進歩の過程で人間は中身が成長していなかった
映画とともに人類の進歩史を振り返ったSUGIZOさんは「技術の発達に人間のソフトウェアが追いついていない」とコメントしました。「科学技術の発達は人間の探究心とともに進化してきたが、倫理観や心、人間の一番大事な部分がまだ成熟していない」と進歩の罠に陥った原因を指摘。この未熟さが「ほどほど」という言葉を知らず多くの対立を生み出した原因になっているのかもしれません。
では、その未熟さを持つ私たちはどういう選択をしていけばいいのでしょうか。SUGIZOさんが出したひとつの答えは「どうすればこの文明が生き残れるかということを考えること」でした。日本で暮らしているからといって無関係ではない世界の問題を、自分のことだけではなく「人類がどうすれば生き残れるのか」と考える。正しい選択の必要性をSUGIZOさんは訴えました。
振り返ると、今までもいくつもの文明が滅んでいます。かつてはその地域の資源を使いきったとしても違う地域へ移動することができましたが、それはもう無理。グローバル文明が崩壊したときに、私たちには次に移動する場所がないからです。地球のサイズは変わりませんが、世界はぐっと狭くなりました。
「この世界でどう生き残るのか?」
映画の問いかけが心に残ります。映画の冒頭で人間だけが唯一理由を探す動物だ、とありました。自ら生み出してしまった困難を乗り越えるために悩むことも人間にしかできません。
SUGIZOさんも「テーマが広く、テンポが早いので一度見るだけでは難しい」と言うほど内容の詰まった「サバイビング・プログレス −進歩の罠」は3月23日よりロードショー。内容はもちろん「音楽もすばらしい」というお墨付きです。
サバイビング・プログレス −進歩の罠