試合 :ロシアチャンピオンリーグ 第12節
開催日:2012年10月21日
結果 :CSKAモスクワ勝利
スコア:「2−0」
得点者:エルム(PK) ムサ

○ CSKAモスクワ

FW:アフメッド・ムサ
MF:ツァウニャ 本田圭佑 トシッチ
MF:エルム ポントゥス
DF:ナバブキン イグナシェヴィッチ V・ベレズツキ フェルナンデス
GK:アキンフェエフ

FW:アフメッド・ムサ
MF:ツァウニャ ママエフ ゴンザレス
MF:ネトフリン ポントゥス
DF:ナバブキン イグナシェヴィッチ V・ベレズツキ フェルナンデス
GK:アキンフェエフ


ムサと本田の関係性というのは、岡崎と本田、佐藤寿人と本田、というイメージよりも、乾と本田、宇佐美と本田、というイメージの方が近い。ムサはVVVフェンロで吉田やカレン・ロバートと共にプレーしていたので、その時からよく知っていますが、VVVフェンロ時代は完全なサイドアタッカーだった。スピードが有り、長い距離を走ったりドリブルしたりできる選手で、カウンタースタイルには効果的な選手だと思う。

また、1トップとして起用されても、サイドに流れてボールを引き出したり、サイドからプレーをスタートさせたり、という事ができるので、それほど多くはサイドに流れないトップ下の本田との相性は良い。更には、サイドの選手とポジションチェンジもできる、というメリットも有る。個人的には、日本代表でも、本田をトップ下で起用するならば、カウンターの威力を考えれば、1トップにはスピードがあるタイプの選手の方が良いと思っていますし、更には、その1トップの選手が、ムサのようにサイドに流れても威力を発揮できるような選手であれば理想的だと考えています。

この試合のCSKAは「4−4−1−1」という形に近く、少し前までは「4−2−3−1」のような形で2列目が流動的に動くような攻撃をしていましたが、この試合ではサイドのツァウニャとトシッチがサイドに張ってプレーしている事の方が多く、DF4枚とボランチ2枚は基本的にはあまり攻撃参加せず、その後ろの「4−2」を守備ブロックの軸として、そこにSHが加わって「4−4」の守備を作り、前の本田とムサを起点にして攻撃、という戦い方でした。

サイドのツァウニャとトシッチが、あまり中盤の中央には入って来ないので、その中盤の中央の広大なスペースを本田が自由に動いてプレーする、起点を作る、という事になっていましたが、その本田のパフォーマンスは10点満点中6点から7点ぐらいでした。中央に広大なスペースがあって、そのために本田は自由に動いてプレーできた、というメリットもありましたが、一方では、ボランチやSHとの距離が遠くて孤立気味だった、というデメリットもあり、そこが本田としてはやりにくかったような感じでした。

ちなみに、ムサと本田の関係性を香川と本田の関係性(両者中央の時)と比較してみると、明らかに異なる部分は、その2人のポジションが100%明確である事。ムサが1トップで、本田がトップ下。ゼロトップでは当然無く、本田はCSKAでもトップ下時に2トップのように前に入り込み過ぎてしまう時もありますが、この試合では守備の時にはボランチの位置まで下がって守備に加わるなど、あまり前線に入り込まずにプレーしていました。日本代表でもそうですが、やはり、1トップではなくトップ下の時の本田は、ボランチの仲間としてプレーした方が効果的かなと思います。

但し、CSKAは後ろの「4−2」の守備ブロックの位置が少し低くて、それはリスクマネージメントという部分では確実と言えば確実ですが、また、前半の立ち上がりはハイプレスが効いていましたが、次第にその威力が落ちてしまった事が、後ろの「4−2」の守備ブロックが低くなってしまった原因でもあったと思いますが、その守備ブロックの位置をもう少しでも前に上げられるようになると、それで守れるようになると、CSKAの攻撃力は更に上がるようになるかなと思います。

という事で、試合の方は、後半24分、ツァウニャのパスを受けたムサがDFラインの裏へ抜け出し、PA内で倒されてPKを獲得。そのPKをエルムが決めてCSKAが先制。そして、相手が一人退場となった後の後半37分、再びツァウニャのパスからDFラインの裏へ抜け出したムサがGKもかわしてシュートを決め、これでCSKAが追加点。その後、本田は後半38分にベンチに下がりましたが、試合はそのままスコア「2−0」でCSKAが勝利、という結果になりました。

個人的な理想を言えば、もっと全体的に縦にも横にもコンパクトにして、そこで「4−4」の守備ブロックを作り、味方選手がもっとトップ下の本田の近くでプレーして、そこで本田とボランチの選手が入れ替わったり、中盤の5人の選手でポゼッションしてSBの選手がもっとオーバーラップしたり、という戦い方ができると良いかなと思っています。ロシアチャンピオンリーグ国内では、この試合のような戦い方が確実かなとは思いますが、CLで、という事になると、もうワンランク上のサッカーが必要とされてくるかなと思います。