「アシュラ」2012年9月29日(土)ロードショー。

(C)ジョージ秋山/アシュラ製作委員会

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「生まれてこないほうがよかったのに」

1970年から1971年にかけて少年マガジンで連載されていた『アシュラ』(ジョージ秋山)が9月29日から劇場公開されることが決定。公式サイトも昨日(5月15日)オープン。
監督は「TIGER&BUNNY」のさとうけいいち、脚本は「モノノ怪」「墓場鬼太郎」「図書館戦争」なども手がけている高橋郁子。
声優が、豪華! メインキャラクター、アシュラ役は野沢雅子、法師役は俳優の北大路欣也が演じる。ほかにも林原めぐみ、玄田哲章、平田広明、島田敏、山像かおり、山口勝平、水島裕などベテランがズラリ!

パンフには「絶対にアニメ化できないマンガNo.1」とある。なぜだろう。
おれが生まれる17年前のマンガなのか。読んでみた。

「ギャワーン」
たしかにこれはアニメ化できない。読んですぐ思った。なんせ、いきなり男が子どもを食べているシーンからはじまる。
妊娠している女が、人肉を食べる。おなかの子どもに栄養を与えるためだ。生まれた子ども(アシュラだ!)におちちを飲ませるために、また人肉を食べる。腐っている死体から、うじを払いのけ、食う。
とうとう、食べ物がなくなった。どうする。母親は〈食べられるのはお前だけ……〉。火のなかにアシュラを放り込む。焼かれながら、思う。
「生まれてこないほうがよかったのに」
嵐が巻き起こり、川に流されたアシュラは一命を取りとめる。

15世紀中期(室町時代)。災害により荒野と化した京都。飢饉のため、獣のように生きていくしかない世界。少女、若狭や法師と出会い、アシュラの人間性は目覚めていく。

圧倒された。あやうく電車を乗り過ごすところだった(終電なのに!)。
過去、一部地域で有害指定図書に指定され、少年マガジンが回収騒ぎになったこともあるらしい。どこのページを読んでも、「これ、どうやってアニメで表現するんだ……?」という場面ばかり。映画は、年齢指定などは特にないそうなのだが、いったいどのように仕上がっているのだろうか……。

公式サイトオープンと同じ5月15日に開催された、EMIミュージックジャパンの新人コンベンション「EMInext」に、「アシュラ」の主題歌を担当する小南泰葉が出演。
客席は全員音楽業界人と取材関係者(150〜200人くらい?)だから、歌っている間の手拍子もないし、絶対みんな真顔。うーん、やりにくいだろうなー。がんばれー。
ステージに用意された巨大モニタで、「手作り藁人形を販売しながらライブを続け……」と紹介されている小南泰葉。えっ? 手作り藁人形。なんだそれは。でも、なんだかそれだけでも「アシュラ」の世界観とマッチしてしまうような気がする。や、「アシュラ」に藁人形出てこないけどね。

途中、スペシャルゲストが登場。お、誰だろう。
「アシュラ役の野沢雅子さんです」
「主題歌を披露する小南ちゃんの応援にかけつけないとと思ってやってきました!」
ええっー、すごい、スペシャルすぎだろーー。おれは「ドラゴンボール」で育った世代、もう、子どものころからずっと悟空や御飯の声を聞いて育っているわけですよ。大感激!
主題歌「希望/trash」演奏のあとに、4分ほどのダイジェスト版が流れる。とにかく映像、すごかった! 水彩画をCGで動かしている(ハイブリッド・アニメーションというらしい)。
あと、原作では若狭が父親と人肉を食べていたシーン。ダイジェスト版では、人肉を食べようとしていた父親の手を払いのけていた。もしかしたら、話の展開、けっこう変わるのかも。あ、想像で言っているから、外れたらゴメン。
法師が自分の腕を切り落とすシーンも、かなりアップで描かれていた。残虐シーンはあるのかどうか気になっていたけど、原作に負けないくらいの迫力だった。わー、はやく本編が観たい!

50を超える映画祭コンペ部門にエントリーされており、世界最大規模の国際アニメ映画祭である、アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)では、最優秀長編映画賞へのノミネートも決定するなど注目を集めている。
連載から42年経ったいま、どんな「アシュラ」が観られるのだろうか。9月が待ち遠しいギャ。
(加藤レイズナ)