本場ブリュッセル市内のビール博物館では日替わりで2種類のビールを楽しめる

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ビール大国ベルギー。各地方で造られる様々な味や色のビールは、ベルギー人だけでなく、観光客も多いに楽しませてくれる。近年は日本でも海外ブランドのビールを出すバーが増え、日本にいながらにして様々なベルギービールを飲む機会も増えた。一体、ベルギービールとはどのようなものなのだろうか?

「ベルギービールは、主に4種類の異なった醸造方法で造られます。一つ目は下方醗酵ビールと呼ばれ、低温で長時間かけて造られるもの。ピルスナー等、日本でよく飲まれているビールはこの方法です。二つ目は上面醗酵ビール。常温を用いて短時間で造られます。白ビールや修道院で造られるトラピストビール等がこの製法です。三つ目は自然醗酵ビール。これはランビックやグーズと呼ばれ、空気中にある自然酵母だけを使ったもの。サクランボや桃等をつけ込んで造られるフルーツビールもこの方法で造られます。そして四つ目が、それ以外の方法で造られるものに分類されます」(ビール博物館/ブリュッセル)

種類だけでなく、フランスにおけるワインと料理の関係のように、ビールと料理の相性もとても大切になのだとか。食事によって合わせるビールが変わるのだ。
「例えばピルスナーや白ビールはシーフードや鶏、牛肉等の料理に合いますが、強いチーズには合いません。一方でグーズはそれらチーズに合いますが、牛肉には合わないのです。フルーツビールは食前か食後向きです」(同)

さらに、注ぐグラスもビールごとに専用のものが用意されていたり、給仕の仕方もコツがあるという。上手なビールの注ぎ方とはどのようなものなのか。
「普段、ビールは暗く乾燥した場所に保管してください。そして飲む際は、24時間以上前から冷蔵庫で冷やします。喉の乾きを癒してくれるような軽いタイプのビールは3℃前後。味わいを楽しみながら飲むコクのあるものは6〜8℃前後にします。それぞれ注ぎ方も異なり、前者はグラスをわずかに傾け、次第に直立に起こしながら入れます。そして、グラス上方の余分な泡をナイフ等でさっと取り去り、グラスの外側をきれいにしたら出来上がりです。後者の場合は、ビール上部が豊かに泡立つように少しずつゆっくりと注ぎます。グラスの途中まで注ぎ終わったらしばらく置き、その後グラス上方まで満たします。ボトル下部に残っている酵母の澱は瓶の中に残すこと。またビールを注ぐグラスは乾燥させておきましょう」(同)

知れば知るほど奥が深いベルギービールの世界。あまたある種類の中から自分のおすすめを探してみよう。
(加藤亨延)