クセになる美味しさ、カレー風味の昆布チップ

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11月15日は「昆布の日」。何の語呂合わせ? と考えた人もいるかもしれないが、そうじゃない。七五三のこの日、子どもたちに昆布を食べて丈夫になってもらおうと、日本昆布協会が1982(昭和57年)に制定した記念日だ。

昆布といえば、最近では原発事故の報道に伴って、「放射性ヨウ素の影響を予防・除去できる」などの情報がネットや口コミで広がり、昆布製品の品切れが相次いだことを記憶している人も多いだろう。

こうした背景から、昆布の正しい知識の普及と啓発を目的に「昆布の栄養機能研究会」が今年6月に発足。先日、「現代人がいま知っておきたい昆布のこと」と題したプレスセミナーがおこなわれた。

まず、気になる放射性ヨウ素の影響予防についてだが、あらかじめ昆布を食べていると内部被爆を抑制するというデータもあることはあるが、ごくわずか。普段から適量に摂取するのはおすすめだが、実際に被爆したときや被爆の可能性がある場合の対策として、昆布を大量に摂取することは正しい反応ではない、というのが同協会の見解だ。
「風評に流されやすい日本人気質から、過剰に反応しすぎたのではないか」
というのは同会の会長で東京海洋大学大学院の特任教授でもある矢澤一良さん。同会の調査でも、当時情報を知っていた人の約25%が昆布製品を買ったことがわかっているそうだ。

ところで、昆布といえば、育毛を促進したり、髪の毛が黒くなるというのもよく聞く話。だが、これについても学術的根拠はないという。矢澤さんも、
「私もよく食べていたけれど……」
といいながら自身の白髪をなでていた。

日本人の食卓に欠かせない食材でありながら、意外に正しく理解されていない昆布。味はもちろん、栄養価にもすぐれており、ミネラルや食物繊維がたっぷり。糖質や脂肪の吸収をおさえ、肝臓への脂肪の蓄積や血糖値の上昇を抑制する効果があるとされ、メタボ対策としても積極的に摂りたい食材だ。

だが、日々の料理に昆布を上手に取り入れられている人はあまり多くない。同会の調査でも、40%以上の人が出汁をとった後の昆布をそのまま捨てていることが判明。セミナーでは、医学博士・栄養管理士の本多京子さんが考案した昆布の活用レシピも紹介された。そのひとつ、「カレー風味の昆布チップ」は出汁をとった後の昆布を小さく切り、小麦粉をまぶしてフライパンで揚げ、カレー塩をふるだけの簡単レシピ。カレー塩だけでなく、ハーブ塩や一味など味のバリエーションも楽しめ、おつまみやお茶菓子にぴったりだ。ちなみに昆布の出汁は水でとるのが便利。出汁昆布を水につけて冷蔵庫で一晩置くだけでよく、冷蔵庫で1週間は保存可能、冷凍もOKだという。

とろろ昆布を使ったスープもレパートリーに加えたい。市販のフリーズドライのかき玉スープにとろろ昆布とおろし生姜と入れれば、寒い冬にぴったりの味わいに。また、即席お吸い物のもとに、とろろ昆布と揚げせんべいとゆず胡椒を加えれば、即席せんべい汁に早変わり。アイディア次第でほかにもいろいろ楽しめそうだ。

海の野菜ともいわれる昆布。もっと上手に活用していきたいですね。
(古屋江美子)