高架下に生まれた“ものづくりの街”
買い物するスポットは、いつも大体決まっている。この年齢(33歳)でナンだが、渋谷〜原宿間を明治通り沿いに1時間以上かけて歩き続ける。そうすると、いつの間にか手にはたくさんの買い物袋が。
欲しいから買っているのだろうけど、こんなにも物欲を刺激させる街並みは困りモノだ。逆に言えば、それだけ魅力的なショップが多いということか……。
他にも買い物スポットというか名店街は、色々あると思う。楽器だったら御茶ノ水に、服の生地が欲しかったら日暮里へ。
そして、クリエイターの手がける作品が欲しくなったら、今度からはここを覗いてみるといいかもしれない。9月29日にグランドオープンとなった「2k540 AKI-OKA ARTISAN」は、御徒町〜秋葉原間のJR高架下に誕生した商業施設。そして、この施設のテーマはズバリ、“ものづくり”である。
はっきり言って、聞きたいことが山ほどある。そこで、同施設を運営する「株式会社ジェイアール東日本都市開発」に話を伺ってみた。まず、どうしてこの場所にこの街を? 何も、わざわざ高架下に……。
「遡ると、秋葉原周辺にあった神田青果市場の移転がきっかけの一つとして挙げられます。その後、市場の倉庫・バックヤードとしての役割を担っていた同敷地は、市場移転以降の周辺再開発から取り残されてしまっていました」(「2k540」所長・宮森さん)
高架下は、時に“暗い”、“汚い”、“うるさい”といったイメージを我々に与えることがある。実際、このエリアに対しても「何とかしてほしい!」という地元からの要望が寄せられていたそうだ。だからこそ、人の流れをつくって活性化させたかった。
では、どうしてコンセプトに“ものづくり”を?
「この辺の地場産業として、革製品やジュエリー関係が非常に多いというのが一つあります。あと、ここから近い場所にある馬喰町に若いクリエイターやものづくりをしている方が非常に多く点在しているという状況もありました」(宮森さん)
この場所だからこそのテーマが、まさに“ものづくり”だったのだ。
そんな「2k540」、実は昨年の12月に第1期オープンを果たしており、その時点でのショップ数は32店舗。それが9月のグランドオープンでは、期間限定ショップを含めて49店舗に増えている。
そこで、9月を境に同施設に加わったショップに、実際にお邪魔してきました!
まず気になったのは、万華鏡の専門店である「創心万華鏡」。店内に入ると、当然ながら万華鏡だらけ! スタンダードな物もあれば、イヤリング型、ストラップ型、指輪型なんて変わり種も……。多種多様だが、全て万華鏡である。
早速、同店の職人・豊田さんに話を伺ってみました。
「元々は版画の仕事をしていました。そして15年くらい前に、『万華鏡を作ってくれませんか?』というお話が来たのが、万華鏡づくりを始めたきっかけです」
豊田さんは主に“ウイスキーの樽”に使われていた木を用いた万華鏡を、実際に店内で作成している。ちなみに、同店で販売している万華鏡の価格は、一律13,650円(税込み)。
実際に覗かせていただくと、それはもう感動の世界で。似たような万華鏡はいくつもあるのだが、覗いてみると眼前に広がる世界はそれぞれが全く違う。また、周囲の明るさを変えてみたり、万華鏡の角度を変えてみたりで、景色が変わっていく。どうにも夢中になってしまうが、1時間ほど覗いていくお客さんも多いとのこと。わかる……。
続いてお伺いしたのは、“漆ジュエリー”専門店「MIYABICA」。それにしても、漆を使ったジュエリーなんて初耳だ。そして、やはり“漆ジュエリー”って他にはない物らしい。
「美術大学に通い、木工を専攻していました。その中の授業で、漆に出会ったんです」
と語っていただいたのは、同店の店主であり職人でもある峰岸さん。元々は漆を使った工芸品を手掛けていたが、5年ほど前より“漆ジュエリー”に専念するようになった。
これが、とにかく綺麗! リング、ペンダント、ピアスなどが販売されており、どれも非常に親しみやすい。実際、私もリングを着けさせていただいたが、ハッキリ言って買いたいです。
「主にお茶道具に用いる『堆漆(ついしつ)』という技法で制作しているのですが、お茶をやっている方にしか見てもらえず、一般の方が目にする機会はあまり無かったと思うんです」(峰岸さん)
せっかくの美しい素材だし、良い物だから見てもらいたい。それこそ、身につけられたら素敵だろう。そんな思いで、峰岸さんは“漆ジュエリー”に取り組んでいるという。
そんなこんなで、“ものづくりの街”を満喫させていただいた一日でした。この「2k540」の醍醐味は、実際に職人さんと会話できる点だと思う。そこで、作品の背景や思わぬ魅力に触れることができる。我々にとって、本当に貴重な機会ではないだろうか。
ただ、店を渡り歩いているうちに目移りして財布の紐が緩くなってしまうのが、難点ですかね……。
(寺西ジャジューカ)
欲しいから買っているのだろうけど、こんなにも物欲を刺激させる街並みは困りモノだ。逆に言えば、それだけ魅力的なショップが多いということか……。
他にも買い物スポットというか名店街は、色々あると思う。楽器だったら御茶ノ水に、服の生地が欲しかったら日暮里へ。
そして、クリエイターの手がける作品が欲しくなったら、今度からはここを覗いてみるといいかもしれない。9月29日にグランドオープンとなった「2k540 AKI-OKA ARTISAN」は、御徒町〜秋葉原間のJR高架下に誕生した商業施設。そして、この施設のテーマはズバリ、“ものづくり”である。
「遡ると、秋葉原周辺にあった神田青果市場の移転がきっかけの一つとして挙げられます。その後、市場の倉庫・バックヤードとしての役割を担っていた同敷地は、市場移転以降の周辺再開発から取り残されてしまっていました」(「2k540」所長・宮森さん)
高架下は、時に“暗い”、“汚い”、“うるさい”といったイメージを我々に与えることがある。実際、このエリアに対しても「何とかしてほしい!」という地元からの要望が寄せられていたそうだ。だからこそ、人の流れをつくって活性化させたかった。
では、どうしてコンセプトに“ものづくり”を?
「この辺の地場産業として、革製品やジュエリー関係が非常に多いというのが一つあります。あと、ここから近い場所にある馬喰町に若いクリエイターやものづくりをしている方が非常に多く点在しているという状況もありました」(宮森さん)
この場所だからこそのテーマが、まさに“ものづくり”だったのだ。
そんな「2k540」、実は昨年の12月に第1期オープンを果たしており、その時点でのショップ数は32店舗。それが9月のグランドオープンでは、期間限定ショップを含めて49店舗に増えている。
そこで、9月を境に同施設に加わったショップに、実際にお邪魔してきました!
まず気になったのは、万華鏡の専門店である「創心万華鏡」。店内に入ると、当然ながら万華鏡だらけ! スタンダードな物もあれば、イヤリング型、ストラップ型、指輪型なんて変わり種も……。多種多様だが、全て万華鏡である。
早速、同店の職人・豊田さんに話を伺ってみました。
「元々は版画の仕事をしていました。そして15年くらい前に、『万華鏡を作ってくれませんか?』というお話が来たのが、万華鏡づくりを始めたきっかけです」
豊田さんは主に“ウイスキーの樽”に使われていた木を用いた万華鏡を、実際に店内で作成している。ちなみに、同店で販売している万華鏡の価格は、一律13,650円(税込み)。
実際に覗かせていただくと、それはもう感動の世界で。似たような万華鏡はいくつもあるのだが、覗いてみると眼前に広がる世界はそれぞれが全く違う。また、周囲の明るさを変えてみたり、万華鏡の角度を変えてみたりで、景色が変わっていく。どうにも夢中になってしまうが、1時間ほど覗いていくお客さんも多いとのこと。わかる……。
続いてお伺いしたのは、“漆ジュエリー”専門店「MIYABICA」。それにしても、漆を使ったジュエリーなんて初耳だ。そして、やはり“漆ジュエリー”って他にはない物らしい。
「美術大学に通い、木工を専攻していました。その中の授業で、漆に出会ったんです」
と語っていただいたのは、同店の店主であり職人でもある峰岸さん。元々は漆を使った工芸品を手掛けていたが、5年ほど前より“漆ジュエリー”に専念するようになった。
これが、とにかく綺麗! リング、ペンダント、ピアスなどが販売されており、どれも非常に親しみやすい。実際、私もリングを着けさせていただいたが、ハッキリ言って買いたいです。
「主にお茶道具に用いる『堆漆(ついしつ)』という技法で制作しているのですが、お茶をやっている方にしか見てもらえず、一般の方が目にする機会はあまり無かったと思うんです」(峰岸さん)
せっかくの美しい素材だし、良い物だから見てもらいたい。それこそ、身につけられたら素敵だろう。そんな思いで、峰岸さんは“漆ジュエリー”に取り組んでいるという。
そんなこんなで、“ものづくりの街”を満喫させていただいた一日でした。この「2k540」の醍醐味は、実際に職人さんと会話できる点だと思う。そこで、作品の背景や思わぬ魅力に触れることができる。我々にとって、本当に貴重な機会ではないだろうか。
ただ、店を渡り歩いているうちに目移りして財布の紐が緩くなってしまうのが、難点ですかね……。
(寺西ジャジューカ)