送信メールの件名が、写真の中にプリントされる。

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仕事柄、よく写真を撮ることが多い。もちろん、デジカメで。撮った画像ファイルは、パソコンに保存。必要になったら、メールに添付して送る。
……そういやここ数年、プリント写真を手にしたことってない気がするなぁ。

そして、このサービス。ビットクルー合同会社が11月下旬から開始予定の『フォトクル』が、ちょっと面白いのだ。
まず写真をメールに添付して、指定されたアドレスに送信。すると月に2回、ユーザーが登録した住所に、その画像ファイルをプリントした写真が宅配されるらしい。

このようなサービスを開始したきっかけについて、同社の中野さんに話を伺ってみた。
「今はiPhoneやiPadなどもあり、写真をキレイに撮れて簡単に送れる状況になりました。ただ、私の母や姉を見てもiPhoneの使い方を把握できていないんですね」
“お年寄りやお子様でも使いやすい”と謳われてはいるものの、そうではない現実もあるようなのだ。

ただ、今までに似たようなサービスもあった。例えば、メールで画像を送るとデジタルフォトフレームに届くというものも。しかし“送りたい側”と“受け取りたい側”ではデジタル機器の慣れ方が違う、という問題があるだろう。デジタルフォトフレームの初期設定だったり、操作方法だったり、高ハードルになっているかもしれない。

そしてもう一つ、ここに気になるデータがある。キタムラ株式会社が6月に行った調査。ここで、お年寄りやお父さんお母さんに「子供や孫の写真を持ち歩いているか?」というアンケートが行われ、68%の人が「持ち歩いている」と回答しているのだ。これは、予想以上の数字……。
続いて行われた、お父さんお母さんを対象とした質問「どのくらいの頻度で自分の親に子供の写真を送っているか?」では、「送ったことはない」「1年に1度」といった回答が大勢を占めている。

これは、もったいない……。だって写真があれば大切にしてくれるのに、送ってないわけで。理由は色々あると思うが、きっと「写真をプリントするのが面倒」というのが挙げられる気がする。私自身、ここ数年は写真屋に足を運んだ記憶がほとんどないだけに。それは、皆さんも一緒じゃないですか?

ただ、「ネットプリント」という選択肢もある。実は、こちらも大変らしいのだ。オーダー時にはサイズを選択し、紙の種類も選択。配送先も、支払方法も、配送の手段も……。色んな項目、ありすぎ!
だからこそ、『フォトクル』ではそういった手間を全て省いている。送付先は初めから登録しておくし、サイズも紙の種類も同社が指定する一つの形式だけ。料金は、月額で525円に固定(月15枚まで、未使用分は翌月以降に繰り越し)だ。

同社が目指しているのは、“人にやさしいIT”である。
「新しいものを覚えていける人はいいですが、それに取り残されている人も多いと思うんです」(中野さん)
そこで生まれた「テクノロジーの方が人に合わせる」という考え方。このコンセプト、私は非常に感銘を受けた。技術が進歩していくからこそ優しさも大きくしていくべき、というベクトルである。

今回の『フォトクル』は、お年寄りの両親を持つ息子夫婦を想定したサービスです。
(寺西ジャジューカ)