9日に行われたユーロ2012予選で、フランスがルーマニアを2―0で破り2連勝、勝ち点を6に伸ばしてグループDの単独首位に立った。

 W杯で問題が噴出したあとに就任したローラン・ブラン監督は、2連敗と苦しいスタートを切ったが、これで勝率を5割とした。新しいチームがまとまりを見せつつある背景には、この2試合キャプテンを務めたアルー・ディアラの存在が大きいと言えそうだ。

 ブラン監督はこれまで、主将にフィリップ・メクセス、フロラン・マルダ、A・ディアラと入れ替わりで任命してきた。ルーマニア戦勝利の翌日のインタビュー(レキップ紙)で、今後も主将に誰が最適かを見極めていきたいとしているが、連勝に大きく貢献したA・ディアラがポイントを上げたのはたしかだ。

 現在のフランス代表メンバーのうち所属クラブで主将を務めているのは、このA・ディアラ(ボルドー)のほかには、マルセイユのマンダンダ(代表チームではセカンドGK)のみ。A・ディアラがレギュラーに定着しさえすれば、まさにうってつけの人物となる。

 そしてこの点でいえば、この2試合でボランチとして重要な働きをし、とくにルーマニア戦では先制点のアシストとなるキラーパスを出すなど、プレー面でも申し分ない。

 解説者の元フランス代表ビシェンテ・リザラズ氏からも、「アルーは天性のリーダー。チームメイトにも相手チームの選手にも、そして審判にも認められる存在として通用する。これまでのキャリアを通じて、つねに戦いを挑んで自分の立場を勝ち取ってきたし、個性を際立たせてきた。そして力強さと謙虚さの両方を発揮してきた。あとは不動のレギュラーになれるかにかかるが、ここ2試合の活躍で主将としての正当性は大いに高まった」(レキップ紙)とのお墨付きを得ている。

 W杯では、最後の試合となった南アフリカ戦で、前々日の練習ボイコットのせいで欠場したエヴラに代わり、期せずして初の代表キャプテンを務めたA・ディアラ。このときは大きすぎる精神的負担が目に見えるようだったが、その重い経験を経て、ようやく真の主将として一皮むけつつある。