際どい水着で登山した2人の父、恥ずかしい姿で3つの山を制覇した理由は。

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英国に、肩ひもとギリギリ股間部分にしか生地がない男性用ビキニ、いわゆる“MANKINI水着”で登山をした2人の男性がいる。ともすれば悪ふざけと受け取られ、山を知る人からは怒りを買いそうな2人の行動。しかし、その裏には大まじめな目的があった。

ともに英軍に所属しているジョン・ホジソンさん(37歳)とアンドリュー・ワットさん(42歳)は親友の間柄。加えて、子どもが同じ病気を抱えているという共通点があった。ホジソンさんの13歳の息子ジャックくんと、ワットさんの16歳の娘モリーさんは、共にアッシャー症候群と呼ばれる遺伝子上の問題による病気と闘っている。

アッシャー症候群は染色体の変異によって引き起こされ、目や耳の機能に大きな影響を及ぼす病気。変異を起こした箇所によりその程度は変化するそうだが、難聴や視機能の低下といった症状が現れるという。「3歳か4歳のときに聴覚障害になった」(英紙ディス・イズ・リンカンシャーより)ホジソンさんの息子ジャックくんは、現在では「補聴器をつけて、読唇術と手話に頼らなければならない」状態。さらに、数年前からは目の問題も起き始め、「暗いところや明るい日光のもとでは見えない」そうだ。

そんな子どもたちのように病気と闘う人たちのために、なにか行動を――。そう考えた2人は、「24時間以内に3つの山を登る」というチャリティ活動に挑戦する計画を立てた。しかし、それだけでは人々の注目を集めることはできない。さらに頭をひねり、思い付いたのが、鮮やかなライムグリーンの“MANKINI水着”を着て頂上に立つという方法だった。

彼らが選んだ山は英国一の高さを誇るスコットランドの標高1,344メートルのベン・ネヴィスと、カンブリア州にある978メートルのスカーフェル・パイク、ウェールズにある1,085メートルのスノードンの3つ。移動時間も含めて、2人は「3つの山を1日で制覇」に挑んだ。

英ニュースサイトのスモールワールド・ニュースサービスによると、真夜中にスタートした挑戦は、最初のベン・ネヴィスを5時間40分で登頂すると、すぐに次のスカーフェル・パイクまで移動。ここを4時間20分でクリアすると、最後はスノードンの頂上に2時間で到達し、目標を達成したそうだ。

気になるのは彼らが1日中、その裸のようなスタイルでいたのかどうかだが、さすがに山の寒さには勝てなかったらしい。「スカーフェルの登山では風が強く、頂上の体感温度はマイナス12度だった」と話すホジソンさん。そのため登山中は上に服を羽織り、頂上間近でMANKINI姿になり、ポーズを決めて記念撮影をしたという。

この行動は英国の人気バラエティ番組にも取り上げられ、結果は大成功となった。2人は予め、募金サイト「Just Giving」にそれぞれのページを開設し、ホジソンさんが1,000ポンド(約13万円)、ワットさんは1万ポンド(約131万円)の目標を設定していたが、中には420ポンド(約5万5,000円)の寄付をする人も現れた結果、ホジソンさんは開設1週間にして目標を達成している。金額の大きいワットさんは、現在まだ2,000ポンド弱(約26万円)だが、それでも順調に集まっている様子。ちなみに、集まったお金は全額、慈善団体の「Gift Aid」に寄付するそうだ。