「電力線インターネット」というキーワードを聞き慣れない方もいらっしゃるかも知れないが、これは、PLC(Power Line Communications)のことだ。

 現在、LANでパソコン同士をつなぐときには、LANケーブルを利用するのが一般的だ。もちろん、無線でデータをやり取りする「無線LAN」も普及している。PLCは、このLANケーブルの役割を電力線に持たせてしまおうという仕組みだ。

 PLCを使うと便利なのが、まず宅内配線工事を気にする必要がなくなること。すでに建物の中に敷設されている電力線を利用すれば、データをやり取りできるのだ。そのための機器がPLCアダプターと呼ばれる製品で、すでに去年から市販されている。一時は品切れになったほどの人気商品だ。

 PLCに最も力を入れている2社の1つであるパナソニックからは、この春、第2世代とも呼べる新製品が登場した。名刺サイズで厚みも3センチ程度だ。このアダプターを介することで電力線がLANに利用できる。

 例えば、1階にインターネットの回線が来ているとしよう。ルーターなどから伸びているLANケーブルをPLCの親機につないでコンセントに差し込めば、川上側の準備は完了。川下になる2階では、PCLの子機をコンセントにつないで、パソコンとLANケーブルを接続すればOK。とても簡単で、LANケーブルの一部を電力線が担っているだけのことだ。

 新モデルの高速通信を期待してテストしてみたところ、同じ部屋の中では10Mbps程度で、離れた部屋では3〜4Mbpsほどだった。もちろん、これはあくまでも僕個人のテストであり、もっと良い結果が出るケースもあれば、最悪の場合つながらないケースもあり得る。携帯電話の充電器などのノイズが邪魔をしたり、実は見えない部分で電力線の配線が一般的ではないつながり方をしている可能性もあるからだ。

 日本のインターネット環境は刻々と進化しており、先日はついに光回線の利用者がDSL回線を上回ったと発表された。50Mbpsを超える高速な回線が家まで来ているユーザーも多いのだ。こうなると、PLCの速度が気になって仕方がないだろう。僕もせっかく家に高速回線が来ているなら、少しでも速度を落とすことなく使いたいと思う。


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