リバプール移籍の望みを絶たれたマンチェスター・ユナイテッドのDFガブリエル・エインセが、引き続き移籍の可能性を探るとコメント。マンUに残留する意思のないことを改めて明言した。

　イングランドの2大名門クラブとして、長きに渡りライバル関係を築き上げてきたマンUとリバプール。過去40年以上、両クラブ間で選手の移籍は行なわれておらず、エインセの移籍もマンU側の大きな反発により実現しなかった。

　そもそもマンUで出場機会が制限されつつあったエインセは、今夏の移籍マーケットで、680万ポンド（約16億円）以上の移籍金を提示するクラブが現われれば移籍できるとの約束をマンU側から取り付けていた。そして、その情報を聞きつけたリバプールのラファエル・ベニテス監督がエインセの獲得に乗り出し、マンUが定める移籍金を上回るオファーを提示した。しかし、ライバルクラブからのオファーを受けたマンUは、これを断固拒否。そこでエインセは、一定金額以上のオファーで移籍を認める旨が記され、マンUのデイビッド・ギル最高経営責任者のサインもある書面を証拠に、プレミアリーグに移籍を認めるよう訴えた。しかし、リーグ側は、「この書面がエインセの退団を確約するものではない」との裁定を下し、アルゼンチン代表DFのリバプール移籍の道は絶たれてしまった。

　8月31日の移籍期限まで残り1週間の時点で苦境に立たされたエインセだが、「マンU残留は考えられない」と断言。移籍先としては、フランスのリヨンやスペインのレアル･マドリーなどのクラブも浮上しているが、今後もリバプール移籍の可能性を探りたいと語っている。

「僕は誰かと争う気はないよ。でも、マンチェスター・ユナイテッドにおける僕のキャリアはもう終わりだ。マンUを憎むつもりはない。ただ、他のクラブへ移籍できる権利を邪魔されたくないだけなんだ。フランスやスペインへの移籍話については、もう聞き飽きたよ。僕はそういった国のクラブとは交渉すらしていない。だって、リバプールへの移籍しか頭になかったんだからね。なんとかリバプールへの移籍が実現するように祈っていたけど、プレミアリーグはマンUを支持する裁定を下してしまった。すごく辛い状況だけど、僕の弁護士は今も解決策がないか探ってくれている。関係者がみんな満足できる解決策をね」

　エインセ側はプレミアリーグの裁定に不服を申し立てると見られているが、その場合マンUが返答を求められるのは14日以内。つまり、移籍期限の8月31日を過ぎるまで返答を待てば、プレミアリーグが特例を認めない限り、今夏中のエインセの移籍は認められないこととなる。

　イングランドを分かつ名門クラブのライバル関係が生んだエインセの移籍問題は、さらなる泥沼化の様相も呈している。いずれにしても、その根強い因縁関係は、アルゼンチン代表DFのキャリアに大きな影を落とすこととなってしまった。