マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督が、新たなFW獲得に触手を伸ばしているようだ。シーズン開幕戦でFWウェイン・ルーニーが左足を亀裂骨折し、いきなりエースストライカーを失うこととなったファーガソンは、ニューカッスルのナイジェリア代表FWオバフェミ・マルティンスの獲得を検討しているのだという。

　プレミアリーグの開幕3連戦で獲得した勝点がわずか2と、完全にスタートダッシュに失敗したマンU。その原因とも言えるのが、深刻な攻撃力不足だ。開幕戦でルーニーを失った昨年のチャンピオンチームが3試合で奪ったゴールは、ポーツマス戦でMFポール・スコールズが奪った得点のみと、その症状はかなり深刻。その背景には、ルーニーの離脱に加え、ルイ・サハがいまだコンディション不良で、起用できるのは新戦力のカルロス・テベスのみという乏しい台所事情がある。

　そこでファーガソンは、8月31日までの移籍期間中に、ルーニーの代役を務めるFWの獲得を検討しており、そのターゲットのひとりとしてマルティンスの名前が挙がっているというのだ。昨シーズン、インテルから1000万ポンド（約22億5000万円）でニューカッスルに加入したマルティンスは、いきなり17ゴールを記録するなど、プレミアリーグのプレースタイルに難なく順応。今シーズンも、すでに開幕戦で2ゴールを奪うなど、その活躍が期待されている。また、マルティンスの契約内容には、1300万ポンド（約29億円）の移籍金で退団を確約する条項が存在するといわれており、マンUのオファー次第ではニューカッスル側も移籍を阻止することは出来なくなる。

　一方で、今夏すでにテベスを獲得しているファーガソンは、マルティンスのような快足系FWよりも、長身でポストプレーが得意なストライカーを求めているとも言われている。そして、その獲得候補にはトッテナムのディミタール・ベルバトフや、ボルトンのニコラ・アネルカなどの名前が挙げられているとも伝えられている。

　夏の移籍マーケットで大型補強を敢行し、優勝候補筆頭としてシーズンを迎えたマンU。しかし、ルーニーの離脱でFW陣の駒不足が露呈したことで、ファーガソンはかなりの危機感を抱いているようだ。残り約1週間となった移籍マーケットで新戦力の獲得に動くか、それとも現有戦力を信じて戦うか。黄金時代の再構築を狙う赤い悪魔が、いきなりの正念場を迎えている。