緊急出場の田中聡、1年2カ月ぶりの日本代表戦は「すごく大きな財産に」 アグレッシブな“レフティボランチ”が激戦区に挑む

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「初キャップの選手、経験の浅い選手をスタートから起用して、強度高く・激しく戦ってくる相手に何ができるかにトライしてほしい」と日本代表の森保一監督が前日会見で強調したように、9月28日のベネズエラ代表戦は“新戦力のテスト”という意味合いの強い一戦となった。

 スタメン11人のうちデビューを飾ったのは、小久保玲央ブライアン、中野就斗、熊坂光希、齋藤俊輔の4人。後藤啓介、佐藤龍之介も5キャップ以下で、半数以上が日本代表での実績がない若いメンバーだった。となると、どうしても手探り感が色濃くなる。その集団をキャプテンマークを巻いた鎌田大地が中心となって統率しようとしていた矢先の前半7分、デビュー戦の熊坂が左ひざを痛めてプレー続行不可に。そこで緊急抜擢されたのが、背番号6を着ける田中聡だった。

「ビビらずやろうと思ってました」。2025年7月のE-1選手権・中国戦以来の代表戦に挑んだ田中は、チャレンジャー精神を前面に押し出した。ピッチに立つや否やハイプレスに行き、攻撃にも積極的に関与。徐々にギアを上げていった。32分に縦パスを後藤に刺して齋藤の決定機を生み出すと、直後の34分には前半最大の決定機を演出してみせる。相馬勇紀がクリアしたボールを中盤で受けた田中は、前線を走る後藤に絶妙なスルーパスを供給。GKと1対1になった背番号9が決めていれば、待望の1アシストがついたはずだったが、シュートは惜しくも枠を越えていった。

「前を見たら走っていたので、そこに合わせたらいいボールがいった。無意識で出したので、考える時間もなかったです」と本人は瞬間的な判断だったことを明かす。この一挙手一投足をベンチで見ていた久保建英も「めちゃくちゃ入りが良かった。いい準備をしている証拠」と絶賛していた。

 スコアレスで迎えた後半は久保ら主力級5枚を投入。一気に本気モードにシフトして勝ちに行ったが、開始1分も経たないうちに失点してしまう。これは中盤で田中が競り負けたことが発端。中野もサイドを突破され、最終的にはFWケビン・ケルシーに決められたのだ。

 だが、日本はその3分後に追いつく。田中のボール奪取が起点となり、最終的には伊東純也の絶妙なクロスにエース上田綺世が抜け出してゴール。試合を振り出しに戻した。ここからの日本は押し込みながら追加点を奪えなかったが、前半よりも強度やスピード感が格段にアップ。田中もハイレベルなチームメイトに懸命に適応しようとした。「後半から出てきた主力は個の能力が高くて、仕掛けられる選手が多かった。僕自身は前半の方がボールを触れたし、後半も自分を中心にボールを配れるレベルまで行けたら理想的でしたね。いろんな選手から『動きすぎ』と言われましたし、もっと考えながらやらないといけないと改めて感じました」と背番号6は反省の弁を口にした。