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「赤い羽根共同募金」を運営する北海道共同募金会の使途不明金の問題で、新たに7000万円の使途不明金があることが報じられました。

報道によると、北海道共同募金会では、これまで1億8000万円の使途不明金が発覚していて、着服の疑いで、元事務局長の男性が懲戒解雇されています。こうした中で、新たに約7000万円が見つかったと明らかになったとしています。

この約7000万円が解雇された男性に着服されたものなのかは、第三者委員会の今後の調査を踏まえて判断するそうです。

募金会は、この男性に対する損害賠償の請求や刑事告訴を検討しているそうですが、具体的にはどのような法的責任を負う可能性があるのでしょうか。簡単に解説します。

●億単位の横領、前科がなくても実刑に?

まず、今回のケースでは、業務上横領罪(刑法253条、10年以下の拘禁刑。2025年6月の刑法改正前は懲役)が成立しないかが問題となります。

会社の経理担当者や団体の会計係は、その立場にもとづいて、他人のお金を継続して預かり、管理しています。

こうした人がそのお金を自分のものにすると、同罪に問われるおそれがあります。

次に、実刑になるか、ですが、刑の執行を猶予できるのは、言い渡す刑が3年以下の場合に限られます(刑法25条1項)。

被害額が1億円を超え、その多くが弁償されていない横領では、前科がなくても4~7年の実刑とされた裁判例が複数あります(大津地裁令和6年(2024年)11月8日判決(前科なし、懲役5年)など)。

3年を超えるため、執行猶予は付けられません。

一方で、被害額が巨額であっても執行猶予が付いたケースもあります。

たとえば、社会福祉法人の理事長が、法人の預金から計1億2500万円を着服した事案(水戸地裁令和4年(2022年)6月21日判決)があります。

理事長は全額を弁償して法人と示談し、裁判所は懲役3年・執行猶予5年としました。

●「募金」の横領だと罪が重くなる?

今回のケースは「赤い羽根共同募金」のお金が問題となっています。

ネット上では、多くの人々の善意で集めたお金を着服しているのだから、刑期を他の犯罪の2倍にできないのか、というような投稿もありました。

募金を横領したからといって、刑を重くする特別な規定はなく、法定刑は通常の業務上横領(10年以下の拘禁刑)と同じです。

ただ、多くの人々の善意を踏みにじる横領だったということが認められれば、通常の横領よりも量刑上重く評価されることはあり得ます。

もっとも、横領罪のようなお金に関する罪(財産犯)では、被害額が大きく評価され、それに比べると「募金である」ことが大きく評価されるわけではないでしょう。

コメントにあるように、募金の横領だから企業等での同額の横領と比べて、刑が2倍になる、というほどに重視されることはないでしょう。

●自己破産しても、横領の賠償は残る?

横領による損害賠償(民法709条)は、自己破産をしても免責されない場合があります。

自己破産して免責が認められると、借金などの支払い義務は原則としてなくなります(破産法253条1項)。

ただし、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責されません(同項2号)。

この「悪意」は、単なる故意ではなく、相手を害しようとする積極的な意思を意味するという考え方が有力です。

たとえば、芸能関係の会社の元従業員が、会社に入るはずの報酬計約570万円を、自分が管理する口座に振り込ませるなどして着服していた事案があります。

元従業員は自己破産して免責が確定していましたが、裁判所は「悪意」を認め、賠償責任は残ると判断しました(東京地裁令和5年(2023年)7月21日判決)。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)