森保監督は完璧なリーダーか。ブラジル戦は“完全な戦略の失敗”だった【識者コラム】
日本ではこうした判断が蔓延している。半分は正しいが、半分は間違いである。監督は専門家だから賢明で物事を把握している、という一般論をすべての個別に当てはめた“悪しき演繹主義の見本”だ。
サッカー日本代表を率いる森保一監督は人気の高いリーダーだろう。批判派が論理的に疑問を呈しても、擁護派は「森保さんはすべてを把握し、答えを出せる。失敗はあっても、それ以上のことはできない」と一笑に付す。たしかに監督はものを知っているし、情報も集めているのだろう。
森保監督が、本当に戦力を使い切って戦ったのか。率直に言って、その戦略も、戦術も肯定できない。成功体験だけにこだわり、最後は腰が引けた守りで敗れたからだ。
森保監督が名将かどうか、その答えを出すのは難しい。W杯で結果を出したか、と言われたら、それは間違いない。カタールW杯では英雄的な結果だ。
しかし、それはたぶんに僥倖が生み出したもので(例えばスペインは内紛状態)、コスタリカに敗れたのは象徴的だろう。そして北中米W杯は「W杯優勝」という大風呂敷を広げ、ブラジル相手に全員で守りを固め、呆気なく陥落させられ、ラウンド32で大会を去った。これは彼我の戦力を無視した目標を立てた末路で、“完全な戦略の失敗”と断じるべきだ。
大局を失い、長友佑都のような選手のキャラに期待し、選手という資源の有効な戦略的利用を誤った。それは紛れもなくリーダーの責任だ。にもかかわらず、森保監督は来年1月のアジアカップまで指揮をとり続けるという。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
「すげぇ」「やばいかっこよすぎ」名門リヨン加入の中村敬斗、“新背番号”に脚光!「いきなりの」「期待値高い」

