無理に食べさせるのは「かわいそう」なのか。看取り期の患者を前に苦悩する家族へ…“飲み込み”専門の言語聴覚士が伝えるアドバイス【監修者インタビュー】

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「お食い締め(おくいじめ)」病気や高齢で口から食べられなくなった人に対し、最後まで“食べること”へ丁寧に向き合えるように、本人や家族を支えていく食支援のことである。この言葉を考案し20年以上前から活動しているのが、言語聴覚士で摂食嚥下障害領域(飲み込み)を専門とする牧野日和先生だ。
『お食い締め 口から食べられないアナタへ ~言語聴覚士が見たそれぞれの選択~』(牧野日和(愛知学院大学教授):原案・監修、かなしろにゃんこ。:漫画/竹書房)には、牧野先生がこれまで出会ってきた患者や家族の葛藤が描かれている。
--うまく食べられなくなった患者の中には、それでも食べたいと願う人と、もう食べたくないと感じている人がいるようですね。見守る家族は「食べさせなくていいのか」「無理やり食べさせるのはかわいそうなのか」と悩みますが、専門家の立場では食べさせるかどうかをどのように判断していますか?
牧野日和先生(以下、牧野):対象患者のリスクを照らし合わせながら、本人や家族がどうしたいかを何度も話し合います。カウンセリング技法を用いて、答えを押し付けることはせず、当事者が自己決定するように導きます。
病名や年齢などさまざまな要素があるのでマニュアル化しにくいのですが、あえて基準を作るなら「癒しの範囲を超えない」ことですね。
僕は特に呼吸を大事にしています。飲み込みとは、呼吸を一旦止めること。呼吸が安定している人は飲み込んでも平気ですが、体が弱っている患者さんが同じことをすると呼吸が非常に乱れるため、少し間を置くか「今日はやめておこうね」となる。癒しにもいろいろありますが、僕は心の面と呼吸の癒しを大事にしていますね。
--食べることは呼吸を止めることだと聞いてハッとしました。自分が同じ状態になってみないとわからないことかもしれません。
牧野:スポーツの選抜チームに入るような屈強な男の子でも、100メートルを全力で走った直後は呼吸が荒れて水を飲み込めませんから。呼吸を整えながら食べることはすごく大事です。患者さんが食べるときには、呼吸がしやすい姿勢になってもらうこともありますし、呼吸が乱れているときには舐める程度にとどめてもらうこともあります。
取材・文=吉田あき
