「起床時の血圧」はいくつだと”高め・低め”なのか?原因や注意すべき病気も医師が解説!
起床時の血圧が高い・低い原因は?メディカルドック監修医師が正常値の基準や正しい測定法、気をつけたい病気、予防法やよくある質問などを詳しく解説します。
この記事のまとめ
・起床時の家庭血圧の正常値は135/85mmHg未満で、135/85mmHg以上は「早朝高血圧」、90/60mmHg未満は「低血圧」の目安とされる。
・起床時の血圧が高くなる主な原因には、冬場の急激な寒暖差、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、起床時の交感神経の急激な活性化(モーニングサージ)などがある。
・血圧を正しく測定するには、起床後1時間以内・排尿後・朝食や服薬前に、椅子に座って1~2分安静にしてから測ることが大切で、毎日継続して記録することで変動傾向を把握できる。
・早朝高血圧の予防には、1日6g未満を目標にした減塩、質の良い睡眠と規則正しい生活、寝室の寒暖差を避ける工夫などが効果的である。
監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。
血圧とは?血圧の基準値と変動の仕組み

血圧とは、ポンプのような働きをする心臓が収縮と拡張を繰り返し、血液を全身へ送り出す際、血管の内側にかかる圧力のことです。高血圧とは、この圧力が慢性的に高い状態を指します。
平常時の血圧正常値
日本の成人における診察室での正常血圧は、日本高血圧学会のガイドラインにおいて収縮期血圧(上の血圧)が120mmHg未満、かつ拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg未満と定義されています。
1日の中で血圧が変動するタイミング
血圧は1日の中で常に変動しており、活動時や安静時で数値が変わります。一般的には、朝の起床時に向けて上昇し、日中の活動期に高くなり、夜間の睡眠・安静時には最も低くなるという日内変動のサイクルがあります。
起床時の血圧の正常値とは?高め・低めの数値基準と症状例

起床時の家庭血圧における正常値の基準や、血圧が高い場合・低い場合に起こり得る症状について解説します。
起床時の血圧正常値
起床時の家庭血圧の正常値は、135/85mmHg未満です。起床時の血圧は早朝高血圧の有無を確認する重要な指標であり、毎日同じ条件で測定することで、血圧の変化や異常を早期に発見しやすくなります。
起床時の血圧が高い場合の数値と症状
起床時の家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は「早朝高血圧」と判定されます。多くは自覚症状がありませんが、人によっては頭痛、頭重感、首・肩のこりを感じることがあります。
起床時の血圧が低い場合の数値と症状
起床時の家庭血圧が90/60mmHg未満の場合は、一般的に低血圧の目安とされています。血圧が低い状態で急に起き上がると、一時的に脳への血流が不足し、起立性低血圧を起こすことがあります。そのため、起床直後にめまい、立ちくらみ、目の前が暗くなる症状が現れることがあります。また、重症では一時的に失神することもあるため注意が必要です。
起床時に血圧が高くなる早朝高血圧・モーニングサージの原因と健康リスク

起床時の血圧が高くなる「早朝高血圧」や、起床前後に血圧が急上昇する「モーニングサージ」は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高めます。原因と健康リスクについて解説します。
冬場の急激な寒暖差
暖かい布団から出て、暖房の効いていない冷えた部屋や脱衣所へ移動すると、寒さの刺激によって血管が急激に収縮します。その結果、血圧が急上昇し、心臓に大きな負担がかかります。特に、高血圧や動脈硬化のある人では、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こす危険性が高まります。冬場は室温管理を心がけることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。呼吸が止まるたびに体内の酸素が不足し、脳が覚醒反応を起こします。この状態が繰り返されることで交感神経が活発になり、目覚めにかけて血圧が高くなりやすくなります。その結果、早朝高血圧やモーニングサージを起こし、心血管疾患のリスクを高めるため注意をしなければなりません。いびきや日中の強い眠気がある場合は睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われます。医療機関を受診しましょう。
交感神経の急激な活性化
起床時は、自律神経が休息モードから活動モードへ切り替わり、交感神経が活発になります。その結果、血管が収縮して血圧が急上昇します。このような起床前後の血圧の急上昇が「モーニングサージ」です。
早朝高血圧を放置するとどんな健康リスクがある?
早朝高血圧を放置すると、起床時の高い血圧が繰り返し血管に負担をかけるため、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、脳卒中や虚血性心疾患などの心血管疾患を発症するリスクが高まります。
起床時の正しい血圧測定と記録のコツ

血圧は日々変動するため、正しく測定することが大切です。起床時の適切な測定のタイミング、姿勢、継続して記録のポイントについて解説します。
毎朝、適切なタイミングで測定する
起床時の血圧は、起床後1時間以内に、排尿を済ませてから測定します。朝食やコーヒーなどをとる前、降圧薬を服用している場合は服薬前に測ることで、毎日同じ条件で血圧を比較しやすくなります。
正しい姿勢と血圧計で測定する
背もたれのある椅子に座り、足を組まずに1~2分間安静にしてから測定します。上腕にカフを巻くタイプの血圧計を使用し、カフを心臓と同じ高さに保ちながら、会話をせずリラックスして測りましょう。
毎日の測定値を継続して記録する
血圧は日によって変動するため、1回の数値だけで判断せず、毎日の測定結果を継続して記録することが大切です。記録を続けることで、ご自身の血圧の変動傾向を把握でき、医師による診断や治療にも役立ちます。
「起床時の血圧」で気をつけたい病気・疾患

起床時の血圧が高い状態は、早朝高血圧やモーニングサージの可能性があり、放置すると心血管疾患につながることがあります。また、血圧が低すぎる場合は起立性低血圧によるめまいや失神を起こすこともあります。起床時の血圧は、さまざまな病気の早期発見につながる重要な指標です。代表的な4つの疾患をあげて解説いたします。
早朝高血圧(高血圧)
早朝高血圧は、起床時の家庭血圧が135/85mmHg以上となる状態です。加齢、塩分の摂り過ぎ、睡眠時無呼吸症候群などが原因となります。減塩、運動、降圧薬による治療が基本です。血圧が高い状態が続く場合は、循環器内科または内科を受診しましょう。
起立性低血圧(低血圧)
起立性低血圧は、立ち上がった際に血圧が急激に低下し、めまいや立ちくらみなどを起こす疾患です。加齢、脱水、自律神経の異常などが原因となります。十分な水分補給やゆっくり立ち上がることが大切で、症状が繰り返される場合や失神した場合は、内科または循環器内科を受診しましょう。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、十分な血液が脳に届かなくなる疾患です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などが主な原因です。生活習慣の改善や薬物治療による予防が大切です。片側の手足の麻痺やろれつが回らないなどの症状が現れたら、直ちに救急要請し、脳神経外科または脳神経内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈が詰まり、心筋に十分な血液が届かなくなる病気です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが主な原因です。生活習慣の改善や薬物治療による予防が大切です。胸の強い痛みや圧迫感、冷や汗などの症状が現れたら、直ちに救急要請し、循環器内科を受診してください。
早朝高血圧を予防・改善する方法

減塩、生活リズムの改善、寝室の温度管理など、家庭でできる予防策について解説します。
減塩を意識した食生活を心がける
塩分の摂り過ぎは早朝高血圧の原因となるため、1日6g未満を目標に減塩を心がけましょう。だしや香辛料を活用すると、塩分を控えることができます。また、野菜や果物に多く含まれるカリウムは、ナトリウムの排出を促し、血圧管理に役立ちます。
質の良い睡眠と規則正しい生活を送る
睡眠不足やストレスは交感神経を活発にし、起床時の血圧を上昇させる原因になります。十分な睡眠時間を確保し、毎日同じ時間に就寝・起床する習慣を身につけましょう。また、過度な疲労やストレスをため込まないことも大切です。
寒暖差を避けて起床時の血圧上昇を防ぐ
冬場は暖かい布団から寒い部屋へ出ることで、血圧が急上昇しやすくなります。起床前にタイマーで暖房を入れて室温を整えたり、上着を枕元に準備したりして寒暖差を減らすことで、血圧の急上昇を抑えることができます。
「血圧と起床」についてよくある質問

ここまで起床時の血圧変動について紹介しました。ここでは「血圧と起床」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
朝起きたときに血圧が160mmHgを超えているのは危険な状態ですか?
佐藤 浩樹 医師
朝起きたときの最高血圧が160mmHgを超えている場合は、早朝高血圧が疑われます。早朝高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが高い状態とされているため、危険な状態と考えられます。
早朝の目覚めた直後に血圧が上昇しやすいのはなぜですか?
佐藤 浩樹 医師
目が覚めると、自律神経が休息モードから活動モードへ切り替わるため、交感神経が活発になります。その結果、心拍数が増え、血管が収縮するため血圧が上昇します。
血圧は起床時と就寝前ではどちらの数値が高くなりやすいですか?
佐藤 浩樹 医師
一般的に、血圧は就寝前よりも起床時の方が高くなりやすい傾向があります。これは、目覚めると交感神経が活発になり、血管が収縮して血圧が上昇するためです。ただし、血圧の日内変動には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではありません。
まとめ 起床時の血圧は健康のバロメーター!
早朝高血圧は、自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気につながることがあります。毎朝決まった条件で血圧を測定し、生活習慣の改善に取り組むことが予防の第一歩です。高い血圧が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「血圧」と関連する病気
「血圧」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
循環器系
狭心症心筋梗塞脳梗塞脳出血くも膜下出血大動脈解離腎臓系の病気
腎臓系
腎硬化症慢性腎不全高血圧を放置していると、知らないうちに血管への負担が積み重なり、脳卒中や虚血性心疾患などの重大な病気を招くリスクが高まります。健康を守るためには、日頃から血圧を測定し、減塩や適度な運動などの生活習慣の改善を続けることが重要です。
「血圧」と関連する症状
「血圧」と関連している症状は6個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
頭痛立ちくらみ全身倦怠感
めまい動悸むくみ
高血圧は、自覚症状に乏しいまま進行するため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。一方で、体調の変化が受診のきっかけとなることもあります。紹介した症状が続く場合や気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
参考文献
高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会
日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025

