「急性大動脈解離」の”2つのリハビリ法”はご存じですか?介護も医師が解説!
術後は早期離床から回復期リハビリへと段階的に進み、家族による食事・服薬・環境整備のサポートが回復を大きく左右します。
※この記事はメディカルドックにて『「急性大動脈解離」は”退院後の生活”も安心できない?後遺症・費用・注意点を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
大沼 善正(医師)
昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、関東労災病院を経て、現在はイムス富士見総合病院勤務。総合内科専門医、循環器専門医、不整脈専門医、医学博士。
「急性大動脈解離」とは?
大動脈は、体の中で最も太い動脈です。心臓から出て頭側に向かい(上行大動脈)、次に弓状にカーブを描きながら背中側に回り(弓部大動脈)、その後は下に向かい(下行大動脈)、胸部、腹部へと続いています。
動脈はホースのような筒状をしており、外側から外膜、中膜、内膜で構成されています。何らかの原因で内膜が破れ、中膜に血液が流れ込むと、中膜が縦に2層に剥がれることがあります。それにより、もともとの血液の通り道(真腔)と、新しくできた通り道(偽腔)の2つの道が出来てしまいます。この病態が急速に発症した場合を急性大動脈解離と言います。
急性大動脈解離のリハビリ法
ベッド離床から歩行訓練
血圧、呼吸状態、意識状態が安定していれば、手術後2日からベッド上に座ることが出来、その後徐々にベッド周囲歩行、病棟内歩行を行っていきます。早期の離床は合併症予防にもつながります。
回復期リハビリテーション
回復期リハビリテーションはリハビリテーション科で行われます。発症後1か月以内に施行されることが多く、2~3か月以降は社会復帰に向けて日常生活のリハビリを行っていきます。有酸素運動、血圧管理が重要です。手術後は体力が低下しているため、日常生活に関してご家族の協力が必要となります。
家族は急性大動脈解離患者をどのように介護したらいい?
食事介助と栄養管理
大動脈解離で脳梗塞を発症した場合は、飲み込む機能が低下し、誤嚥が起こることがあります。食事にとろみをつける、食べやすいように一口大に刻むなどの配慮が必要となります。また、再発を防ぐために減塩メニューを家族で共有することが大切です。
生活環境の整備と介助
脳梗塞や脊髄障害を発症した場合には、自力での歩行やトイレが困難となり、介助が必要となることがあります。薬を内服しているのであれば、服薬管理、血圧管理をご家族に協力していただくとよいでしょう。冬場は脱衣所を暖めるなど、温度差をなくす環境整備も家族にできる重要なサポートです。
「急性大動脈解離の退院後の生活」についてよくある質問
ここまで急性大動脈解離の退院後の生活などを紹介しました。ここでは「急性大動脈解離の退院後の生活」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
急性大動脈解離の治療後は通院は必要ですか?
大沼 善正 医師
術後の経過が良好であった場合も、再発の可能性や、術後の遅発性の合併症の可能性があるため、定期的な通院が必要です。薬物療法に加えて、CTで定期的な経過観察を行っていきます。
急性大動脈解離の手術後に仕事復帰することは可能ですか?
大沼 善正 医師
手術後2~3か月のリハビリを経て、手術後の回復次第で徐々に仕事復帰可能となっていきます。
急性大動脈解離の治療後に日常生活で注意することはどんなことでしょうか?
大沼 善正 医師
再発のリスクを避けるため、減塩を含めた食事療法、有酸素運動、血圧管理が重要となります。また睡眠障害などもリスクとなるため、日中の眠気が強い場合には睡眠時無呼吸症候群の検査を行うようにしましょう。
まとめ
急性大動脈解離は治療後もリハビリ、定期的な通院を必要とします。再発や、慢性期合併症もあるため、血圧の管理を行い、自覚症状がなくても治療、通院を続けることが重要です。
「急性大動脈解離」に関連する病気
「急性大動脈解離」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
狭心症心筋梗塞肺塞栓症呼吸器系の病気
気胸肺炎胸膜炎消化器系の病気
逆流性食道炎急性胃炎胃潰瘍十二指腸潰瘍胆石
胆嚢炎大動脈解離の症状は胸痛、腹痛、背部痛が主な症状のため、鑑別疾患は多岐にわたります。突然の、今までないような激しい痛みは大動脈解離を疑う症状です。
「急性大動脈解離」に関連する症状
「急性大動脈解離」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
大動脈の緊急サイン
胸が痛い背中が痛い冷や汗
意識消失
倦怠感大動脈解離では突然の胸痛、背部痛、移動する痛み、意識消失を認め、急速に病態が進行することがあります。急に症状が起こった場合には、ためらわずに医療機関を受診するようにしましょう。
参考文献
日本循環器学会 2020 年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン

