『腟がん』の初期症状とは?女性が見逃してはいけない“体のサイン”【医師監修】

腟がんは初期段階での自覚症状が乏しいとされていますが、日常的に観察することで気づくことができる変化もあります。性交後の出血やおりものの変化、骨盤周辺の違和感などは、見逃されやすい前兆のひとつです。ここでは、腟がんのサインとして現れやすい症状について、具体的にどのような点に注意すれば良いかを解説します。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

腟がんの前兆として現れやすい症状:見逃しやすいサインを知る

腟がんは初期段階での自覚症状が乏しいことで知られていますが、注意深く観察することで気づくことができるサインが存在します。このセクションでは、腟がんの前兆として現れやすい症状について、具体的に解説します。

性交後の出血や不正出血に注意する

腟がんの前兆としてもっとも頻繁に報告される症状のひとつが、不正出血(通常の月経以外の時期に起こる出血)です。特に性交後の出血は、腟の粘膜に何らかの異常や炎症がある場合に起こりやすいサインであり、決して見逃してはいけない重要な症状です。

正常な状態であれば、性交後に出血が生じることはほとんどありません。しかし、腟の粘膜に異常細胞が増殖していたり腫瘍が形成されていたりすると、粘膜が非常に傷つきやすくなり、わずかな摩擦や刺激でも出血が生じやすくなります。この出血は初期段階では量が少ないことも多く、「おりものに少し赤みが混ざっていた」「下着にわずかに血がついていた」程度で気づく方も多いです。

特に閉経後の女性の場合、月経が終了しているにもかかわらず少量の出血でもある場合は、子宮体がんや腟がん、外陰がんなどの悪性腫瘍の可能性を考えて、早急に婦人科を受診することが大切です。閉経後出血は決して「加齢によるホルモンバランスの乱れ」などと自己判断で片づけてはならず、必ず専門の医師による診察を受ける必要があります。

また、腟がんが進行すると、月経とは関係なく持続的に出血が続いたり、茶褐色や水っぽいおりものが増えたりすることもあります。日頃から自分の身体の変化やおりものの状態に関心を持ち、小さな変化でも気になる症状があれば躊躇(ちゅうちょ)せず受診しましょう。

おりものの変化・排尿・骨盤の痛みなどのサイン

腟がんの前兆は出血だけではありません。おりもの(帯下:たいげ)の変化も重要なサインのひとつです。通常のおりものは無色~乳白色で無臭かかすかな酸味臭がある程度ですが、腟がんが発生・進行するにつれておりものの量が明らかに増え、色が茶色、黄色、濃いピンク色に変化したり、膿のような状態や強い悪臭(腐敗臭)を伴ったりすることがあります。

このような変化は一般的な感染症(細菌性腟症やカンジダ腟炎など)でも起こるため、即座に「腟がんだ」と断定することはできません。しかし、通常と異なるおりものが1~2週間以上続く場合は、自己判断で「ただの炎症だろう」と放置せず、婦人科での詳しい検査を受けることが推奨されます。

また、排尿時の痛みや頻尿、排便時の不快感・裏のう(残便感)、骨盤・下腹部・腰部・鼠径部(そけいぶ:足の付け根)の鈍い痛みなども、腟がんが進行したときに現れやすい症状です。これらの症状は膀胱や直腸、骨盤内のリンパ節などにがんが浸潤・波及しているサインである可能性があり、進行した状態を示していることがあります。

指で触れた際に腟の入口や内部に「しこり」のような硬い隆起を感じた場合や、腟内に異物感・圧迫感を覚える場合も早期受診のサインです。これらの症状が複数重なる場合や徐々に悪化する場合は、特に注意が必要です。早期に精密検査を受けることで、早期発見・早期治療への道が開かれます。

まとめ

腟がんは、決して「まれな病気だから自分には関係ない」と言えるものではありません。知識を持ち、前兆に気づき、適切な行動を取ることが、女性の身体を守るうえで大切な一歩です。

腟がんに関して気になる症状がある方、または検診を受けたことがない方は、ぜひこの機会に婦人科・産婦人科への受診を前向きにご検討ください。自分の身体を守るための行動を、今日から始めることが勧められます。

参考文献

国立がん研究センターがん情報サービス「腟がん」

日本産科婦人科学会「子宮頸がん・HPVワクチンに関する患者さんへの情報」

公益社団法人日本産婦人科医会「女性の健康週間・がん検診啓発資料」