【藤 和彦】習近平訪米を前に米国が制裁を連発…「中国包囲網」が強まるなか、BYDも減益に沈む中国経済の厳しすぎる現状

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3つの対中措置

習近平国家主席の9月の訪米を前に、トランプ米政権は中国に圧力をかける政策を相次いで打ち出している。

最初の措置は、ベッセント財務長官が8月24日に発表したイランに対する「経済的追放作戦」だ。イランの核・ミサイル技術の調達や原油輸送、サイバー攻撃などに関与した個人・法人など約60件が制裁リストに加えられたが、その中に中国や香港の仲介業者や個人が含まれている。

トランプ米大統領は27日、イランとの関係を理由に中国の金融機関を対象とした制裁を準備している可能性も示唆した。この制裁が発動されれば、中国経済への打撃は避けられないだろう。

2つ目の措置は、米国の電力網に関する規制強化だ。

トランプ氏は26日、「外国製の大容量電力設備が米国の安全保障を脅かす」として国家非常事態を宣言した。直接の言及はなかったものの、中国製の電力設備が念頭にあるのは言うまでもない。

3つ目の措置は、サイバー分野だ。米司法省と連邦捜査局(FBI)は26日、中国政府と軍を名指しし、攻撃に使ったとされるハッキングプラットフォームを遮断した。

欧州も強硬へ、強まる「中国包囲網」

「このような状況下では首脳会談は実りあるものにならない」との観測から、ワシントン界隈では「習氏の訪米が流れるのではないか」との噂が流れているほどだ。

中国への圧力強化は米国ばかりではない。

ロイターは28日、「ドイツの産業界がメルツ首相に対し、中国政府との協議で、不正競争の問題で強硬な姿勢をとるよう圧力をかけている」と報じた。

これまで中国に融和的だったドイツ政府の姿勢が変われば、10月に予定されている協議の場で、欧州連合(EU)の中国への態度が厳しくなるのは確実だ。

輸出で糊口をしのぐ中国経済だが、欧米諸国を中心に「中国包囲網」が日に日に強化されている感がある。

内需の低迷と広がる不安

中国国内に目を転じると、内需の低迷は相変わらずだ。

中国自動車大手BYDが28日に発表した今年上半期決算は、同期間として5期ぶりの最終減益となった。内需の停滞と競争激化で販売が落ち込み、在庫は過去最高水準に膨らんでいる。

中国で運転免許をとる人が減っていることも気がかりだ。新たに免許を取得した人の数は2015年の3613万人から昨年には2051万人に減少した。10年間の減少幅は43%だ。少子化に加え、若者の懐事情の厳しさが影響している。

「自動車離れが始まった」と叫ばれた1990年代の日本を彷彿とさせる現象である。うなぎ上りで伸びてきた中国の自動車市場も「今は昔」だ。

中国では「食の安全」への懸念が再び広がっている。

中国政府は26日、福建省厦門(アモイ)市の企業が飲食店の消毒に違法な殺虫剤を使用したとみられる問題について、中央の作業チームを立ち上げて現地の調査と行政指導などを行うと発表した。

中国では8月に入り、鮮度を維持するために発がん性があるとされるホルムアルデヒドを含む溶液に浸した白菜が出荷されたことも問題になっている。

「貧すれば鈍する」ではないが、業績悪化に苦しむ中国企業がこの種の問題を引き起こすのをくい止めるのは難しいのではないかと思えてならない。

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