9回、32号ソロを放つ佐藤輝(撮影・山口登)

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 「ヤクルト5-3阪神」(2日、神宮球場

 敗れはしたが、次につながる一撃だ。阪神は2-5の九回に佐藤輝明内野手(27)が左中間へ32号ソロ。本塁打王争いでリーグ単独トップに立ち、通算500打点にあと1とした。連勝は5で止まったが、2位の巨人が敗れたため、優勝マジックは19となった。

 明日につながる、簡単には終わらなかった。よく聞くフレーズだが、ここまでこの言葉がピッタリな一打はない。佐藤輝が3点ビハインドの九回2死から32号ソロ。「いい形で打てたんじゃないですかね」。希望をつなぐアーチで、虎党を喜ばせた。

 3点を追う九回。先頭の中野が中前打で出塁したが、森下が併殺打に倒れた。追い上げムードが一変し、次戦へ引きずる嫌な流れだった。ここで佐藤輝。ウォルターズの直球を流し打って、左中間へ2試合連続本塁打。敗れはしたが、試合後もなかなか席を立たない阪神ファンから歓声を浴びた。

 これで森下を抜き、単独のホームランキング。正真正銘の三冠王だ。通算500打点にもあと1と迫り、また一つの快記録を近日中に達成しようとしている。「まだまだあるんでね。一打席一打席を集中していきたいと思います」。至って冷静だったが、この落ち着きも好調の要因だろう。

 六回には兄貴分としての振る舞いも見せた。六回1死で森下が外角の際どい球をストライクと判定され、見逃し三振。少し不服そうな態度を示して、球審の深谷審判員が詰め寄ろうとした。これを手で制し、一触即発の危機を回避。「まあそれは、まあまあ」と多くは語らなかったが、森下のためだけの行為でもないはずだ。

 昨年も森下と白井審判員で同じようなシーンがあった。マウンドに集まった時、同審判員に対して「森下もかわいいやつなんすよ。言い聞かせますから。暑いけど、頑張りましょう」と声をかけている。この行動について、「審判の方が大変なのは理解してるし、僕らもリスペクトしている」と明かしていた。MLBスカウトも見つめる中、プレー以外の部分でも好印象を与えた。

 藤川監督も最後まで攻めた姿勢を評価。「ゲームとしては悪い形ではなかったので、明日に非常に前向きに挑戦できる。負けはしましたけどね、前向きにまた明日いけると思います」と前を向いた。チームは5連勝でストップ。ただ、巨人が負けて優勝マジックは「19」に減った。この一発は必ず、次の勝利につながる。