LINEの便利機能が「実質有料化」されていく…「1億人が使う業務連絡ツール」にインスタ世代の若者が抱くホンネ

■「LINEにAIなんて求めてない」
LINEは2025年末に月間利用者数が1億ユーザーを突破した。「国民的SNS」に成長したLINEにAI機能、ゲーム、ミニアプリなど続々と新しい機能が追加されている。ニュースやショッピングなど様々な機能があるが、若者はどう感じているのだろうか。
「LINEには、ただシンプルで使いやすくしてほしい。AIなんて求めてない」と大学生たちは言う。LINEは若者の間で、主に家族や親しい友人、バイト先の店長などとの連絡用に使われる。一言で言えば業務連絡ツールだ。
LINEでは、「Agent i」というAIエージェントが提供されている。AIが対話を通じて疑問を解決したり、提案したりしてくれる機能だが、「要らない。連絡用の機能だけシンプルにそろっていればいい」と言い切る。
■便利機能の実質有料化に「ずれている」
LINEの送信取り消しは、かつて24時間以内なら無料で行うことができた。ところが、2025年秋から無料ユーザーでは1時間以内となり、それより後に取り消したい場合は、有料のLYPプレミアム会員(ウェブ版は月額508円、アプリ版は月額650円)にならなければいけなくなった(最大7日間)。

「LINEラボ」で提供されていた、相手に通知音やプッシュ通知、ポップアップを表示せずにメッセージを送信する機能である「ミュートメッセージ」も2026年8月26日以降、無料ユーザーでは利用できなくなり、LYPプレミアム会員のみに提供されるようになった。
つまり、送信取り消しもミュートメッセージも実質有料化されているのだ。「送信取り消しとかミュートとか便利な機能が続々有料化するし、ずれている気がする」。LINEのショート動画サービスVOOMは2026年9月30日をもって終了することが決まったが、「(LINEに)そういうのは求めてないからじゃない?」と口々に言う。
■「初対面で交換」はLINEよりInstagram
大学生たちも、まだLINEしか使っていなかった中学生の頃は、SNSのように楽しく利用していたようだ。グループLINEで盛り上がったり、カバー画像やステータスメッセージをまめに変えたりと、「LINEなのに、驚くほど長時間使っていた」そうだ。
しかし、InstagramやTikTokなどの他のSNSを始めてからは、LINEにかける時間が減ったと感じている。ただし、利用時間こそ減ったものの、毎日利用するのは変わらない。
LINEは、家族や親しい友人、バイト先の店長などとの連絡用に使われている。たとえば、「明日何時集合?」「夕飯は要る?」「いつシフトに入れる?」といった用件のやり取りが中心だ。ただしつながる相手は限定的で、「知り合ったらまずインスタを交換する。仲良くなったらLINEでつながるけれど、いきなりLINEはない」そうだ。
■連絡ツールとしては唯一無二の存在
高校生を対象としたStudyplusトレンド研究所の「SNSに関する調査」(2024年7月)によると、普段一番よく使っているSNSは、LINE(39.8%)、Instagram(32.9%)が多く、次いでX(旧Twitter)(20.1%)の順だ。
中でもLINE・Instagramの利用率は高く、1日6回以上の頻度で使う割合は、それぞれ58.7%、38.7%に上る。1日2~5回以上の頻度で使う割合も、それぞれ29.4%、24.8%だ。LINEは何と9割が、毎日複数回利用しているのだ。
ただし、それぞれの利用の用途は大きく異なる。LINEは「家族との連絡のため」(85.8%)「リアルの友人と交流するため」(83.3%)が飛び抜けて多い。一方、Instagramは「周囲の友達の近況や情報を得るため」(56.1%)「リアルの友人と交流するため」(50.2%)がメインであり、「家族との連絡のため」はわずか1.4%となっている。

利用時間で見ると、X、Instagram、TikTokは1~2時間程度なのに対し、LINEは1時間未満と短い。利用頻度が高いにもかかわらず、時間が短いのは、LINEの主な利用目的が「家族との連絡」のためだ。若者にとってLINEはSNSではなく、連絡ツールだ。けれど、連絡ツールとしては唯一無二の必須の存在なのだ。
■大学生にとっての「最強SNS」は…
大学生たちが一番好んで利用しているSNSは、Instagramだ。アカウント保有率は、LINE並のほぼ100%。他のSNSと比べて投稿することも多く、見ることや情報を検索することも多い。Xなど他のSNSのプロフィールにも、ホームページとしてリンクされているのはInstagramのことが多い。
アカウントは、複数を使い分けるのが一般的だ。広く交流するためのアカウントのほか、親しい友達とつながるための非公開のサブアカウント(いわゆる「鍵垢」)、趣味のアカウント、高校時代のアカウントなどを交友関係やテーマごとに使い分ける。
ストーリーズの投稿やDMのやり取りも多い。DMの内容は、ストーリーズに絡んだ「これかわいいね」「ここどこ?」などの気軽なやり取りがほとんど。主に、相手とのコミュニケーションに使われているようだ。
「友達が何をしているかとか、流行っているものとかも分かるし、見ていて楽しいのがインスタ。見ていて気になったことをDMして、そのまま遊ぶ約束をしたりする」
■「いま」を共有するSNSも続々登場
最近、これに加わったのがBeRealであり、setlogだ。BeRealは、ランダムにくる通知から2分以内にインカメラとアウトカメラで撮影し、投稿するアプリ。setlogは、1時間ごとに2秒の動画を撮影し、Vlogを作成するアプリだ。どちらも加工できず、保存していた写真が使えない点が共通しており、親しい友達限定で公開されることが多い。つまり、親しい友人間での日常の共有に使われるのだ。
「友達の普段の姿が分かるし、親近感もわく。仲良くなれるから、最近のお気に入り」という。「お出かけした時にVlogを撮ると記念になるし、とっても楽しい」。
なお、利用頻度が高い一方で、TikTokの使い方は少々独特のようだ。主に見るだけで、投稿はしない使い方が多いのだ。友達ともあまりつながらず、自分の趣味のアカウントをフォローして楽しむ「見る専」が多いという。
■コスパを求めるZ世代のSNS利用術
「写真が苦手だから」「文章でやりとりしたい」などの理由で、Xを一番利用する学生もいる。電車の遅延などの交通情報を得たり、地震時の情報収集手段としていたり、推し活など趣味の情報収集に使っている学生が多い。独り言をつぶやくために利用している学生もいる。Discordでは仲間と交流したり、あるテーマの情報を収集するのに使われる。

家族に連絡するのはLINEだ。友達に連絡する場合はLINEかInstagramであり、友達の近況を知るのもInstagramだ。写真や動画、出来事を記録するのは、Instagram・BeReal・setlog。流行や今起きていることを知るのは、XやTikTok。Discordで仲間とつながる。情報は、探したいものによってYouTube・TikTok・X、Instagramを使い分けている。
若者たちは、人間関係と用途によってSNSを使い分けている。それが彼らにとって効率がいいからであり、快適だからでもあるのだ。だからこそ、LINEには連絡ツールとしての使いやすさを極めてほしい、というのが彼らのホンネなのだろう。
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高橋 暁子(たかはし・あきこ)
成蹊大学特別客員教授
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、講演などを手掛ける。SNSや情報リテラシー、ICT教育などに詳しい。著書に『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α文庫)ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。元小学校教員。
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(成蹊大学特別客員教授 高橋 暁子)
