「話が違うじゃないか」不倫相手と示談したのに…まさかの「裏切り継続」 慰謝料とは別に“再請求”できる?
配偶者の不貞が発覚し、相手が慰謝料を支払う形で示談が成立した。ところが、その後も2人の関係は続いていた──。
弁護士ドットコムに、こんな相談が複数寄せられている。
相談者の男性は、配偶者の不貞行為が発覚したあと、不貞相手との間で示談が成立し、慰謝料を受け取った。示談書には、「二度と連絡を取らない」「会わない」ことを条件に、破った場合は違約金を支払う条項も設けていたという。しかしその後、2人の関係が続いていることがわかったそうだ。
こうした相談が男女問わず、数多く届いている。
一度示談した相手に、あらためて慰謝料を請求することはできるのか。それとも、請求できるのは示談書で定めた違約金だけなのか。離婚・男女問題にくわしい林本悠希弁護士の監修による解説をお届けする。
●示談後の不貞は「別の不法行為」
──一度示談が成立した不貞相手について、示談後にあらためて関係を持っていた場合、もう一度慰謝料を請求することはできるのでしょうか。それとも、請求できるのは示談書に定めた違約金にとどまるのでしょうか。
示談までしたのに、という思いは当然だと思います。
結論からいえば、示談後に新たな不貞関係があったのであれば、その分についてあらためて慰謝料を請求できる余地があります。
示談書には通常、「当事者間に他に債権債務がないことを相互に確認する」といった清算条項が入ります。ただ、この条項が清算するのは、あくまで示談の時点までに生じていた不法行為です。
示談後に再び関係を持ったのであれば、それは時間的に別個の不法行為ですから、原則として清算条項の効力は及びません。
ただし、注意点もあります。不貞行為が慰謝料の対象になるのは、それによって「婚姻共同生活の平和」が害されたといえるからです。
1度目の不貞をきっかけに夫婦関係がすでに破綻していたと評価される状況であれば、その後の不貞については「守るべき婚姻関係がもう存在しなかった」として、慰謝料が認められない、あるいは大きく減額されることも考えられます。
違約金との関係は、示談書の書きぶり次第です。違約金の定めは、多くの場合「損害賠償額の予定」(民法420条)と解釈されます。この場合、実際の損害額を立証しなくても定めた額を請求できる反面、慰謝料を上乗せする二重取りは原則できません。
また、違約金の額があまりに過大になる場合には、信義則によりその金額が制限される裁判例もあります。
請求にあたっては、示談後の接触や交際を示す証拠を、日時が特定できる形でそろえておくことが重要です。示談の前と後、どちらの出来事なのかが争点になるためです。新たな不貞を知ってから3年で時効にかかる点にも注意してください。
【取材協力弁護士】
林本 悠希(はやしもと・ゆうき)弁護士
大阪大学高等司法研究科卒業、2018年弁護士登録、大阪弁護士会所属。2021年1月P&M法律事務所を設立。離婚・男女問題、交通事故、相続・遺言、刑事事件などに注力。弁護士になる前は歌手を目指していた。
事務所名:P&M法律事務所
事務所URL:https://pandmlo.com/

