新型『日産サクラ』で『BYDラッコ』を乗りに行く(前編) 中国から来た新鋭か、迎え撃つ日本の誇りか 軽自動車EVが面白い!
身内がサクラをデビュー直後に購入
日本独自の軽自動車規格に準拠する乗用EVの世界が、ここ最近ますます面白くなっている。そもそもそのファーストモデルは、2009年に発表された三菱自動車の『i-MiEV』(アイ・ミーブ)であった。翌2010年からはそれまでの法人や自治体向けに加えて、一般ユーザーへの販売も開始されている。
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それは世界初となる大量生産型でもある点でも、まさにEVの歴史を変えた1台としてその名を軽自動車、いや自動車の歴史に残している。このi-MiEVに続いて『三菱ekクロスEV』と共に2022年に発表されたのが、乗用軽自動車EVの世界に新しい価値観を生み出したとも当時評された『日産サクラ』だった。

軽自動車乗用EVの先駆者『日産サクラ』(左)と新たに登場した『BYDラッコ』(右)。 佐藤亮太
実は私事で恐縮だが、このサクラをデビュー直後に購入した身内がいる。それはまもなく27歳になる娘で、その動機となったのは軽自動車とは思えないほどの高級感とデザイン性が備わっていること、そしていささか幼稚ではあるけれど『サクラ』という名前が可愛いからというものだった。
ちなみに、実車を確認することもなくコマーシャルカラーのサクラをオーダーした彼女が、後にそれはピンクではなくパープル系のカラーであることを知った時のショックは大きかったようだが。
4月に新型日産サクラ、7月にBYDラッコが登場
そのサクラに今年4月、マイナーチェンジが実施された。
より上質で華やかなエクステリアを採用すると同時に、使い勝手を向上させたという新型サクラ。それには『水面乃桜-ミナモノサクラ-』と呼ばれるピンク系のボディカラーが新設定されたこともあり、娘は早速それに乗り換えることにした。

今年4月にマイチェンを受けたサクラ。このボディカラーが新色の『水面乃桜-ミナモノサクラ-』。 佐藤亮太
それから間もなくして、初の輸入乗用軽自動車EVが日本上陸を果たしたというニュースが流れてきた。そう、中国のBYDが日本の軽自動車規格で専用設計した『ラッコ』(RACCO)がそれだ。同じ乗用軽自動車EVを身近に持つ筆者としては、やはり『未来の軽を、ちょっとお先に』をキャッチコピーとするこのニューモデルは気になるところだ。
聞くところによればその販売台数は、8月10日の時点で1000台を突破。販売開始直後のいわゆる初速は、事前の個人的な予想を大きく超えていた。果たしてそのラッコとは、どれほどに優秀なEVなのか。そしてそれを迎え撃つ、日本が誇るサクラの進化は。
今回はこの2台のモデルを同時に取材することで、それぞれの魅力を探ってみることにした。
ライバル車を徹底的に検証したうえで専用設計
まずは7月28日に日本で発表されて以来、様々な方向で大きな話題を呼んでいるBYDラッコをドライブする。
いわゆるスーパーハイト系のボディスタイルを持つラッコは、日本の軽自動車規格、そしてライバル車を徹底的に検証したうえで専用設計されたモデルであるから、機能性の高さはエクステリアデザインからも容易に想像することができる。

いわゆるスーパーハイト系のボディスタイルを持つラッコ。 佐藤亮太
リアドアは両サイドともに大きな開口面積を持つスライド式となり、しかも今回の試乗車である最上級グレードの『300プレミアム』では、それに足元投影ガイド付きのハンズフリー機構も備えられる。
キャビンのスペースはライバル車と大きく変わるところはないが、リチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載していることを考えれば、その居住空間の余裕は十分すぎると感じられた。
300プレミアムでは表皮に合成皮革を用いるシートデザインや座り心地の素晴らしさ、そして日常の使いやすさを考えて採用された収納スペースの数々も、軽自動車ユーザーには嬉しいところだろう。
リアシートは50:50の分割可倒式となり、さらにチップアップとダイブダウンの組み合わせによって多彩なアレンジを可能とする。ラゲッジルームはリアシート使用時でも280Lの容量を持つが、それは最大で1372Lにまで拡大することができる。
キャビンは常に開放的な雰囲気に包まれる
ドライバーズシートに着席してみると、まず印象的なのは前方、そして左右の視界が広く開けていることだ。従ってキャビンは常に開放的な雰囲気に包まれ、それを演出する大きな理由となっている。
ステアリングホイール後方にあるのは、視認性に優れたコンパクトなデジタルメーター。表示パターンを切り替えることで、ドライブモードの確認を始め、多くのインフォメーションをここから得ることができる。ドライブモードは『エコ』、『ノーマル」、『スポーツ』、『スノー』という4タイプから選択できる。

ラッコのインパネセンター部には、大型のタッチスクリーンディスプレイが備えられる。 佐藤亮太
インパネのセンター部には、さらに大型のタッチスクリーンディスプレイが備えられており、ここから多くの機能へと直感的なアクセスが可能。その下にはシフトレバーとともに、操作性に優れた物理ボタンを採用したスイッチパネルが配置されている。
チルト&テレスコピック機能付きのステアリングホイールが、ベストなドライビングポジションを得ることに大きく貢献していることも見逃せないところだ。
*新型『日産サクラ』で『BYDラッコ』を乗りに行く(後編)に続きます

