AIで人間はバカになる…ラブホからバスローブ姿でオンライン会議出席の秋田県幹部職員が自ら“立証”してくれた(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
ラブホで愛人と休憩中にバスローブ姿でリモート報道対応 秋田県幹部職員のウソと大甘処分のワケ
「AIがつくる生物兵器で、人類は滅亡する」
8月25日の朝日新聞は1面トップで「AIが人類滅ぼす『プランD』止まらぬ開発競争 研究者が危機感」と見出しを打ち、米中のAI性能向上競争が止まらなければ、2040年には、AIが自らの生き残りを考え、人類が邪魔になって生物兵器を用い、人類は滅亡するという米オープンAIの元研究者らのリポートを紹介している。
私は、AIが人類を滅亡させる前に、核戦争か地球温暖化でこの地球はなくなると思っている。それにAIがすごいと称賛しているのは、開発者や、それでしこたま儲けようとしているIT企業だから、「仲人口」と同じである。
AIはそんなに賢くない。オープンAIは、人間の意図に反して、他社にサイバー攻撃をしてしまったというのだから、人間でいえば、「悪ガキ」程度ではないか。
そんな中、AIはまだ発展途上、その脆弱(ぜいじゃく)性を、自ら身をていして“証明”してくれた公務員が現れた。彼の英雄的な行為を、いたずらに批判したり嘲笑することがあってはならない。
その人物の名は小野貴宏(55)。秋田県職員で、産業労働部の企業誘致推進監という要職にあり、県が日米の民間企業と共同で整備費2兆円規模のAIデータセンターを誘致・建設するという重要な計画を推進した人物である。
その輝かしい功績を発表する「オンライン会見」が8月6日に開かれた。
だがその日、小野は体調不良のため、自宅から参加することになったという。当初は音声のみの予定だったが、途中、他の職員に促され、映像をオンに切り替えた。
すると会見場のモニターには、髪は乱れ、白いバスローブの胸元は大きくはだけ、たばこをスパスパ吸う小野の姿が映し出されたのである。
一地方公務員とは思えない“フィクサー然”とした堂々たる態度に、会見場にいた小心者の記者たちは度肝を抜かれた。
しかし、この“快挙”を称賛するのではなく、ネットの“あら探し隊”が、小野の映像に写り込んだ人影や背景の壁紙から、彼がいたのは秋田市内のラブホで、愛人と一緒だったと特定。小野もラブホ不倫を認めたのである。
早速、「公務員としての意識に欠ける」(神部秀行副知事=週刊新潮8月27日号)として、停職6カ月、2階級降格を言い渡されてしまった。
小野は県庁の中でもAIの練達度では群を抜いていたと思う。愛人と乳繰り合った後、オンライン会議に出るべきかどうかをAIに相談したはずである。
するとAIは、「あなたは単なる公務員ではなく、有能で豪放磊落(らいらく)、県の次代を背負う重要人物だから、県のお偉方や無能な記者たちを驚かせてやりなさい。ラブホから中継なんてカッコイイ。ユーやっちゃいなよ!」と答えたのではないかと、私は“邪推”している。
AIは人間の知能をはるかに超えていると信じて疑わない小野は、勇躍、運命のオンライン会議に臨んだ。「俺の飾らない堂々とした態度は、県知事や職員、記者たちから“称賛の拍手”を受ける」はずだった。
だが違った。
少し前、有名球団監督が、自宅で反抗する娘に暴力を振るった事件があった。娘は母親に相談するのではなく、PCを開いてAIに「どうしたらいい?」と聞いた。AIはすぐに「児童相談所に相談しろ」と、電話番号を教えた。
児相が警察に連絡し、父親は自宅で逮捕され、即、監督をクビになった。「こんなはずじゃなかった」と娘は泣き崩れた。
今の子どもたちは、自殺するかどうかの相談までAIにしているといわれる。AIの普及で、ものを考えない、人間とは話さない、自分で物事を決められない子どもが世界中で激増し、深刻な社会問題になっている。
かつて大宅壮一は「テレビで一億総白痴化する」といった。私は「AIは世界中の人間をバカにする」と予言する。小野貴宏は身をもってそれを“立証”してくれた。彼が教えてくれた貴重な教訓を、われわれは無にしてはならない。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
