開幕のブライトン戦はベンチ入りした鈴木。指揮官の言う“今”はいつなのか。(C)Getty Images

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 プレミアリーグでの出場を果たせば、日本人GKとして初となるアストン・ビラに新加入の鈴木彩艶に、開幕戦で出番はなかった。8月23日のブライトン戦はベンチスタート。ビラは前半だけで4失点し、0-4で大敗した。

 失点するたび、ビラのスタンドには空席が増えていった。試合後、鈴木は出場した選手たちとともにゴール裏へ向かい、最後まで残ったサポーターに拍手を送った。では、背番号1を託された23歳が実際にゴールを守る日は、いつ来るのか。

 出場する可能性は高い。ウナイ・エメリ監督の言葉はかなり明確だ。今夏、新たな挑戦を望むGKエミリアーノ・マルティネスの去就について問われ、「彼の代わりとして鈴木を獲得した」と説明。さらに「将来のためではなく、今のために獲った」とも語り、「我々のレベルでプレーできる能力を示している」と評価している。

 開幕戦で先発したマルコ・ビゾトは35歳。AZやブレストで経験を積み、チャンピオンズリーグにも出場したベテランで、エメリ監督からの信頼も厚い。ただ昨季、監督自身が「マルティネスの控えになるために加入した」と、その役割を説明していた。

 ブライトン戦で先発したからといって、鈴木が正GK争いで後れを取っているとは考えにくい。何より鈴木が加入したのは、試合のわずか4日前だった。チーム練習を重ねる時間がほとんどないまま、いきなり先発させなかったこと自体は不思議ではない。
 
 もう1つ読みにくくしているのが、マルティネスだ。本人は新たな挑戦を望んでいるものの、ユベントスへの移籍はまとまらず、今もクラブに残っている。移籍市場が閉じるまで、GKを巡る状況そのものが変わる可能性がある。

 それでも、すぐに鈴木へ代わると言い切れない事情がある。今夏のビラはモーガン・ロジャーズ、ユーリ・ティーレマンス、リュカ・ディーニュ、エズリ・コンサら主力が相次いで退団した。UEFAの財務規則に対応するため、売却益を作りながら人件費を抑える必要もある。

 昨季もビラのスタートは悪かった。リーグ開幕から5試合、勝てず、最初の4試合は無得点。それでも立て直し、最終的には4位まで順位を上げた。

 ただ、今回は事情が違う。昨季は前年から主軸の多くを残したまま立て直すことができたが、この夏は主力が次々と抜け、顔ぶれそのものが大きく変わった。英紙『タイムズ』は、エメリ監督が4年近くかけて積み上げたチームを「ジェンガ」にたとえた。重要なピースが次々に抜け、塔が揺れているという。