〈夏休みの自由研究に異変〉「必須」はわずか3割、いまや「任意」が上回る…学校が“全員提出”をやめつつある3つの理由

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夏休みの宿題で保護者の負担にもなりやすい「自由研究」。スライム作りなどの定番から「ガチャガチャ」の工作まで、テーマや方法は多様だ。一方で、保護者のサポートが必要になるケースも多く、自由研究の意義を疑問視する声もSNSでは見られる。

【画像】夏休みの自由研究、「必須」は約3割…「任意」が上回る結果に

 

そもそも自由研究は、今どの程度の小学生に課されているのか。学研の調査によると、2025年の夏休みの宿題で自由研究が「必須」だったのは34.2%。一方、「任意だった」とする小学生は計45.4%と、必須を上回った。「全員がやる宿題」としての自由研究から、学校は離れつつあるのか――。専門家への取材を通じ、自由研究の現状を探った。

保護者を悩ませる「自由研究」…一方で「宿題に出てない」という声も

夏休みも残りわずかとなり、宿題に追われる小学生も少なくないだろう。なかでも「自由研究」は保護者のサポートが必要となるケースも多く、Xではこんな声も上がっている。

〈自由研究と言っても、なんだかんだ親の手伝い必要〉
夏休みの自由研究、あれ本当に子どものためになってるのかな〉

自由研究とは、児童生徒の興味や関心のあるテーマについて調べたり、観察や実験、制作などを行ったりする学習で、その名の通り、テーマは自由だ。

定番とも言える「スライム」づくりや「ガチャガチャ」の工作から、大人顔負けの本格的な内容に仕上げたものまで、SNSには多様な事例が見られる。

一方、自由研究が宿題として出されていない家庭もある。都内で小学2年生の子どもを育てる保護者はこう話す。

「うちの子は自由研究の宿題は出てないようです。タブレットのドリル学習が大量に出ていて、あとは絵日記と、読書が『目標10冊』です」

そもそも、自由研究の宿題はどの程度の小学生に課されているのだろうか?

株式会社学研ホールディングスの調査・研究機関である学研教育総合研究所は、幼児、小学生、中学生、高校生を対象とした大規模アンケート調査を実施している。

その中で、小学生を対象に日常生活や学習について調査した結果をまとめた「小学生白書2025」によれば、夏休みの宿題の状況について、自由研究を「みんながやらなければいけなかった」と回答した小学生は34.2%だった(学研教育総合研究所「幼児・小学生・中学生・高校生白書2025」/株式会社学研ホールディングス 学研教育総合研究所「幼児・小学生・中学生・高校生白書 幼児・小学生・中学生・高校生の学習・学校生活に関する調査」2025年)。

一方、同調査で自由研究が「任意だった」と回答した小学生は計45.4%で、「必須だった」の34.2%を上回った。自由研究そのものが宿題から姿を消しているわけではないが、「全員が必ず取り組む宿題」ではなく、任意の課題として扱われるケースが多いことが分かる。

なぜ自由研究は「必須」より「任意」が多い? 考えられる3つの要因

自由研究が「全員必須」ではなく、任意の宿題として扱われるケースが多い背景には何があるのか。学研教育総合研究所の田村尚志副所長に話を聞いた。

「あくまでも個人の考えになりますが、背景にはいくつか要因があると思います。一つは、教員の働き方改革です。教員が自由研究を評価しようとすると、少なからず苦労を伴います。

子どもたちから、どの分野のどんな内容の自由研究が提出されるかは、まったく分かりません。例えば昆虫に詳しい先生がいたとして、児童が歴史に関する研究をしてくることもあります。

そして、それがクラスの人数分は来るわけですから、評価する教員側からすれば本当に大変な話です。自由研究の評価が、教員の業務過多につながっていた可能性はあります」(田村尚志副所長、以下同)

さらに、家庭の長期休みの過ごし方の変化や、学校教育の中で探究的な学びが重視されるようになったことも背景にあるのではないかと指摘する。

「長期の休みのお子さんの過ごし方についても、昔であれば、保護者のどなたかが家庭にいて、自由研究の相談に乗るというケースもあったかと思います。ですが、そうした家庭の状況も変わってきたのではないでしょうか。

また、学習指導要領の改訂を受け、学校の授業の中に探究的な学びや自由研究的な要素も入ってきていることが、背景の一つにあるのではないかと思います。こうしたことも、宿題としての自由研究の減少につながっているのではないかと考えています」

では、子どもが自由研究に取り組むにあたり、親はどうサポートするのがいいのか。そもそもサポートすることはよいことなのか。

副所長は「自由研究に大人のサポートは必要です」とした上で、次のように話す。

「子どもが全く新しいことにチャレンジしようとしてるわけですから、それに対して何らかのサポートは絶対に必要です。もちろん、『お父さんが工作を全部作っちゃった』というのは問題かと思います。

ただ、親が一切手伝ってはいけないということではなく、どういう関わりをしたかをある程度明らかにした上で、サポートしてあげることが必要です」

「子どもの自由な発想でいろいろなことが分かっていく、その過程が面白い」

自由研究のテーマ探しに苦労する親子もいるだろう。だが、テーマは生活に身近なことでも構わないという。

「例えば、『今朝食べた朝ごはんのお茶碗に米粒が何粒あったか数えてみたい』といったことだって、非常に有益なことです。

結果だけを見れば『何粒』と出てくるわけですが、じゃあもう少し簡単に数える方法はないかとか、その米粒の数は一体どれぐらいの稲から取れるのかとか、次の一歩につながるように周囲が支援してあげるという形であれば、とても良いのではないでしょうか」

田村副所長は、国立科学博物館の研究施設に「ヤマイヌ」の一種として保管されていた剥製に疑問を持った小学生が、研究者らの協力を得ながら調査や観察を進め、結果的に「ニホンオオカミ」とみられることを共同論文で示した事例を挙げ、周囲の大人のサポートの重要性について次のように話す。

「もちろんご本人の発想や努力はすごいと思いますが、親も含めた周りの大人、例えば科学館や博物館などがサポートをしてあげるような体制がある、というのはとても大きいです。

子どもが『これを調べたい』と言ったときに、『専門家に聞いたほうがいいよ』などとアドバイスをするといったことであれば、大人は大いに関与してほしいです。加えて、『調べ方』に関するサポートも大切です。調べ方の順序だとか、子どもたちは知りませんから」

最後に、自由研究で保護者が抱きがちな「結果への期待」についてはこう指摘する。

「どうしても、『素晴らしい結果が出る』ということを期待しがちですが、本来であれば、プロセスや、子どもの気づきや発想の面白さを評価すべきです。正しい答えかどうかなんて分からないわけですから、親も含めた周囲の大人が、ある一方向に誘導するようなことは望ましいことではありません。子どもの自由な発想でいろいろなことが分かっていく、その過程が面白いのだと思います」

宿題として課されているかどうかにかかわらず、好きなことや興味のあることを見つけ、思う存分探究できるのが夏休みだ。子どもの発想や気づきを尊重し、必要なときにサポートすることが、大人の役割なのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班