【50周年のアイオーデータ】個人ライターなのに企業向けNASを買ったワケ(小林哲雄さん)
今年の1月に50周年を迎えたアイオーデータ。Windowsよりも前のPC-98時代からさまざまな周辺機器を世に送り出しており、アイオー製品にお世話になった人も多いはず。そこで、PC&デジタル業界で長年活躍してきたライターさんに、思い出に残っているアイオー製品を挙げてもらい、選んだ理由や気に入っていたポイントなど、当時のエピソードを振り返ってもらいました。さらに、そのアイオー製品を開発した“中の人”にも開発の裏話を聞いてみました。今回は、ライターの小林哲雄さんです。
アイオーデータ製品の思い入れを語ってほしい、という依頼が来ました。私が愛用しているアイオー製品の1つがNAS。アイオー製品だけでも3台ぐらい購入し、現在も1台が「何とか稼働中」という状態です。
現行で動いているのが「LAN DISK H HDL6-H36」。法人向けのラインナップでも割と上位の製品で、購入した当時は「6TB HDD×6ベイで物理36TBあれば無敵」と思っていたのですが、安全性重視でRAID6運用(後述)なので、論理24TB。ファイルサーバーとして使っていますが、現在の空きが4TBほど。ちなみに、準メイン機のNASは10TB HDDの4ベイで物理40TB、論理はRAID5で30TBです。

現在現役稼働中のHDL6-H36。周囲にいろいろ写っているのはご愛敬ということで……
購入に際して目を付けたのが「B級品セール」。当時は楽天市場で販売していて、開催日が分かっていたので目星を付ければ購入できたのですが、それでも高額商品。さっさと決済して購入できたと思ったら「不正利用かも」とカード会社に決済を止められて買えなかったなんてこともありました。
長年使っているため、HDDは1台を除いてすべてリプレイス済み。入れ替え後に再構築することで、購入時のデータを保っています。
ここで優秀なのが、アイオーデータの法人向けNASにあるクラウド監視システム「NarSuS」。温度やHDDの状況を監視して毎月レポートメールが来るほか、「HDDがそろそろ壊れそう」と警告を出してくれます。最新のレポートを見ると、すでに7年以上使っていることが分かります。

アイオーデータの企業向けNASのいいところは、無料の遠隔監視サービス「NarSuS」があること。月イチで状態レポートが届けられます
NASなので、以前は24時間稼働で使っていましたが、最後の1台の警告が出た時点で「必要な時以外は電源OFF」とNASらしくない運用によって延命をかけており、現在も一応動いているという状態ですが、AIブームのせいでHDDが品薄なので困ってます。

HDDの故障予測もあり「そろそろヤバいよ!」とメールが届きます。現在、必要な時以外はシャットダウンで延命中。前の画像で「電源が入ってません」と表示されているのはそのため(苦笑)
冒頭でRAID6と書きましたが、これはストレージのデータ安全性を保つ方法です。RAID5は3台以上のHDDに分散して書き込み、1台にパリティ情報を入れることで「HDDが1台壊れてもデータは保全」で、RAID6は4台以上のHDDに分散して2つパリティ情報を入れるので「HDDが2台壊れてもデータは保全」されるというもの(近ごろのアイオーデータは別の手法を推奨しています)。
HDDの多い製品じゃないとRAIDは使えませんが、HDDはなんだかんだと壊れるので、安全策は必須です。
欠点というわけではありませんが、なんと「NASが寝床に鎮座」しておりまして、夏はファンの音がウルサイのと、HDD故障の際のアラームがうるさくて困ったことがあります(よくよく設定を見たら鳴らさない設定がありました)。
おそらく「7年も使われているならそろそろリプレイスしては?」と言われそうなのですが……お安いB級品ありませんか?
アイオーデータの “中の人”が語る、当時のマル秘エピソード(商品企画編)
LAN DISKは、データを消失させることなく安全なデータ運用を提供することに主軸を置いて開発してきました。これまでのLAN DISKの25年の歴史の中で、そのギアを一段上げてくれたのが「HDL6-H」(LAN DISK H)です。
HDL6-Hが出るまでは「HDL-XR」がLAN DISKのコンセプトをもっとも体現したモデルでした。HDL-XRはRAID 6を搭載し、ハードディスクが2本壊れてもデータを維持できましたが、同じロットのハードディスクで同じように負荷をかけた場合、同時に故障するリスクが高く、ハードディスクを交換してリビルドしている間に残りの2本のうち1本も壊れてRAID崩壊するケースが報告されました。NASの上部に熱がたまって上のハードディスクが壊れる、というケースもありました。
これらの問題点を改善したのがHDL6-Hです。ハードウェア面では振動対策や熱対策を施し、ソフトウェア面では拡張ボリューム(現:RAIDeX)を搭載してハードディスクの負荷をあえて偏らせ、リビルドもハードディスク全体ではなくデータ領域のみとすることで、RAID崩壊の確率を極限まで低減しました。
ユーザーからは、設定画面の遷移が速くなったことが評価されました。CPUのスペックを上げたこともありますが、アドオンパッケージの概念を採用して各ユーザーが必要な機能のみを追加する思想にし、不要な機能は載せないことでより軽い動作を実現させました。
これは時間をかけて徐々に言われるようになったことですが、拡張ボリューム(現:RAIDeX)を搭載したことや筐体の強靭化により、データ損失はほぼ発生しなくなりました。そのおかげで、データ消失の問い合わせやクレームも減りました。あまりに壊れないために、その後のリプレイスが進みにくいという“副作用”も起きてしまいましたが…。
アイオーデータの “中の人”が語る、当時のマル秘エピソード(ハード&ソフト開発編)
当時としては初となる6ベイNASの新規筐体開発でした。前シリーズのHDL-XRでは筐体剛性や放熱性に課題があったため、振動対策と冷却性能の両立を重視しました。振動対策は社内に十分な知見や評価手法がなく、評価方法そのものを確立しながら設計へ反映していくことに苦労しました。
HDDへの振動を抑えるため、HDDと筐体ができるだけ一体となる構造を検討しました。また、冷却ファンの振動がHDDへ影響を与えることに着目し、防振ゴムを用いてファンの振動が筐体へ伝わりにくい構造を採用しました。細かな振動対策を積み重ねていきました。
ソフトウェア面では、HDDの故障に対する対策方法の検討・実装およびテストで苦労した思い出があります。稼働中にHDDが故障した状況を作り出すことが難しく、当時製品化していたSATAのRAID用コントローラを改造して故障したHDDのエミュレータを作成し、これを活用することで従来確認できなかったHDDの故障状態の問題対応を進めることができました。

HDL6-Hシリーズを前に勢揃いした、ソフトウェア開発担当の武石尊之さん(左)、ハードウェア開発担当の菅田貴裕さん(中央)、企画担当の藤木慎太郎さん(右)
現行で動いているのが「LAN DISK H HDL6-H36」。法人向けのラインナップでも割と上位の製品で、購入した当時は「6TB HDD×6ベイで物理36TBあれば無敵」と思っていたのですが、安全性重視でRAID6運用(後述)なので、論理24TB。ファイルサーバーとして使っていますが、現在の空きが4TBほど。ちなみに、準メイン機のNASは10TB HDDの4ベイで物理40TB、論理はRAID5で30TBです。

購入に際して目を付けたのが「B級品セール」。当時は楽天市場で販売していて、開催日が分かっていたので目星を付ければ購入できたのですが、それでも高額商品。さっさと決済して購入できたと思ったら「不正利用かも」とカード会社に決済を止められて買えなかったなんてこともありました。
長年使っているため、HDDは1台を除いてすべてリプレイス済み。入れ替え後に再構築することで、購入時のデータを保っています。
ここで優秀なのが、アイオーデータの法人向けNASにあるクラウド監視システム「NarSuS」。温度やHDDの状況を監視して毎月レポートメールが来るほか、「HDDがそろそろ壊れそう」と警告を出してくれます。最新のレポートを見ると、すでに7年以上使っていることが分かります。

NASなので、以前は24時間稼働で使っていましたが、最後の1台の警告が出た時点で「必要な時以外は電源OFF」とNASらしくない運用によって延命をかけており、現在も一応動いているという状態ですが、AIブームのせいでHDDが品薄なので困ってます。

冒頭でRAID6と書きましたが、これはストレージのデータ安全性を保つ方法です。RAID5は3台以上のHDDに分散して書き込み、1台にパリティ情報を入れることで「HDDが1台壊れてもデータは保全」で、RAID6は4台以上のHDDに分散して2つパリティ情報を入れるので「HDDが2台壊れてもデータは保全」されるというもの(近ごろのアイオーデータは別の手法を推奨しています)。
HDDの多い製品じゃないとRAIDは使えませんが、HDDはなんだかんだと壊れるので、安全策は必須です。
欠点というわけではありませんが、なんと「NASが寝床に鎮座」しておりまして、夏はファンの音がウルサイのと、HDD故障の際のアラームがうるさくて困ったことがあります(よくよく設定を見たら鳴らさない設定がありました)。
おそらく「7年も使われているならそろそろリプレイスしては?」と言われそうなのですが……お安いB級品ありませんか?
アイオーデータの “中の人”が語る、当時のマル秘エピソード(商品企画編)
LAN DISKは、データを消失させることなく安全なデータ運用を提供することに主軸を置いて開発してきました。これまでのLAN DISKの25年の歴史の中で、そのギアを一段上げてくれたのが「HDL6-H」(LAN DISK H)です。
HDL6-Hが出るまでは「HDL-XR」がLAN DISKのコンセプトをもっとも体現したモデルでした。HDL-XRはRAID 6を搭載し、ハードディスクが2本壊れてもデータを維持できましたが、同じロットのハードディスクで同じように負荷をかけた場合、同時に故障するリスクが高く、ハードディスクを交換してリビルドしている間に残りの2本のうち1本も壊れてRAID崩壊するケースが報告されました。NASの上部に熱がたまって上のハードディスクが壊れる、というケースもありました。
これらの問題点を改善したのがHDL6-Hです。ハードウェア面では振動対策や熱対策を施し、ソフトウェア面では拡張ボリューム(現:RAIDeX)を搭載してハードディスクの負荷をあえて偏らせ、リビルドもハードディスク全体ではなくデータ領域のみとすることで、RAID崩壊の確率を極限まで低減しました。
ユーザーからは、設定画面の遷移が速くなったことが評価されました。CPUのスペックを上げたこともありますが、アドオンパッケージの概念を採用して各ユーザーが必要な機能のみを追加する思想にし、不要な機能は載せないことでより軽い動作を実現させました。
これは時間をかけて徐々に言われるようになったことですが、拡張ボリューム(現:RAIDeX)を搭載したことや筐体の強靭化により、データ損失はほぼ発生しなくなりました。そのおかげで、データ消失の問い合わせやクレームも減りました。あまりに壊れないために、その後のリプレイスが進みにくいという“副作用”も起きてしまいましたが…。
アイオーデータの “中の人”が語る、当時のマル秘エピソード(ハード&ソフト開発編)
当時としては初となる6ベイNASの新規筐体開発でした。前シリーズのHDL-XRでは筐体剛性や放熱性に課題があったため、振動対策と冷却性能の両立を重視しました。振動対策は社内に十分な知見や評価手法がなく、評価方法そのものを確立しながら設計へ反映していくことに苦労しました。
HDDへの振動を抑えるため、HDDと筐体ができるだけ一体となる構造を検討しました。また、冷却ファンの振動がHDDへ影響を与えることに着目し、防振ゴムを用いてファンの振動が筐体へ伝わりにくい構造を採用しました。細かな振動対策を積み重ねていきました。
ソフトウェア面では、HDDの故障に対する対策方法の検討・実装およびテストで苦労した思い出があります。稼働中にHDDが故障した状況を作り出すことが難しく、当時製品化していたSATAのRAID用コントローラを改造して故障したHDDのエミュレータを作成し、これを活用することで従来確認できなかったHDDの故障状態の問題対応を進めることができました。

