韓国海軍の潜水艦「洪範図」(出典:韓国防衛事業庁)

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韓国海軍の主力潜水艦が整備中に火災を起こし、事故から3カ月以上が過ぎても正式な損害評価が始まっていないことが分かった。修復できず退役となれば、建造費約5000億ウォン(約530億円)の軍事資産に加え、貴重な潜水艦戦力の一部を失うことになる。韓国経済メディア「イートゥデイ」が報じた。

火災が起きたのは、韓国海軍の1800トン級潜水艦「洪範図(ホンボムド)」。4月9日、HD現代重工業の蔚山造船所で大規模整備を受けていた際、艦内から出火し、協力会社の作業員1人が死亡した。

洪範図はドイツの214型を基礎に韓国で建造された孫元一級(張保皐Ⅱ)の7番艦。2016年に進水し、2018年に海軍へ引き渡された比較的新しい艦だ。燃料電池式の非大気依存推進システム(AIP)を備え、浮上せずに長期間の水中作戦を遂行できる。魚雷や機雷、巡航ミサイルを運用し、対艦・対潜戦や地上目標への精密攻撃を担う。

メディアによると、火災で艦内の配線や電気・電子機器が焼損したとの情報が軍や業界内で出ている。しかし海軍は、被害額どころか、艦を修復できるのか退役させるのかについても判断できていない。

海軍は対応が遅れた理由として、警察による火災原因の鑑識や現場保存、雇用労働部による作業再開承認が必要だったことを挙げている。作業再開は5月中旬に認められたが、その後も約2カ月にわたって正式な評価には着手しなかった。

軍関係者は同メディアに対し、海軍にとって艦艇1隻は「事実上、一つの部隊に等しい」と指摘。「実際の作戦戦力が1隻消える可能性がある事案で、最終判断が遅れ続ければ責任回避との論議が強まる」と語った。

ここでは「消える可能性」とされているが、私が韓国の軍関係者に取材したところ、少なくとも彼の周辺では「退役させるのが常識」と語られているという。ならば、対応を急がねばなるまい。潜水艦は作戦、訓練・待機、整備を交代で繰り返す。1隻の長期離脱は、保有隻数の単純な減少にとどまらず、部隊全体の運用サイクルに影響する恐れがある。

事故後の公式説明が限定的だった背景について、イートゥデイは、韓国企業が受注を目指すカナダ哨戒潜水艦事業(CPSP)への悪影響を懸念したとの見方も出ていると伝えた。

(参考記事:ポーランドはなぜ韓国製潜水艦に背を向けたのか

カナダは老朽化した潜水艦の後継として最大12隻の導入を計画しており、韓国は大型の島山安昌浩級を売り込んできた。洪範図はカナダ向け提案艦とは異なるものの、国内の造船所で整備中に重大火災が起きた事実は、韓国造船業界の品質管理や整備能力への評価にも影を落としかねない。

今後は損害評価の結果を踏まえ、損害賠償をめぐる問題も本格化する見通しだ。カナダ案件との関連性の真偽は定かではないが、同国政府はすでにドイツ企業を優先交渉対象に選定した。今後は迅速に作業が進むかもしれない。