「司法試験の勉強は受験勉強と違って、明確な成果が感じにくかった。オンラインの授業動画が毎週9時間分配信されて、ちょっと怠ると雪だるま式に溜まって行ったんです」

大学2年生で司法試験の予備試験を受けるが、不合格。さらに同年の夏には実の父親が末期がんで余命半年と宣告される。

「夜中に眠れず、食欲もなくなり、大学3~4年は1日20時間くらいをベッドの上で過ごしていた。後々心療内科に足を運ぶことになり、そこで『うつ病』と診断を受けました」

学部卒業後は早稲田大学の法科大学院に進学するがやはり勉強に身が入らず、ある日の帰り道にふと、大学院近くの麻雀荘に足を伸ばした。だが、結果的にはそのことが、進路転換のきっかけになった。

「麻雀打ちには、仕事も学歴も関係ない。『法曹になることが人生の全てじゃない』と視野が広がり、大学院を辞める決心がつきました」

今は教育関係の企業に勤めながら、週末に麻雀プロとして活動を行う。「大学に入学するまで思い描いた通りの人生を歩んで来れてしまっていたがゆえに、そこから降りられなかった。だけど離れてみると、今のほうがよっぽど毎日が楽しい」と、晴れやかな表情で過去を振り返る。

◆「東大卒なのに可愛くない」学歴を武器にしたアイドルを待ち受けていた現実

新倉さん同様、平日は会社員として働きながら、週末にはセルフプロデュースのアイドルグループ「学歴の暴力」のメンバーとして活動するのが、なつぴなつさん(30)だ。「東大卒」をフルに活かした人生にも見えるものの、「アイドル活動は、挫折の連続だった」と打ち明ける。

AKB48に憧れ中学生の頃からオーディションを受けるも書類が通らず、学歴という「武器」を求めて東大工学部に入学。修士課程まで進んだのち、地方のTV局に就職し報道記者となった。同時期、「学歴の暴力」としても活動を開始。「メンバー全員が旧帝国大学の卒業生」という異色の経歴で注目を集めたが、その分のバッシングも激しかった。

「ネットでは『東大卒なのに可愛くない』など、見た目への誹謗中傷が多かったです。特に悪質と思われる書き込みに対しては、開示請求も行いました。職場のチャットでも『東大卒の癖してアイドル活動してる』といった嘲笑的な書き込みがされているのも偶然目にし、心が病みました」

SNSでの「尖り発言」を臆さないキャラクターで、ライブに行けば自分の色のサイリウムが一つも見当たらないときもあり、「人気のなさを感じた」とも打ち明ける。メンバーとも話し合い、「学歴の暴力」としての活動は’27年3月で一時休止することに決めた。現在、次の目標とするのが「結婚」だ。Xで結婚相手を募集し、3人と交際に進んだが、いずれも破局し、結婚相談所で活動している。